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デザイナー育成に関してトライしてきたノウハウ

デザイナーになって2年目くらいからずっと、新人研修を担当したりなんやかやと後輩デザイナーの育成に関わってきたんですが、ついに去年会社で師匠という謎のポジション🤭を得たのもあって、彼らが成長するためにトライしてきたことをまとめておきます。

はじめに伝えておくと、「同じやり方で、複数の人が成長することはない」です。その人に合ったやり方がとてつもなく必要で、だから本当の意味でマネージメントみたいなものを真剣にやろうとすると、自分で業務をガッツリ持つバリバリの人はせいぜい4.5人くらいしか育てられないかと思っています。前期は私は5人担当しましたが、なかなか時間的にも厳しかったと感じることも少なからずありました。

デザイナーのフェーズにはかなり大きく分けて3つくらいあるとします。

・入社1年目から始まるいわゆるジュニアデザイナー。

・たまには先輩に聞いたりするけどほぼ自走できる一人前ぽいデザイナー。

・後輩や周りの人たちを巻き込んで事業をスケールさせることまでできるシニアデザイナー。

かなり大きく分けましたが、まぁこんな感じとしてみましょう。

この中でジュニアデザイナーは、人それぞれとは言いながらも大体が同じようなことで悩みがちです。

<よくある例>

・頼まれた仕事が自分がスケジュール通り終わらせられるかわからない。(終わらない)

・手戻りが多すぎて、自分の思う工数通りに進まない。

・デザインのクオリティが高くないのでなかなかokが出ない。

・頼まれていることの内容が正確に掴めていないため、アウトプットが不確かなモノになる。(これ、良いの悪いの?自分で全く判断できない)

・やったことのないことなので、そもそもソフトの使い方から学んだりすることも多い。(同じことを違う人に何度も聞かれたりするので、事前に良くある質問でまとめたりしてました)

・そもそもこの仕事に向いてるからわからない。この会社に向いているかわからない。と言うようなことを言い出したりする😨(実は結構よくあります)

<ジュニアデザイナーへよく行うアドバイス>

・何度もやり直すことが多いのを見越して、(自分で思うより)長めの工数を見積もって伝えよう。

・そもそも初めてやる作業がどれくらい時間がかかるかわからないだろうから、作業を行うにあたって、自分がどれくらいの時間をかけてそれが作られたのか時間を測ろう。メモろう。

・依頼される際に、以前分からなくて困ったことなどを事前に聞けるようにしよう。(例えば、バナーをつくってという依頼なら、どこに最終的にデータを置くのか、中身はどの内容が一番重要なのか、省いても良い情報はあるのか、どういった場所に掲出されるのかなどなど)つくってる最中にスラックなどで聞いても多少のタイムラグが出たりする上に、何度も質問をバラバラとするのは、依頼主にとっても思考が分断されて良いことはないです。事前に確認できるようにどんどんなっていきましょう。

・デザイナー向いてないかも。などと言う人も少なからずいます。社会人になって、自分がまだまだ何もできないということに向き合っていく成長過程でたまにある話です。自分の状況の理解が進んでいるとも言えます。そう言う相談を受けるときにはこう言います。「まず手をどんどん動かしてください。弱音はそのあとです」みたいな感じです。強めに言うと、やらないならデザイナーをやめるしかないからです。手を動かし続けてれば必ず何かしらモノにはなります。

ちなみにジュニアデザイナーでも、逆に自分に自信がありすぎて、先輩の話しを聞こうとしない人もいます😨会社によって採用されるタイプが様々なので人によりけりです。

上記のようなことができてくるとジュニアデザイナーは卒業となります。そして本題。ここからが難しい、ほとんどの人が該当する一人前ぽいデザイナーの更なる育て方。

ここのレベルに来ているデザイナーは、それこそ得意な部分、性格、仕事の仕方など全部がその人が頑張って積み重ねてきたものの集合体です。一人前ぽいデザイナーは、ジュニアデザイナーのように、皆同じような悩みを抱えてるということはほぼありません。(私の経験上)悩みも多岐に渡ります。

そのような方たちを育てていく中で、何が重要なのか。

フェーズ1.その人のことをとにかくちゃんと知る

1on1で仕事の進捗を聞くのは当然なこととして、会社生活で困っていること、困っていないこと、大事にしていること、今までの経験のこと。とにかく、その人のことをよく知ることに努めます。

そもそもあんまり話したことのない人に、本当は心ではこう思ってるというところにまで心を開かせる必要があると感じています。実はとても難易度が高い。隔週の1on1だけではこれは成立しない。会社の中で自分自身が圧倒的に信頼されてる空気があったとしても、そのデザイナーから信頼されてないと全く意味がない。できれば会社生活の中でも少しずつ廊下ですれ違ったとき、イベントの時、どんな時でも、声をかけたりしてコミュニケーションを積極的に取るようにしていく。

