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『手・肘・肩の医師が語るヘルスケア』【#在宅医療研究会 オンライン|1月度開催レポート】

第31回在宅医療研究会を始めたいと思います。
今回は、手・肘・肩の医師が語るヘルスケアと題して、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科運動器機能形態学講座教授の二村昭元先生に、お話をしていただきます。二村先生はJA共済総合研究所の寄付講座に所属しておられ、肘や肩の臨床だけでなく、特に解剖分野の研究や教育と幅広くご活躍の先生です。
 
みなさん、こんにちは。ご紹介いただきました二村です。実は普段、訪問診療との接点はあまりありませんが、今日はヘルスケアという観点から、皆さんにお話をしたいと思います。タイトルに手・肘・肩とありますが、最近は手を扱うことがあまりないので、特に肘、肩、骨関節にかかるヘルスケアについてお話しします。
 
私は整形外科の中でも臨床面では肩と肘を特に専門にしています。また骨関節領域全般の機能解剖の研究や教育にも従事しています。

主に肩・肘の痛みを起こす状態を先にご説明し、あとは最近私が取り組んでいる運動機能とヘルスケアについて、またNECとやっているカラダケア事業についてご説明いたします。

1.  凍結肩(五十肩)

五十肩とは、古くは江戸時代の太田全齋の記した書籍(百科事典)に記載が見られます。
「人は50歳くらいになるといろんなところが痛み、肩が痛くなる。ただいつの間にか治ってしまう。これを五十肩と呼ぶことにする」と記載があります。ただ当時は寿命が短かったので、死ぬ前に少し肩が痛くなる、という程度で、あまり重要視されていませんでした。
 
その後、1937年に九州大学整形外科の神中教授が、「五十肩は正しくは肩関節周囲炎であり、その病態は棘上筋にある」ことを初めて指摘しておられます。
 
さらに1947年に、東北大学の初代整形外科教授である三木先生が、「明確な原因のない初老期の疼痛性肩関節制動症」として定義されています。当時は、今では区別される様々な病態が一緒にまとめて五十肩とされていたようです。
 
現在の定義に近づいたのは、1987年の信原克哉先生による分類です。信原先生は、残念ながら昨年お亡くなりになりましたが、日本の肩関節外科の創始者です。信原先生の分類によると、肩関節周囲炎として、烏口突起炎、上腕二頭筋長頭腱腱炎などがあり、それでも区別できないものを五十肩(疼痛性肩関節制動症)としています。
 
ちなみにアメリカの整形外科では、Frozen shoulderと呼ばれています。
 
最新の定義は、日本の肩関節学会によって細かく整理されています。関節が硬くなるものを、原因を問わず拘縮肩と呼び、原因がわかるものを二次性、わからないものは一次性拘縮肩としています。この一次性拘縮肩が、凍結肩と呼ばれています。現在では、五十肩とは呼ばず、凍結肩と呼ぶのが一般的です。
 
凍結肩の病歴を確認するときは、外傷の有無(軽い外傷のエピソードを伴うことが多い)、罹病期間、糖尿病の有無や糖尿病のコントロールの状態を確認します。特に糖尿病があると、症状は悪化しやすく、なかなか改善しないことがあります。
 
また石灰沈着の有無や腱板断裂の可能性を確認します。
 
凍結肩の話を進める前に、凍結肩と似ている石灰沈着性腱板炎について簡単に説明します。
石灰沈着性腱板炎は、レントゲンを撮ると腱板の石灰化が見られます。40~50歳代の女性に多く、急性発症する極めて激しい疼痛が特徴です。治療としては、ステロイド注射の効果があります。H2 blockerを使うと効果があると言われたこともありますが、実際は鎮痛薬と併用することが必要です。予後は良好ですが、まれに慢性化することがあります。
 
肩のX線を治療前、2週間後、6週間後と撮影すると、石灰化した腱板が改善していく様子がみて取れます。石灰化は徐々に自然消退し、経過に応じて症状は改善します。どうしても改善しない場合は穿刺しして石灰化した部分を吸引したり、体外衝撃波によって石灰化した成分を破壊したりします。これでも良くならない場合は、手術を行います。
 
凍結肩の話に戻ります。
凍結肩の痛みの種類・時期について説明します。
肩の痛みですが、安静時痛、夜間痛があれば炎症が起こっていることが示唆されます。一方、特に可動域終末の動作時痛、関節が硬いなどの病歴は、拘縮が原因となっていることが考えられます。
 
