相手に"変化"をもたらす、伝え方のコツ
皆さんは職場で部下や後輩の指導において、「伝えるのが苦手」「自分は伝えたつもりだけれど、いまいち伝わったような感じがしない」そのように思ったことはありませんか?
よかれと思って伝えても、相手に変化が見られないと、ガッカリしてしまいますよね。ただ、その原因はもしかしたら、こちらにあるのかもしれません。
コミュニケーションはキャッチボールに例えられます。こちらが伝えたいことを投げ、相手が受け取る。相手の伝えたいことを、こちらが受け取る。その繰り返しです。
自分が「伝えたつもり」でも、意図せず相手が受け取りにくい伝え方をしているのかもしれません。相手に変化をもたらす伝え方の基本を知っているだけで、効果が変わってくるでしょう。
今回は、相手に変化を促す伝え方のコツを解説していきます。
園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。
関係性の質が土台
相手に変化を促す伝え方のコツの前に、大前提として相手との関係性が大切です。例えば、嫌味ばかり言われる上司にアレコレ言われても心に響きませんよね?日ごろから、雑談など気軽に会話をしたり、相手の相談に乗ったりなど、人間関係の土台がしっかりしていなければ、伝わるものも伝わりません。
個人のタスク(目標達成)はメンテンナンス(人間関係)によって質が上下します。相手に伝わらないな…?と思ったら、そもそも関係性が良好かどうか、考えてみましょう。
その上で、以下のコツを押さえると、より良いコミュニケーションが取れるようになると思います。
ターゲット(標的)を明確にしましょう。
何がどういう理由で望ましくないのか、正しく整理しましょう。
まずは伝える相手の、どのような言動が望ましくないのか、ターゲット(標的)を自分の中で明確にします。変化をもたらす伝え方の基本は1つ1つ細かい言動を修正していくことです。
例えば、身だしなみ、言動、立ち振る舞い、言葉遣い、保護者対応、子どもへの対応など色々あると思います。これをいきなり全部改善しようというのは無理があります。
1つ1つターゲットを定め、細かい修正を重ねていく事で、結果的に大きな変化へと繋げていきましょう。
「なぜ、その言動が望ましくないのか?」という事を論理的に説明できるようにしましょう
指導する人は意外と「望ましくない行動」について、自分の中で深堀りができていないケースがあります。いわゆる”なんとなくダメな気がする”という理由です。
気持ちとしてはわかりますが、それでは相手は変化しません。なぜならば、相手にはこれまで生まれ育ってきた中での価値観があり、それに基づいて今の立ち振る舞いをしているからです。
なんとなく不快だから、とにかく良くないと思うから、今まではこうやってきたから……という感情的な理由で説得しても、相手にとってはそれが当たり前のことなので、なぜ望ましくないのか理解ができません。どの部分が望ましくないのか、それはどんな理由なのかの根拠を自分の中で整理し、論理的に説明することが求められます。
「望ましくない言動」を指摘する場合は「良い言動」と両方指摘しましょう。
変化を促すということは、「望ましくない言動」から「望ましい言動(目標)」にしていくということです。この時に、現在持っている「望ましい態度」は継続していってもらえると、より理想に近づくはずです。
相手の言動を指摘する際に…「〇〇さんのこういう所は素敵だから、ずっと大切にして欲しいな!」とひと声かける事が大切です。教わる側は「自分の良い面もちゃんと見ていてくれている」と感じます。
コツ②シナリオを描く
大人の指摘をする場合は準備が大切
相手の変化して欲しい部分、ターゲット(目標)が定まったら、次はシナリオを考えます。シナリオとは、相手に伝える話し方の順番のことです。意外とこのシナリオ作りを疎かにしている人が多いのです。
大人の言動を変えるのはかなり難しいことです。相手にもそれまでの人生があり、価値観があります。それを変化させていくためには、それなりの準備が必要となります。
どのような流れで、どのような風に伝えるのか、しっかり準備して臨みましょう。シナリオを作る上でのポイントをお伝えします。
良い点を具体的に伝え、改善点へ繋げる
シナリオを作る際は、まずは良い点を具体的に伝えていくことが大切です。
次の2つのシナリオを見てください。
①のシナリオは指摘と改善点を最初に話し、なおかつ抽象的な褒め方をしている例です。②のシナリオは最初に良い点を具体的に伝え、雑談を交えた上で、指摘をしているパターンです。
話し始めた時にいきなり改善点を伝えてしまうと、「叱られた」という印象ばかりが残り、結果的には「叱られた」と印象しか残らなくなってしまう可能性があります。
心理学用語で「初頭効果」と呼ばれています。
さらに、良い点を具体的に伝えたり、雑談を少し交えたりする事で「私の事をちゃんと見ていてくれてるんだな」という気持ちが生まれます。
すると指摘が「私の事を想って指摘してくれているんだ」と変化へ繋がりやすくなるのです。
このように、相手に変化を指摘をする場合は、何をどんな風に、どんな流れで伝えるのか、シナリオを作成すると効果的です。
コツ③フォロー(追跡)をする。
事後の確認をしっかり
自分に置き換えるとわかりやすいかもしれませんが、改善点を伝えて、すぐに改善ができるほど人間は容易ではありません。
数年経ったあとに、何か転機があったときに、ミスをおかした時に…。人間が変化するタイミングというのは様々で、こちらでコントロールできません。発信は行いながらも、変化することを信じて、気長に取り組みましょう。
自分のこと以上に相手を思う
先ほどもあったように、人間が変化するタイミングはこちらではコントロールすることはできません。
変化が見られる前に退職してしまった、会えなくなってしまった、という事の方が多いです。変化を期待しすぎると、なんだか裏切られたような気分になる時もあります。とはいえ、何もしないのでは変化はずっと訪れません。
園長コマツはとにかく、誠心誠意、相手の事を想って発信し続けるしかないと考えています。その時に心がけているのが相手以上に相手のことを考えるという点です。
自分のことは自分が一番わかっている、と思う方も多いかもしれませんが、実は自分自身で見つけられないことなど沢山あります。どんなに自分に自信がなくても、周りから見ると強みになる部分も探せばきっとあるハズです。
そんな時に誰かが勇気を持って伝えてくれること、これほどありがたいことはありません。ただし、伝える内容が自分本位だったり、伝え方を間違えてしまうと、相手に思わぬ傷を負わせてしまうかもしれません。
そうならないためにも、相手の事を相手以上に考える、という気持ちで発信を続けています。誰かから受け取ったメッセージ、私から送るメッセージ、どちらも大切な宝物です。
受け取ること・送ることを大切に、日々を過ごしていきたいものです。
まとめ
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