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「サピエンス全史 上」を読んで、男女の格差を考える

「男女間の格差」

女性の社会進出が叫ばれるようになって久しいが、しかしこの日本ではまだまだ男性優位な部分があるのは否めない。人類の歴史をたどってみると、農業革命以降、世界のほとんどが、男性を高く評価する社会を形成した。たしかにクレオパトラ、エリザベス1世、卑弥呼など、女性が指揮者として頂点に立つ例もあるが、しかしそれはわずかな例にすぎない。

なぜだろう。男性は本当にそれほど優れているのだろうか。あまりそうは思えないのだが……。それとも他になにか生物学的に、男性のほうが女性よりも重んじられるものがあるのだろうか。ボクはこれまでなんとなくではあるが、弱肉強食の歴史がそのまま社会の形成に繋がったのでは、と思っていた。

ところが、今読み中の「サピエンス全史」は、ボクの弱肉強食論を全否定しているのだ。な、なに〜ッ!これは面白いではないかッ!ボクのいう弱肉強食論とは、本書でいう第8章「筋力」と「攻撃性」だ。人類の長い歴史の中で、「筋力」と「攻撃性」の勝る男性が、この2点で劣る女性を力ずくで圧倒していった、というのがボクの考えだ。それを本書は全否定している。

まず1点目の「筋力」。男性は女性よりも力が強いため、力によって女性を服従させたという説だ。しかしこれは平均的に男性が女性よりも上回るというだけで、中には男性よりも重いものが持てたり、速く走れる女性も多く存在する。では、それらの女性が男性よりも大きな権力をもつのかといえば、そうとも限らない。

また単純に筋力のある者が権力をもつというならば、60歳の人間より、20歳の若者のほうが権力をもつことになる。しかし政治、会社、組織など、権力をもって支配するのはだいたい筋力のない60歳だ。20歳の若者が総理大臣になることはない。そして、たいてい肉体労働をするのは、下っぱで筋力のある20歳の若者だ。

次に2点目の「攻撃性」。男性は女性よりも攻撃的で暴力的なのは歴史を見れば一目瞭然。人類の歴史は戦争の歴史。その戦争を積極的におこなうのは男性だ。男性が軍を支配し、そして男性どうしが争うことによって、そのまま社会も男性が支配したという説だ。

しかしここで考えるのが、兵隊は男性だとしても、その兵を動かす将校は女性ではいけないのか、という点だ。歴史を見ても将校は貴族が多く、必ずしも「攻撃性」が必要かといえばそうではない。

ではこれが戦争ではなく社会だったらどうだろう。政治家や経営者、裁判官、弁護士、医師、教授など、これらの従事者が「攻撃性」の高い者では、なんだか最悪の選択をすることが多いようにも思える。

その点で女性は、妥協や協調性、多角的な視点、相手の立場にたって物事を考えるという面で、男性より優れている場合が多い。また状況が平時と緊急時でも違うであろう。戦場のような現場は「筋力」と「攻撃性」のある者にまかせて、安定が望まれる状況での指揮者は、むしろ女性のほうが適任の場合も多いように思う。

にもかかわらず、「なぜ社会は男性優位になったのか」という問いに対して本書の答えは……

……

わからない、だそうだ。

なんじゃッ!わからんのかいな💦

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