病態の違いを知ることは、治療法を選択する際に重要です。
炎症が起きている場合、絶対安静が必要で、無理なリハビリは禁忌です。ポジショニング、特に睡眠時に肩が伸展しないように、痛みのある肩の下に枕を入れ、肩が伸展しないようにするなどの指導を行います。ポジショニングだけで改善する人もいます。また、痛み止めが効かないこともありますので、その場合、肩峰下や関節内へのステロイド注射が効果的なことがあります。またトラマドール(オピオイド系鎮痛薬)の内服が有効な時もあります。
 
関節拘縮であれば、リハビリテーション、筋肉のバランスを整えることを目的とします。ただ3ヶ月間リハビリをやっても痛みや硬さの改善がみられない場合、手術を選択することになります。
 
手術は、術後機能への悪影響を最小限にするために関節鏡視下手術を行います。肩関節拘縮の手術療法では、関節鏡視下関節包全周切離術を行い、肩関包に切れ目を入れていきます。最近ですと、超音波を用いる斜角筋ブロック下授動術が流行りです。この方法だと、入院が必要なく外来でできることもあり、とても人気があります。術後、肩の外旋可動域はかなり改善します。

2.  腱板断裂

肩腱板の構成です。上腕骨頭を取り巻く棘上筋・棘下筋・肩甲下筋などで構成されています。
 
凍結肩と思われていたら、実は腱板断裂だったということが時々あります。腱板断裂は、主に棘上筋・棘下筋・肩甲下筋生じます。多くは50-60歳台に発生し、外傷あるいは変性が原因になります。肩関節は硬くならないことが通常で、肩挙上位での疼痛が見られます。またインピンジメントと呼ばれる、肩を挙上させていくとある角度で痛みや引っ掛かりが生じ、肩を挙上できなくなる症状も見られます。手術は関節鏡視下で行います。
 
腱板断裂と拘縮の関係に関する研究をご紹介します。
重度拘縮を認める、89肩を調べた研究です。肩の挙上が100°以下、下垂外旋 10°以下程度の重度拘縮肩のMRI所見を見たところ、腱板断裂なしが91%、不完全断裂が9%、完全断裂は0%となっていました。つまり腱板断裂は、肩関節の硬さと関係がないことが推察されます。
 
腱板断裂の痛みの経過は、明らかな外傷歴のあるものでも、時間と共に軽減します。およそ3ヶ月が目安です。
 
ただ次のような症状があれば、手術を考えます。
肩峰下インピンジメント・・引っかかる感じ、痛み
力が抜ける、上がりにくい・・大きめの断裂の可能性が高い
中等度の硬さ(拘縮)・・小さな断裂・不全断裂・・小さい断裂でも、関節包内で炎症を起こすと、非常に痛くなることがあります。断裂が小さくても手術をする必要があるのは、靴下の穴のように、小さいうちに塞いでおかないと、どんどんと大きくなってしまい、あとからの修復が非常に困難になるからです。
 
ちなみに腱板断裂とは、腱板が切れるのではなく、腱板が骨から剥がれる状態です。
術式にはDouble row法やsuture bridgingなどがありますが、糸などで腱を押さえつけるのが基本的な術式です。またリバース型人工関節という手術法もあります。この術式はPaul Grammont (1985, France)が提唱したもので、関節中心の固定をします。この手術により、三角筋の緊張が上がり、肩が上がるようになります。また腱板機能に依存しない特徴があります。閉じることができない大きな断裂に対して行うことが一般的で、2014年に日本に導入されています。ただし65歳以上にならないとできない術式です。

3.  テニス肘(外側上課炎)

肘の解剖です。肘は橈骨、尺骨、上腕骨から構成されており、靭帯によって安定を保っています。靭帯は側方についており、左右の関節包ははずれないように厚くなっていますが、前後の関節包は薄くなってしまいます
 
テニス肘とは、上腕骨外側上顆炎が正式名称です。スポーツとの関連はほぼない(スポーツ関連は5%以下)ことが通常です。バックハンドストロークの動作が原因で、テニス愛好家の3割、性差はありません。
 
テニス肘の障害部位・病因ですが、原因は完全には解明されておらず、滑膜ヒダ・滑膜炎、輪状靭帯の部分断裂・狭窄、橈骨神経の皮枝の障害、短橈側手根伸筋起始部の付着部症などが考えられています。
 
