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ウクライナ情勢を考える

2月に入ってから、ウクライナの隣国であるモルドバで緊張が高まっている。モルドバのサンドゥ大統領によると、ロシアがモルドバ国内でクーデターを計画しているというのだ。これが本当に起これば、モルドバもこのウクライナ戦争に巻き込まれることになる。

いっぽうロシアのプーチンは、ウクライナがモルドバの親ロシア派地域を攻撃しようとしていると訴えている。これは2014年のクリミア戦争と同じような口実のようだ。ということは、プーチンの狙いはやはり領土拡大なのか。

モルドバはウクライナの西側に位置する。そしてウクライナの東側はロシアだ。また北側には親ロシア派のベラルーシがある。なるほど、つまりモルドバが親ロシア派の国になると、ウクライナ包囲網が完成するのだ。

モルドバは小国だ。NATOにもEUにも加盟してない。そしてこの終わりの見えない戦況。プーチンがこのこうちゃく状態を打破するために、確実に勝てるであろうモルドバに狙いを定めることは、十分考えられる。かつてイギリス侵攻でこうちゃく状態となったヒトラーが、現状を打破するために、確実に勝てるであろうソ連に侵攻したように。

当時のソ連はスターリンによる大静粛が行われ、軍部が弱体化していたのだ。そこに目をつけたヒトラーは、標的をイギリスからソ連へと変えた。ところが、結果的にはヒトラーの思惑どおりにはいかず敗走することに。戦線が拡大すれば、補給線はのび、統制は乱れ、泥沼化。そしてそれらが国家の弱体化をまねき、破滅への一歩となる。

独裁者の権力の源泉のひとつに、カリスマ性がある。カリスマがあるから人は従うのだ。そのカリスマを維持するには、やはり勝利が必然なのだ。戦争で敗走しては、自身の権力の基盤が揺らぎかねないからだ。

プーチンは自身の権力とカリスマを維持するため、なんとしても勝利という結果がほしいはず。そして自身の主張を正当のものとしたいはずだ。そう考えると、モルドバが主張するロシアによるクーデター計画は、ますます現実味を帯びてくる。

ともあれ、ロシアによる他国への戦線拡大は、最悪の場合、世界戦争へと発展しかねないだけに、モルドバの今後の動向が見逃せない。

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