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保育者には「余裕」が必要

どうも!保育士園長のまゆあです。


先日何気なく呟いたツイートが思いもよらぬ反響があった(と私は思っている)ので、ちょっと深掘りしていきたいと思います。


先日呟いたツイートがこちら


保育者が欲しいのは「余裕」なんだよね。




実はこのツイートは寝かしつけする時にふと考え込んで、形にしておこうと何気なく呟いたのですが、直後からいいねをいただいて、寝かしつけしている耳元で通知音が鳴って気になってしまっていました(笑)


ただ、共感してくださる方がいるということは、そう考える方が多いという事でもあるのかなとも…。


今回のnoteでは余裕を作る方法には触れません。
問題を解決するというよりかは、


「保育の現場ではこう思っていますよ」
「園長先生、事業者の方、状況を知ってください」



こういったスタンスのnoteです。


ですので一人でも多くの園長先生、主任、事業者、経営者の目に止まればいいなと思っていますので、良かったら広めていただけると助かります。


それでは内容に入りましょう。

保育者は余裕がない!

保育者は様々な面で余裕なく保育することを余儀なくされています。


毎日バタバタとした中であれもこれもやっていると余裕をなくしていきがちです。私も現場の一保育士だったころは毎日必死でした。


認可外保育施設で働いていましたので、人数的な余裕もなく、振り返ればよくこなしていたなと思うほどの大変な日々を送っていました。


ですので保育者は余裕がないというのを肌で感じていたわけです。


さて、そんな余裕にも様々な種類があります。
ざっと挙げてみると、


・時間的な余裕
・金銭的な余裕
・物資的な余裕
・人員的な余裕



こんな感じですかね。
これ以外にもありますが、後ほど追加して書いていきます。

自間的な余裕

保育者の仕事は多岐にわたります。


普段の保育に加え、

・掃除、消毒作業
・各種保育書類作成
・研修、ミーティング
・保護者対応、保護者支援
・行事、イベント運営、準備


などなど



他にもあると思いますが、通常保育の他にこれらのことを行い、なおかつ時間内(俗にいう就業時間内)に終わらせると言うのは中々のハードモードです。


労働基準法では、一週間に働ける時間は40時間までとされています。
36条協定を結んでいたとしても、無限に働いて良いわけではありません。


ですので、時間的な余裕がなくなると「持ち帰り」をしたり、「サービス残業」をしてしまうことになるのです。


当てはまる方はきっと多いのではないでしょうか。


私も以前は持ち帰り&サービス残業をかなりしていた記憶があります。
睡眠時間を削ることになるので、日々のパフォーマンスは落ちていくばかりですし、気分的なリフレッシュもできず、ストレスも溜まっていきます。


ずっとその状態が続くといつかは「それが当たり前」になってしまいます。
ただ…こんな状態に慣れたくはないですよね。


そうでなくても保育中は常に時間との勝負みたいなところもありますから。
時間に関して余裕を持てる状況にない方は多いと思います。

金銭的な余裕

保育士、保育者の仕事は薄給とよく言われます。
処遇改善などが進み、以前よりはだいぶよくなってきた感はありますが、それでも他業種と比べてまだまだ差があるのは明白です。


私の一年目は税込で年収250万円でした。
(ボーナスなし、ちょっと特殊な給与形態でしたが)
ボーナスなしなので、月額で割って税金を引くと約月18万円ほど。


月18万という数字だけ聞くと、保育士1年目では妥当だと思われます。
しかし、私は実家暮らしだったから何とかなっただけで、一人暮らしをしていた同期(のちの嫁ですが)は相当きつかった様です。家賃とかバカにならなかったし。


15年前は宿舎借り上げ制度もありませんでしたから、今はまだ恵まれているのかなとも思います。
(東京都23区だと大体82000円×12か月=98万4000円、約100万円補助されている計算です。地域差はありますし、時限措置でもありますが。)


また、中には仕事に使うものを自分で用意している方がいらっしゃいます。一般企業では用意されているものであっても、保育園にはない事も多くあります。文房具や製作の道具、仕事で着る服やエプロン類、自腹を切っているケースも見られます。(私も自腹してました。)