病理所見では、繊維化と血管新生、炎症というよりは変性ということが病理的変化であることがわかっています。
短橈側手根伸筋の解剖を見ると、肘を構成しているそのほかの腱と異なり、短橈側手根伸筋は筋肉が付着しないなど、特殊な構造があることがわかります。
 
また私たちの掌は上を向く位置が自然な安定した位置ですが、現代の生活ではキーボードを打つ、荷物を持つなど、掌が下に向く動作が多くなっています。短橈側手根伸筋の走行と部位を確認すると、掌が下に向く回内位では、短橈側手根伸筋が痛んでしまうことにつながります。これがテニス肘の原因になっているとも考えられます。
 
テニス肘の診断は、以下のようなテストで行います。
Thomsenテスト:掌を下にして手首を反らせると、肘のあたりが痛くなる
Chair テスト:掌を下にして椅子を持ち上げると肘の辺りが痛くなる
中指伸展テスト:短橈側手根伸筋は中指に付着するので、中指を伸ばすと肘が痛くなる
などの診察上の検査が診断には有用です。
MRIでは、外側上顆のT2強調画像でhighとなると言われていますが、これは必須ではありません。
 
テニス肘の保存療法として、テニス肘バンドがよく使用されています。ステロイド注射は、再発率が上がり、手術の効果が低減することがわかっているので、最近は行いません。それよりも手指の使い方を指導することが効果的で、尺側指による握りを指導しています。特に太いものを握るときには、できる限り小指側の指を使って握ること、また掌を上に向けて握ることが大切です。
テニス肘の手術療法であるNirschl法では、変性部の郭清を行い、変性部の新鮮化が見られると、浅層の修復を行います。ただし最近は、関節鏡下で滑膜ヒダをきれいに郭清する術式が取られることが増えています。
 
自分の整形外科診療について、簡単に紹介します。
私は大学病院で診療をしていますが、昭島駅から徒歩3分のところにある、昭島整形外科でも外勤しています。ただし外来は水曜と土曜日の午前のみで、完全予約制です。このクリニックは理学療法士が非常に多くおられ、多くの方がリハビリで良くなっています。
 
正確な構造的診断と高質のリハビリが、私が診療上意識していることです。

4.  運動機能とヘルスケア

最後にヘルスケアの観点からお話をします。
 
関節が痛くなる原因について、運動機能障害症候群(MIS: Movement Impairment Syndrome)、筋骨格系疼痛という考え方があります。
 
その痛みは、本来は動いて欲しくない方向に関節が動くことによる機械的(力学的)ストレスが原因となった、微小損傷が原因となっているという考え方です。筋骨格系の組織・構造体の痛みであり、日常生活及び職業・スポーツ活動が原因となった痛みでもあります。例えば、ミカン20個を樹から取ったら、肩が痛くなった、つまり繰り返し肩にストレスがかかる動作をしたことが、痛みの原因となっているという考え方です。
 
何が起こっているのを説明するために、Directional Susceptibility to Movement(DSM)の考え方を説明します。
 
全ての物体には最小抵抗の方向に動く性質があります。私たちの関節運動も、ただしい動きをしていると思っていても、実は動きやすい方向へ動かしてしまう性質があります。その運動が反復動作をしたり、また同一姿勢を維持したりすると、関節の柔軟性・硬さに関連した代償が生じてしまいます。特に硬さがあると、硬さを避ける方向へ動いてしまいます。さらに特定方向への運動を繰り返すことで、微小損傷(strain)が生じます。これらが原因となり、関節が傷を受け、構造が変化し、痛みが生じます。
 
運動機能障害症候群に対するアプローチ、リハビリをどのように行うか、ですが、DSMを修正することが大切になります。まずストレッチングが大切ですし、特定の筋力が弱いと特定の方向へ関節が動く原因となりますので、バランスよく筋力を強化します。また特定の運動パターンや姿勢を修正します。例えば鞄の保持や睡眠の時の姿勢を正しくすることを目的に、日常生活の修正や環境因子の整備が必要となります。
 
典型的な例として、姿勢による肩甲帯への影響があります。
不良姿勢パターンは以下のような状態です。
―骨盤後傾
 ・脊柱後弯
 ・肩甲骨外転・前傾
 ・頭部前方変位
この位置で柔軟性消失すると、肩の痛みにつながります。
 
