作詞少女/仰木日向

タイトルの通り、作詞に挑戦する女の子の物語。これがまあ、なかなかにエグいお話です。

主人公の女の子は元々詩を書くのが好きで、それ専用のノートをつくって書き溜めてるような子なんですね。で、とあるきっかけで作詞に挑戦することになったんですけどまあ上手くいかなくて、そんな時に出会った同じ高校の1コ上の先輩が実はプロの作詞家で、その人に作詞教えてもらうことになったってのが物語の入り口。

『作詞』ってものが具体的にどういうものなのかってのがわかりやすく書かれているのに加え、それを扱う作詞家、作家とはなんなのかってことを根っこの部分から教えてくれています。

とにかく正しいことしか書いてない。ひたすら核心を、真理を捉え続けてる本です。人によっては読んでてキツくなるかも。僕の大好きな"都合の悪い真実"がわんさか出てきます。

"正論は使い方次第では暴力になる"って言葉をこれだけわかりやすく表してる作品は他に見たこと無い気がする。もうタコ殴りです。ボッコボコです。でもそれが良い。

1年半くらい前に出た本で、出てすぐ買って読んだんですけど、思うところあって読みなおしました。

作中に、『絶対価値と相対価値の話』ってのが出てくるんですけど、初めて読んだ時に理解しきれなかったんですね。で、それが悔しくてずっと考えてたんですけど、全然わかんなくて放ったらかしにしてたんです。

だけど最近岡本太郎の『今日の芸術』って本を読みまして。読み終わった瞬間に「あれっ?なんか今ならわかる気がする」と思いまして、これはもう一回読まなければとなった次第です。

結論としては、とりあえず自分の中で「まあ恐らくこれが正解だろう」というのは出ました。とりあえず自分が納得できる答えは出せました。

ただ結局これは答えそのものより、答えに辿り着くまでの過程の方が大事だった気がします。人に答えを聞かず、自分で辿り着くことに意味があったのかと。

ただ僕が出した答えが正解かどうかはわからないので、いつの日か答え合わせができたら良いなと思ってます。

今回で読むの3周目だったんですが、読む度新しい発見がある非常に良い本です。作詞や音楽に限らず、創作活動をしてる方に読んで欲しいなと思います。少し読むのに勇気がいるかもしれませんが。

読んでいただいてありがとうございました。退屈しのぎにでもなっていれば幸いです。