あともう一つコツがあります。本来的には1on1はそのデザイナーのための時間に100%使いたいし、話しをただ聞くだけに留めたいけれど、実は少しは自分の話もしないといけない。人と人のコミュニケーションにおいて、片方だけがベラベラ喋るだけでは、なかなか心を開いてもらえないように感じる。なので、初期の頃は、少し自分が大事にしていることなどを話すように心がけている。それでも割合にして自分の話は20%以下が望ましい。基本的には聴く時間、傾聴する時間にすべきです。

noteなどのブログに想いを書いたものを、自分はこう思ってるんですよと事前に渡しておくのも良いのかもしれないけど、ここはできれば対面で話せると良いと私は思っている。

あとは実は普段からよく観察できると尚良いと思っている。その人の仕事の捗っているのが朝なのか、どう言う仕事の仕方をしているのか。疑問に思ったことがあった時どのように行動しているのか。仕事ぶりを観察するのである。もちろん監視してるわけではないけれど笑、(監視されてるようにその人に感じられてしまったら終わりなので注意が必要) その観察したことを、話し合いの場で少しでも出せると、「えー、この人こんなに自分のこと気にかけてくれるんだ。意外と超見てくれてるじゃん」となる。(私の上司が素晴らしい方でよくこれを感じる)


フェーズ2、その人に合った解決策やこうした方が良いのではということを、伝えていく。

例えば、フェーズ1を終えて、下記のような人物だと言うことがわかったとする。

・彼の作るものは、周りのディレクターなどから評判が良いのだけれど、本人に自信が足りなくて、もっとこうしたら?というアドバイスをそのまま受けて、そのままのものが次に上がってくる。

・どう見ても朝方のタイプではないのに、頑張って朝出社しようと頑張っている。(裁量労働制の場合など、何時に来ても自由であっても)

・周りを巻き込む力がまだまだ足りなく、なんでも自分で解決しようとしてしまう。そしてできなくて諦めてしまったり、忘れてしまったり。

実は伝え方も重要だ。自信がない人に対して自信を持て!というのは解決策として有効ではなさそう。気づけばその人が自信を持っているという状況を作れると良い。例えば私はこんなことをした。(こんなことをしていたのかと思われるからこの記事は本人に見られないようにしたい笑)

彼が他のデザイナーの制作物に対してレビューしてるのを見かけた時、「そう、私もそう思ってた。さすが良い視点を持ってる。」というように些細な褒めるコメントを何度か書いた。もちろん、良いコメントを書いていたからというのが前提。

少しずつ続けるうちに、積極的に他のデザイナーへのレビューをしたり、彼の受け持つ仕事に対しても意見をちゃんと言うようになっていった。自信を持って仕事ができるようになってきたように感じた。

また、こういう提案を持っているというアイデアを小耳に挟んだ時は、◯◯さんも近しいことを考えていたみたいだから、ちょっと相談してみるのもありかも。と伝えた。1人で完結して意見を止めるのは勿体無いので、少しでも周りを巻き込めるようにしてみたりした。◯◯さんには事前に伝えたりもして軽い根回しをした。

尚、何度頑張っても朝起きられないなら、朝起きること自体がむいてないからやめた方がいいと諭した。人間には朝型と夜型がいると認識している。私が早く来ているからといってそれに合わせる必要はないと思う旨も丁寧に伝えた。

問題点(というか、もっと良くなるには)を直接的に伝える手ももちろんあるが、経験上それだけを伝えただけでは、その人はなかなかこちらが思った通りに成長していってくれない。

上記のようなことを半年ほど続けてみたところ、彼は驚くべき成長を遂げ、立派なエースデザイナーへ育っていった。非常にうまくいった例である。とても当たり前のことだが、彼自信がそもそも優秀だったからこその話であって、私のおかげです!と言うつもりは毛頭ない。少しの手助けで、こんなに人は成長していくのか!と驚いたので、今回noteにその経験をまとめることにした。

一応書き記しておくけれど、シニアデザイナーの更なる育て方という部分。シニアなんだから、彼らはほぼ勝手に育ちます笑笑。それでももっとこうしたら、とか当たり前の提案や、状況を伝えることはします。

そういう時にいつも思うのは、自分も絶対に偉そうに自分の作ったものや考えに固執しないで、誰かが意見を言ってくれたら真摯に絶対受け止めようと思っている。そもそも言ってもらえるだけ超ありがたい。なので、いつもその気持ちを持ち、ご意見ありがとうございますと冒頭に書いたりします。そして、高い視座からいつも見守ってくださる素晴らしい上司や同僚には特に感謝の念を抱いています。

もはやデザイナー育成というよりは、コミュニケーションが大事!という話になったような気がしますが、会社員になった途端コミュニケーションが大事だ!と突然言われるのはこういう事なのかなと、働いていていつも思います。

それでは良いデザインライフを。

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