良姿勢パターンは、以下のような状態です。
―骨盤前傾
 ・脊柱正常アライメント
 ・肩甲骨内転・後傾
 ・頭部と肩の位置が直線上にアラインされている
この姿勢が保持できると、肩を自由に動かすことができます。
 
さらにJoint by Joint theory (approach)という考え方があります。これは人間の関節には動かすべき関節、その隣に安定性を保持すべき関節があるという考え方です。肩・肘に関しては、肩甲胸郭関節の安定性と胸郭・胸椎の可動性、体幹の安定性と股関節の安定性・可動性が大切であると考えられます。
 
胸郭は、胸椎+肋骨+胸骨から構成されています。胸郭が運動すると、横隔膜も同時に変化します。呼吸をする時、胸骨の前上方へ向かう運動は胸郭の前後の動き、肋骨体の外上方へ向かう運動は、胸郭の左右の動きと連動しています。これはポンプのハンドルやバケツの取手の動きと似ています。
 
「きほんの呼吸」と胸郭について説明します。
呼気は肋骨内旋、吸気は肋骨外旋の動きをしています。ところが多くの日本人は、息がしっかりと吐けていなくて、吸気の肋骨外旋の位置で止まっている人が多くなっています。
そこで息を吸う時に胸が広がり、お腹が凹む、息を吐くと腹部が広がる、このようなただしい呼吸ができるように、呼吸を修正する必要があります。また息がしっかり吐けていないので、しっかりと吐ききる訓練も必要です。
 
通常の呼気では横隔膜は弛緩し、吸気では横隔膜は緊張しますが、多くの日本人は息を吐き切ることができていないので、横隔膜の緊張が維持されてしまっています。この緊張をほぐすようにするためにも、しっかりと吐き切ることが大切です。
 
また体幹の安定について考えてみましょう。
体幹の安定は、天井・壁・床で保持されています。天井は横隔膜、前後の壁は腹横筋、内腹斜筋、後ろは背骨の前にある多裂筋、底面は骨盤底筋から成っています。
 
もし横隔膜がしっかりと使えない時、体幹を保持できないだけでなく、鎖骨を上げて呼吸をするなど、呼吸に対するストレスがかかり、疲れやすくなってしまいます。
 
この呼吸の問題を解決するためには、本や動画で勉強すること、またピラティスに取り組むことが有用だと考えています。

5.  NECカラダケア事業

最後にカラダケア事業についてご紹介します。
 
先に述べたようなヘルスケアに対する取り組みは、時間的制約があるため、なかなか外来で行うことができません。これは医療の限界です。
 
関節疾患をマネージメントする際の問題です。私たちの関節機能は、何かしら発症する病因があり、それに対する介入をしないと年齢と共に直線的に悪化しします。侵襲的な手術をすると一気に機能を回復しますが、そしてその後徐々に悪化していきます。ただ予防・早期介入すると、なかなか悪化しません。この予防・早期介入の重要性を感じていました。
 
そのようなおり、NECと東京医科歯科大学が包括連携協定を結び、その事業の一環として、カラダケア事業を開始することになりました。NECと東京医科歯科大学が提供する、ヘルスケアサービスです。
 
従来の医療との関わり方では、日常生活を送っている人が病気になると病院を受診し、よくなって元気になったら日常生活に戻ることを繰り返しています。この関わり方の枠組みのなかでは、高齢化が進むと医療リソースが足りない、医療費が増え続けるといった問題が生じます。
 
しかし新しい医療との関わり方では、日常生活と病院の間にヘルスケアという間の部分を設け、日常生活で利用しているITデバイスを活用します。ITデバイスを活用したヘルスケアとして、様々な患者さんに関する情報をセンシングし、病院につなげます。また病院に行く必要がある手前の人たちに対し、疾患予兆を感知してフィードバックを行います。ITテクノロジーを駆使して、ヘルスケアによる早期介入を実現し、医療資源は高度医療に集約させることを目指します。
 
サービスの特徴ですが、東京医科歯科大学との共同研究で推進するプログラムを理学療法士・作業療法士が提供しています。具体的には理学療法士・作業療法士がいる店を出しており、運動機能の評価や施術を行います。一人ひとりの健康状態に合わせた専用プログラムを作成し、生活習慣や身体の状態から原因を探り、改善を支援する活動を行っています。
 
