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私と自分とほかると。

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【私】無意識を含めた全て。【自分】理論・意思の及ぶ範囲。【ほかる】物理的な存在としての私。
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#ポエム

私、失敗したいので。

“恥の少ない人生を送ってきました。” トライアンドエラー。 プログラミングでは当たり前のことである。どれだけ努力したって一発でエラーのないプログラムなんて書けない、否、そんなことに神経を遣うより、ゴリゴリ書いてチェックは走らせながらor機械に任せるほうが速くて正確だ。 インターネットの通信方式にしたって、たいていは「ベストエフォート」=「善処します(あるいは、最大限の努力はします)が結果は知らんがな」そして、途中で伝送失敗したら、もう一回チャレンジする。そういう方式だ。

POWER-ON:自分を立ち上げる

息をしよう 深く、息をしよう こころを音楽で満たして 珈琲の薫りを吸い込めば 倒れていた/埋もれていた<わたし>が立ち上がる うれしいこと かなしいこと 誰かに共有して 心配されたり称賛されたり羨ましがられたり愛されるために 何かをするのをやめよう 目を閉じて、わたしに出逢い 耳を塞いで、わたしの声を聞き 心を止めて、わたしを感じる そして、そっと再起動するのだ。 前より静かに、力強く。 "I am for me”--some say that’s egoistic

今を生きる(原題:dead poets society)〜旅立ちの日に〜

現実感なんてありません。 いつからでしょう? 現実感、高揚感、緊張感。 彼らはどこへ行ったの? 明日の私なんて知りません。 だけど明日は来るのです。 淡々と、淡々と。 どうせ明日も生きている。 昨日の記憶なんてありません。 いつの話でしょう? さよなら、ごめんね、ありがとう。 すぐに流れていってしまう。 苦労してつくったお城も、 パサパサの砂になって 指の間から流れていくのです。 サラサラと、サラサラと。 だけど指は閉じなかった。 愛したことなんてありません。 愛されたこ

ウラめし屋

”ラ、を追加すれば、 世界は少し、哀しいものになる。” --- 何の為に私は独りで生きれるようにしたか分かる?誰の所為で私は社会の波に揉まれ苦しむしかないのか、あなたに分かる? こうはなりたくないと、 歯ぎしりするほど最も嫌いな人間が 自分の父親である哀しみが、 父親(あなた)に分かる? その血が確実に私にも入っていると、 思い知らされるときの絶望が、 あなたに分かる? 怨むよ、 怨む。 やんぬるかな。 子は何かしら、 親をうらまずに生きて行けない。 母が、 自分の

旧生活 ‐アンフレッシャーズ-

社会人になってしまって、 終身雇用で生きていくなら、 新生活は始まらない。 もう二度と。 …… なぜわたしはこんなにも、 あいつに執着しているんだ? こんなにも執着しているのに、 好きだとは言えぬのだ? なぜあいつはそんなにも、 わたしに無関心なのだ? そんなに無関心なくせをして、 嫌ってはくれぬのだ? 全て棄てたはずなのに、 なぜあいつとわたしは繋がった? 一本の糸を残してしまった私の弱さよ。 わたしの拒絶にさえ無関心だから、 いとも簡単に他愛もなく――愛もないく

梅雨に

『この執着はなんだろう』 空から降り注ぐねっとりとした雨が、 全身に絡みつき、心を浸蝕していく。 -- この執着が愛だと言うなら、 いろんなところの辻褄が合う。 この苦痛が愛だと言うなら、 人々の認識はすこし違うのだろう。 愛で幸せな家庭が築ける筈がない。 この絶望が愛だと言うなら、 パンドラの箱を開けて広がったのは 愛なのだろう。 たったひとりの人間を 執拗に意識し 執拗に追い回し、 我が身を消耗してゆく。 そんなものは愛じゃない、 只の執着だよ、と、 愛する誰かに言

ことばでしか感情を発散できない種族

路上ライブで、全身全霊をかけて歌う彼を 横目に見ながら素通りする私の胸に在るのは ただの嫉妬。 あんなふうに。 全身で感情を出せたら幸せだろうな。 そんなことすら、 ことばでしか出てこない。 声にすれば、違ってしまうの。 態度にすれば、白々しくなるの。 音を持つようで、 実は持たない、 聞こえも見えもせぬ 私の内部で生まれ、 死んでゆくことばたちよ。 なんと孤独なことばたち。 せめて、 嗤いながら死んでくれ。 ことばでしか感情を発散できない私を。

夜の来ない朝はない

太陽が差し込む。 眩しさに包まれ、目を覚ます。 海のきらめきと行き交う船の挨拶が聞こえ、 窓の外では、小鳥たちが楽しげに飛び交う。 私は、それらに、 おはよう、と―― ――言う前に。 布団に爪を立て、 布団に顔を押し付け、 呻く。 「嗚呼また朝が来た」 希死念慮をシーツで拭う。 あとは時計仕掛けに任せればいい。 服を着せて、 重力に任せて坂を下り、 人の流れに押されて電車に乗る。 脳は、未だ、眠ったまま。 心は、未だ、泣いたまま。 そうこうしているうちに、 夜が来

ゼロポイント

肉体をすべて誰かと交換したら。 誰かと顔をすり替えたら。 それは、私か? 他人はそれを、私とみなすか? 世間はそれを、私と認めるか? あるいは。 誰かの意識に私が成り代わったら。 ログインして、プレイヤーが変わるだけ。 あるいは、乗っ取り? それは、私ではないのか。 肉体は、精神の奴隷なのか。 精神は、肉体の奴隷なのか。 「わかっちゃいるけど、やめられない」 は、何の所為?

正即是苦

正論など分かっている。 正しいことなど痛いほど分かっている。 ――痛い。 分かっているから苦しいのだ。 分かっていなければ。 しみじみと聴き入るだろう。 すみませんありがとう素直に言えるだろう。 分かっているのに、できぬ。 分かっているから、できぬ。 言わねばなるまいと思えば思うほど、 声はくぐもり、生の感情は死ぬ。 やらねばならぬと思えば思うほど、 嫌になっていく。 分かりきったことをくどくど言われると、 人間はキレる。 くどくど言ってもできなければ、 人間はキレる。

冷熱交代浴

もうお終いだな。 ――そう思った。 冷めた私のやる事なす事、 熱い瞳で見てくれた人に愛想を尽かされ。 つゆほども私のことなど気にかけぬ 冷たい大人たちに囲まれ。 殺人的暑さを冷ます夕立のかわりに、 終わらない仕事ばかり降る。 ただ熱くなれるものを探してたのに、 外気の暑さに汗ばかり出て体は冷え切る。 冷房に冷やされ周りを見る余裕ができたら、 嫉妬の炎ばかりが燃え上がる。 こんなに、 熱いのと、冷たいのに、挟まれてたら、 どんな強靭なガラスだって割れるよね。 もう