クズころがし/鈴木拓(ドランクドラゴン)
お笑いコンビドランクドラゴンのいわゆる"じゃない方"で有名な鈴木拓さんの著書。
約4年前に出た本で、出てすぐ買って読んだんですが、なんかもう一回読みたくなって引っ張り出しました。
タイトルの"クズころがし"ってのはいわゆる"土地転がし"的な意味だそうで。
自分で自分のことを"クズ"だと自覚して、それをころがして仕事にして今まで生きてきた鈴木さんの処世術の全てが書かれてます。
4年ぶりに読みましたがやっぱり面白い。大好き。
なんせ冒頭から「努力は人を裏切る」ですからね。最高。
この本、とにかく嘘が無いです。身もふたもない本音しか書かれてないです。なのにきっちりエンターテイメントに仕上がってます。この文章力は多分才能。
嘘が無いだけでなく、嫌になる程正しいことしか書いてないです。ド正論だらけ。シンプルに頭良いです鈴木さん。
読んでると人の心の内側の触られたくないところガンガン突かれるんですけど、不思議とそんなに嫌な感じがしません。これも多分人柄なんだと思います。人柄からくる説得力がある。
だいたいこーゆー処世術の本って、ある程度の成功者で、かつそこそこ好感度もあったりするひとが書いてることが多いイメージがあるんですけど、そうじゃない人が書いてるってのがやっぱりデカイと思います。
や、冷静に考えれば超成功してる芸人さんなんですけどね。いっぱいテレビ出てるし、出続けてるし。好感度は底辺だけど。
でも成功者だとは思われてないってところがミソかと。
「芸能人だけど限りなく一般人に近い芸能人」ってイメージがあって、なんならほとんどの視聴者から舐められてる。『アイツ何にもしてねぇじゃねぇか!』『あんなんで良いなら俺でもできるわ!』とか思われてる人の言葉だからこそ刺さる部分ってのがあると思います。
あとやっぱり思うのが、自分のクズっぷりを他人事みたいな視点で見れてる人の文書ってやっぱり面白い。西村賢太さんの小説に通じるものを感じた。
あとがきにも書いてありました。「自分の考えを文字にすると非常に危険だなぁ」って。
若干心に突き刺さり過ぎる言葉も出てくるので、心弱い人はちょっと気をつけた方が良いかも。「夢を持つことを働かないための免罪符にしてる」とか言われたら倒れるヤツいるんじゃねぇかな。
なるべく若い人に読んで貰いたいなって思う本です。日本全国の中学校高校の図書室に置いて欲しい。
読み終わったらきっと好きになります。
相方の塚地さんのことを。