July Tech Festa 2020 配信担当のうわ言
ども、JTF2020実行委員で、配信担当をしていた山崎です。JTFは2013年の初回から運営をしておりまして、普段は株式会社あくしゅって言う零細企業の経営をやっている者です。今回初のオンライン配信となりましたので、せっかくですから、その方法を簡単に記録しておきます。
全体像
ざっくり言うと、講師の方はZoomで配信、聴講者の方々はYouTube Liveで視聴、と言う形です。トラックマネージャはトラック毎に司会をしていた人たちのことで、講師と直接連絡をしながら、OBS Studioでシーン切り替えなどを担当しています。今回は7トラックあったので、7人で手分けをしました。僕は当日のトラブル対応担当です。
OBS Studioでの配信のために、安定した回線とマシンパワーが必要でしたので、AWSの東京リージョンにWindows Serverをセットアップし、トラックマネージャの手持ちLaptopはRDPクライアントとして利用しました。今回は単純にマシンイメージでバックアップして、そこから7台(m5n.4xlarge)揃えると言う方法を取りました。予備機で8台目も用意しておきました。
OBS Studioの設定
OBS Studioは、YouTube Liveへ流し込む前に、講演のタイトル、講演者様の氏名、ZoomやTwitterのタイムラインを合成した画面を作ることができます。配信中の画面の裏で、配信予定の画面を作ったり、予め用意したシーンに切り替えるなど、便利な機能が揃っています。そこそこマシンパワーを使うのと、GUIとデータ構造に結構クセがあって(特に複製が複製にならないケースがあるとか)、使いこなすのに少々慣れは必要です。でも総論、手軽で簡単と素晴らしいソフトウェアなので、オススメ。
今回は、42セッション分のタイトルと氏名を、マウスとキーボードでチマチマ入力するのが、あまりに辛いということが分かりました。OBS StudioはUndo機能がない(基本的にライブ配信用ソフトなので、確かに設計しづらい気がする)ので、エディタとしてはなかなか慎重に操作せざる得ない。3セッションくらい手入力したところで心が折れました。
そこで、CSVファイルで42セッション分のリストを作り、プログラムでそれを読みつつ、OBS Studioのシーンファイル(JSON)を自動で吐き出すことにしました。シーンファイルの仕様は不明でしたが、とりあえず解析したらそこまで複雑な形式ではありません。これで魂持っていかれずに済みました。
Windows Serverの設定
AWSのWindows Serverにはスピーカーがありません。データセンターで小粋な音楽を鳴らす必要はないですから、ハードウェアとしてそもそも搭載していないわけです。そのため、仮想オーディオデバイスドライバをインストールする必要があります。Zoomがこの仮想デバイスへ音声を流すように設定すれば、OBS Studioで音声をキャプチャでき、YouTubeへ届けられます。
VB-Audioが有名みたいですね。これをインストールしておきましょう。
あとは、Twitterクライアントも入れておきます。
リハーサル
練習はとても大切です。
1. 技術的課題を解決する (Zoom + OBS Studio + YouTube Live、AWS利用)
2. 実行委員会内での配信テスト
3. プレイベントでの1トラック配信テスト(7/2)
4. オペレーションの確立、マニュアル化、学習
5. 当日前の講師様とのリハーサル (7/20〜7/24)
6. 本番当日 (7/25)
段取りとしてはこれくらいです。
【失敗】 当日の司会の音響問題
JTF2020へのアンケートご協力ありがとうございます。ご意見を見てみると、当日は司会の人が7人同時に会話するため、他トラックの声をマイクが拾って大変聞きづらかったと苦情をいただきました。本当に申し訳ないです。
ある程度高速なネットワーク環境や、トラブル対応をスムーズに行えるだろうと言う観点で、弊社に集まることにしました。ただ、弊社が物理的に狭すぎました。音を拾ってしまうだろう懸念はしていて、事前にテストをしました。ちょっと気になるけど仕方ないと言うことで、物理的に条件が揃わなかったので、この点は諦めました。ちゃんとしたインカムを購入するのもアリかもしれない。テストが結構大変ですけれども。
もし、この点で、会場ご提供いただけるスポンサー様がいらっしゃいましたらご連絡ください。防音されたアクセスしやすい部屋を7つと、1Gb程度の高速有線LANがほしいです。
配信中の注意事項
ひとまず、配信が講師に渡ると、司会者はやることが無くなります。一方の講師は、結構孤独です。僕自身、大学の講師とか色々リモートでやってみた経験上、聴講者側の反応が全く読み取れないので、話すペースが作れない感じがしました。最後まで独走体制。どうも適切な間が作れないんです。
そのため、司会者には講師の話しにしっかり耳を傾け、ちゃんと頷くなどのリアクションをするようにお願いしました。
司会者には、トラック単位で興味があるところを担当してもらうなど、調整をしておくと良いでしょう。
謝辞
ご参加いただきました講師の皆様、聴講者の皆様、本当にありがとうございました。応援チケット買ってくださった方々、大感謝です。助かりました。
今回はとりあえずやってみようと言うことで、オンライン化しました。無事に運営そのものは終わりました。でも、運営委員会はボランティアなのにも関わらず、2013年第一回から今回初の赤字運営でした。なので、もうちょっと持続可能な方法を模索しないといけないです。技術的にはまぁこれで良いだろうって感じですので、運営としては来年に向けて調整し、もう一度挑戦してみたいと思っています。
引き続きよろしくお願いいたします。