昔の話⑥

高校2年生の頃の話。

何月頃かは忘れちゃいましたけど、そろそろ具体的に進路決めないとなって時期でした。

僕は特に何になりたいとかはまだ決めてなかったんですけど、とりあえず大学に行って部活(野球)を続けたいなって思ってました。

このnoteの記事では部活やってたころの嫌だった話とか文句とか結構書いてますけど、なんだかんだ野球自体は好きだったんですね。

そんでまあ、とりあえず親に相談するわけですよ。とりあえず母親に言うわけですよ。思ってることをそのまま伝えるわけですよ。

そしたら母親からこんな返事が返ってきました。

「そんな金はウチには無ぇ」

バッサリです。これ以上無いくらいにシンプルでわかりやすい答えです。自分の家がそこまで裕福ではない自覚はありましたが、こんなにバッサリ切られるとは思ってませんでした。

ただ一応僕も粘るわけですよ。そうは言っても自分の進路の話ですからね。そんな簡単に「わかりました」とも言えないわけですよ。

そうしてたら母親がおもむろに立ち上がり、一旦別の部屋に行きました。

で、帰ってきたんですけど、その手には銀行の通帳が握られてて、それを開いて僕に見せながらこう言いました。

「よく見ろ。これが今のウチの全財産だ」と。

そこに記載されていた残高は、どんな言葉よりもわかりやすく僕に現実を教えてくれました。それはもう絶大な説得力がありました。

その残高を見た瞬間、僕はものすごく申し訳ない気持ちになりました。「僕はなんて無茶な要求をしてたんだろう」と。「僕はなんてワガママを言っていたんだろう」と。

現実を思い知った僕は速やかに母親に謝罪の言葉を伝え、改めて進路について話し合いました。極めて冷静に。

で、最終的にさほど学費の高くない専門学校的なところに行くことにしました。

今考えるとムチャクチャしやがるなこの母親と思いますが、シンプルかつ超効果的な方法であったことは間違いありません。明け透けにも程があります。親としてのプライドとかなかったのかな。

あと、こいつとオレは確実に血が繋がってるなと思いました。遺伝ってやっぱりあるんですね。

まあ、そもそもそんなに野球上手くなかったから大学まで続けてたところで屁のツッパリにもならなかっただろうし、草野球で充分楽しいし、大学行ってたとしても結局金の無駄遣いだったんだろうなって今となっては思うので、結果オーライです。

こうなることを見越しての行動だったら凄いんですけど、絶対違うだろうな。シンプルにマジで金無かっただけだろうな。

アイツはそーゆーヤツだ。

読んでいただいてありがとうございました。退屈しのぎにでもなっていれば幸いです。