stand by me 描クえもん/佐藤秀峰

画像1


去年見つけてゲロを吐きそうになるほど心がエグられた漫画。『海猿』や『ブラックジャックによろしく』の作者(恥ずかしながらどちらも読んだことがないのですが)、佐藤秀峰さんの描く出版界の一端を描いた漫画です。

フェイク・ドキュメンタリー的手法で描かれた作品と謳われていますが、「これたぶんほぼ作者の実体験だよな?」と思わせるほどのリアリティがあります。むしろフィクションであってほしい。

うだつの上がらない漫画家志望の主人公がアシスタントをしながらもなんとかデビューを掴むと、そのデビュー作がいきなり大ヒット。売れっ子漫画家になったと思いきやその実状は生き地獄だったというなんとも夢の無い物語。悲しいかなきっとこれが現代の『まんが道』なんだろうなと思わされました。

「こんなにぶっちゃけちゃって大丈夫かな?」と心配になるほど赤裸々に色んなことが描かれちゃってるので、気になって作者の方についてちょっと調べてみたところどうにも嘘を吐くのが苦手というか、嘘を吐けないタイプの人のようで、話題には事欠かない人だった。得心した。

現在第2巻まで出てて、なかなか次が出ないもんだからこれも調べてみたところ、web(http://www.to-ti.in/)での不定期連載であんまり話が進んでなかった。更新頻度が2~3か月に1回くらいだった。そりゃ出ないわ。でも安心した。

第2巻が去年の5月くらいに出てて、その後新刊の情報がまったく出てこないから、業界の力で打ち切られたのかもとか思ってたけど、そうじゃなかったからよかった。まだ続きが読める。

第2巻の巻末に作者のあとがき的なものが書かれているのですが、これが「遺書かな?」と思わせるような内容で。それだけ執念と言うか怨念のようなものが込められてるように感じられて、だからこそ惹き付けられるんだなと思います。

どう転んでもハッピーエンドになんてならないであろう作品ですが、嘘が嫌いな方には是非オススメしたい作品です。

読んでいただいてありがとうございました。退屈しのぎにでもなっていれば幸いです。