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根っこ


私は小さい頃から 変わった子だった。

おとなしかったので
目立つような変わった子ではなく
どこにいても
自分だけ 何か人と感覚が違う感じがして
浮いているような気がしていた。


保育園にいっても
外の世界や音がこわくて

よく狭いロッカーに
閉じこもっていた記憶がある。



小学一年生の時
家を新築した理由で
転校した。

あまり友達作りも得意ではなく
とにかく、学校や外の世界がこわかった。


その頃の記憶は曖昧で
あまり覚えていないが
今でも思い出すことがある。

それは
目立つのが嫌いな私が

なぜか
教室の外のコンクリートの塀に
またがって遊んでいたらしい。

それで
母が担任の女の先生に呼び出された。



とても厳格なベテラン先生で
私はその先生が怖くてたまらなかった。

その先生に
母は色々注意されたらしい。


でも 母は
意気揚々と帰ってきた。

「あの子なりの考えがあってしたことです。
それを私は信じます。」

というようなことを言い放ったようだ。

記憶が曖昧なので、ニュアンスでしか
覚えていないが

とにかく母は
その女先生から、私を守ってくれた。

私はそれを聞いて
母を「かっこいい」と思い
胸がスッとしたのを覚えている。

母は私と違い
白黒をはっきり言えるタイプだ。

定年までフルタイムで保育士として貫いた
芯のしっかりした人。

私はクラゲのような
ゆらゆらふわふわしている性格だが
母は竹を割ったような性格。


小さい頃は両親が共働きで淋しかった
なんて言っていたけど
今思えば 拗ねていた。




その後も
相変わらず私は「変わった子」のままで
あまり人とも馴染めなかった。

一見馴染んでいるように見えるが
八方美人でどこか人と一線を置いていた。


特定の心が許せる友達はいるが
本当に少なかった。


どこにいても
自分だけ浮いている感覚を持ちながら
ここまで生きてきた。



でも何か
「根っこ」のようなものが
確実にある気がする。

それは 母が 父が

あの時も
それまでも 
それからも

いつもいつも


「わたし」という存在を
認めて 信じて 守っていてくれたから

なのだと思う。

それが 風が吹いても  
少々は倒れない 

根っこになっているんだと思う。

今まで結構色んなことがあったけど
今もこうして
根をはって生きれている。



お母さん

あの頃より 根っこ強くなったよ








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