医療機関で行うリハビリは、保険の範囲内で行うため、1回20分という時間の制約がありますが、この事業は自費で行うこともあり、一回60分をかけ、しっかりと評価をした上で、全身に対する施術を行います。さらにNECと連携し、2回目以降はオンラインでセッションを行っています。
 
また産前産後ケアにも理学療法士による訪問型のサービスの提供も考えています。この辺り、もしニーズがあればみなさまのご意見を伺いたいと考えています。
 
以上、ご清聴ありがとうございました。

6.  質疑応答

Q. 姿勢が悪くて転倒し、腱板断裂をきたしてしまった方へリハビリを提供する場合、姿勢を正し、腹圧をあげた状態でリハビリを提供するのが良いのでしょうか?
A. 全くその通りです。本来はそのような状態にある前に介入できるのと良いのですが、一番悪いのは、正しい姿勢を意識しないで、肩のリハビリだけに集中して失敗してしまうことです。胸椎を伸展させて姿勢を正し、肩のアライメントを整えるだけで、良くなるのではないかと考えています。

Q. 特に若手の療法士は、日常の生活のなかで正しい姿勢を保持する、体幹へのアプローチに難渋しているのが現状で、ご家族やケアマネさんに伝えていくのも難しいと思います。そのような方達へのアドバイスをお願いします。
A. ありがとうございます。とても大切なことです。私たちの頭は重いので、どうしても前傾になってしまいがちです。それに対し、センシングできると良いのではないかと思います。例えばスマホのカメラを使って横から写真を撮ってみるだけで、ご自分の姿勢が前傾になっていることがよくわかります。自分の姿勢が可視化できることで、解決につながります。また指導しても飽きてしまいますのでピラティスを進めています。これは高齢の方でも取り組めるプログラムがあります。ピラティスは、医学の考え方から生まれているので、取り組んでみると良いのではないかと思います。あとは呼吸の仕方を訓練することです。呼吸の訓練は、やることで自律神経を整えることにもつながります。

Q. 腱板断裂について、肩のどのあたりに痛みを訴えることが多いのでしょうか?腋窩の痛みを訴える人がいて、気になります。
A. 腱板断裂は、切れているところが痛いわけではなく、肩の前の方や後下方が痛いという方が多くおられ、痛みの場所が一定しないことが多いです。ただ腋窩が痛いという人はいないと思います。

Q. 拘縮肩に対する手術で関節包を切離したあと、MDI(肩関節多方向不安定症)になる方はおられるのでしょうか?術後に肩関節の機能が回復するのか、教えていただけましたら幸いです。
A. MDIになった人を見たことはありません。関節包を切離をすると言っても全てを切るわけではなく、一部を切っています。また周囲の筋肉は残っていますので、多方向に肩関節が緩くなる、不安定になることはまずありません。

Q. 肩や肘が痛い肩に対するリハビリで、禁忌となる動作があれば、教えてください。
A. 肩の痛みの場合はポジショニングが大事で、仰向けになる場合は肩が伸展するので腕の下に枕などを入れておくこと、うつ伏せの場合は逆に肩が前の方へ出てしまうので、痛い肩を下にして寝ないしないことです。肘の関節についてですが、私たちの掌は上に向く方向で安定します。痛いとどうしても掌が下に向いてしまうので、できる限り上に向くように指導することです。あとは腕を伸ばすための筋肉である上腕三頭筋は、普段使うことがないので、この上腕三頭筋の機能を出す、腕を伸ばす動作をすることが大切かと思います。

Q. 現在妊娠中の理学療法士です。最後に説明のあった、妊婦に対する理学療法のサービスについて、可能な範囲で教えてください。
A. これは私自身がやっているわけではなく、理学療法士が取り組んでいるウィメンズサービスです。産後はどうしても骨盤が緩んだり、股関節機能が落ちたりしますので、産前からどのようにすれば骨盤や股関節の機能を維持できるか、体幹の安定性を保持できるかについて、トレーニングをしていただくようにしています。またこの事業では、出産後の理学療法士の方が活躍できるような場も提供しています。NECカラダケアのホームページに詳しく書かれていますので、ぜひ参考にしてください。

今後の予定につきましては下記リンクよりご確認ください。
医療職・介護職・福祉職の方であればどなたでもご参加いただけます。


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