一回は少額でも、積み重なったら大きな額です。
ただでさえ生活するので手一杯のところにこうした積み重ねが発生する事で、金銭的な余裕の無さに繋がっていきます。


更なる処遇改善が求められるところです。

物資的な余裕

物資的な余裕が何かというと、例えば保育で使う画用紙やのり、ハサミといった資材関係、こどもたちの絵本やおもちゃ、テーブルやいすなどの生活環境に必要なものなどが挙げられます。


保育で必要なものにも関わらず、十分な量を確保していないとなると、それは保育の質にも関わります。
また、遊びたい気持ちを十分に満たすことができず、こどもたちのストレスにも繋がっていきます。
(おもちゃなどが不足している状況だと、どうしても「かーしーてー」、「いーいーよー」が前提の活動になってしまいます。これはどうなのでしょうかね。じっくり遊びこめないよね…)


こどもたちが過ごす環境は様々なものが十分に用意されている必要がありますよね?保育所保育指針にも書かれていますし。
こども自身が自ら周りの環境に興味をもって関わっていくためには、それなりの物がないと興味すら持てないです。(愛着関係も必要ですよ。)


こどもが関わりをもつ物、人などは「十分に」ある、関わる事が必要です。
不足することなく、余裕を持たせた環境を用意したいところです。

人員的な余裕

恐らく一番メインであろう余裕がない部分です。


人員面で業務が圧迫されている保育園は非常に多いのではないかと推測しています。


私どもの法人ですら、園によって人員の差が出ています。
(もちろん、エリア、運営形態などでも異なるので自然なことと言えば自然ではありますが)


人員配置がより豊富になれば、保育者一人ひとりがもっと余裕を持って保育をすることができるようになると思います。(当たり前ですが)


保育における現在の配置最低基準は以下の通りです。


0歳児...1:3
1歳児、2歳児...1:6
3歳児...1:20
4歳児、5歳児...1:30



戦後から変わりことのない最低基準ですが、「最低である」という部分がいつの間にか「これだけいればいい」という認識に変わってしまっている部分もあります。


繰り返しますが、「最低基準」なので、この人数では質の高い保育を行うどころか、必要最低限の保育しか行えないのです。


自治体によっては基準よりも手厚くしている所もありますが(例:横浜市は1歳児1:4)、それでも十分かと言われたらそうではありません。


特に3歳児は20人のこどもを一人で見る計算になりますが、3歳児クラスは心身の成長発達も個人差が大きく、配慮が必要な学年だと思います。


それを一人で見るんですよ。これもハードモードですね。


もちろん1歳児の1:6も、一人が泣けば他の5人には手が回せなくなる配置基準です。


一刻も早い配置基準の改正が求められます。

上記の出来事で本当に無くしてしまう余裕とは

色々と書いてきましたが、最終的には保育者の
「身体的な余裕」「精神的な余裕」を無くしてしまいます。


勤務時間が長い、休暇が少ない状態になると、まずは体力的に厳しくなってきます。


若い先生は乗り切れるかもしれませんが、年齢を重ねていくと体力の回復も時間がかかりますから、段々無理がきかなくなります。
(私も体力の衰えを感じるようになってきました。)


朝起きるのが辛い、帰ったら倒れ込む様にして眠る。
こういった状態が続いていくと余暇の時間も取れず、精神面でも変調をきたしてしまいます。


倒れ込む様にして眠る様になると、リフレッシュする時間が取れません。
リフレッシュはストレスを軽減させる効果がありますが、それすら取れないとなるとストレスは溜まる一方です。


本来であれば積極的休暇(アクティブレスト)をふんだんに取得できる環境が理想で、そうでなくてもできるだけ休養を取れるようにしなければなりませんが、保育業界では休暇をとるというイメージすらないのではないでしょうか。


もっと人員の余裕があれば…金銭的な余裕があれば…
こどもたちが満足するだけの環境も作れるし、業務も時間内に終わる。


そうなれば「保育者としてもっとやりがいをもって働ける!」
そう思いませんか??

私は自分の園で働く職員がやりがいが持てるようにしたいと思いますし、与えられた環境の中でどうしたら余裕を持てるかを考えていきたいと思っています。

結局は経営者・事業者・園長・主任の行動に全てがかかっている

結局、運営する側の行動次第な部分は否めません。


私も園長職に就いていますが、保育現場で働く人が余裕を無くしてしまっている原因の大半は、経営者、事業者、園長、主任にあると思っています。


保育園を運営する責任者が、こどもたちや現場の保育者さんたちのことをどれだけ想って行動しているのか、全てはそこにあると思います。


そもそも一保育者だけで余裕を作り出せるほど力があるかといったらありません。
仮に私が現場の保育士だったとして、行動を起こすには相応のエネルギーと計画が必要になります。


だから、余裕を作り出せるかは責任者の行動にかかっているのです。


私も雇われ園長の身ですから現場の指揮はしますが、運営は法人の方針にそって行うことが基本です。
ただ、時には「これはどうなんだろう」という運営方針が示されることもあります。
その時に現場としてどこまで余裕を残しておけるか、できれば法人にバレずに行えたらとすら思っています。
外部から見たら100%に見えても、実際は70%くらいの感じで行っているようなイメージです。


保育園の経営者の中には、周りから疑問を持たれる様な運営の仕方をしているという話を聞いたりします。
園長先生もすごくワンマンだったり、話を聞かない、ハラスメントが多いなど、問題ある方もいらっしゃいます(事実)。


これでは良くなるものも良くなりませんよね?


全てを一気に変えるのは難しいと思います。
でも、小さなことから始めるのは今すぐにでもできます。
例えば、自腹を切っていた文房具類を保育園で用意する。
一見当たり前のことにも思えますが、こういったところから変えていかないと良くなっていきませんよね。


ただ…運営費には限りがあります。
経営されている方の中には運営費に悩んでいる方もいらっしゃると思います。特に認可外保育施設であれば補助金も少なく、赤字経営を余儀なくされる施設もあるでしょう。
何でもかんでも導入しろー、購入しろー、雇えーというのは難しい場合もあるので、それは現場側も一定の理解をしなければなりません。

余裕があれば良い保育ができるか

さて、最後に余裕があれば良い保育ができるかと言う部分を考えます。


余裕があれば今よりも良い保育ができるか。
これは可能性が十分にあると言えるでしょう。


現状でもっと余裕が欲しいと考える保育者さんは多くいると思います。


余裕ができた事で今までできなかったことに挑戦する。
こども一人ひとりのことをじっくりと観察して保育に活かす。
こどもたちの成長を見逃さず適切な時期に適切な関わりができる。
こどもの育ちを職員同士で語り合う。



今までと比べてできることは格段に増えるはずです。
上記の事は保育の質を上げる為には必要な事ですからね。


しかし、一方でこんな懸念材料もあります。
それは、「余裕ができたことによるパフォーマンスの低下」です。
(パフォーマンスは私なりの表現ですが…意味は伝わると思います。)


特に人員に余裕ができた場合、保育から抜けて業務に取り掛かる事がありますが、保育でも人が多いからと言ってだらっとした雰囲気になったり、保育準備にすごく時間がかかったり、誰かが見ているからいいやと言った気持ちで事故や怪我の瞬間を見逃すとか、そういった事態も予想されます。


こういう状態になると、段々と雰囲気も悪くなってきますよね。
「ただこどもの事を見ているだけの状態」になり、保育士として、保育者としての仕事を全うしていないことになってしまいます。


「余裕」は「保育者のやりがい」と「こどもの未来」を生む

色々書いてきましたが、余裕を持つことは保育者の保育に対してのやりがいを生むことにも繋がります。


そして、保育者がやりがいを持ち、気持ちなどの余裕をもって保育する事で、こどもたちに良い影響を与えます。


そうすれば、必ずこどもたちの明るい未来を作る事に繋がるはずです。


何でもそうだと思いますが、余裕がない状態で良いものを作れるかと言ったらそうではありません。たとえ時間が無くても良いものができたのであれば、それはたまたま運が良かっただけだと私は思います。


一人でも多くの保育者が、一つでも多くの保育園が、
余裕をもって保育を行える様に、行動してほしい。


その志をもった方が一人でも増えてほしい。私はそう思います。


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