地下アイドルのライブを生まれて初めて見ました

 お久しぶりです。以前の記事で書いたように、自分には「推し」と「アイドル」という概念が今ひとつわかりません。しかし、実物を見もせずに批評・批判するのは良くない事です。なので今回は実際に地下アイドルのライブを生まれて初めて見てきた感想を書きます。推し概念を理解するために今は情報収集を強化しているため、前回から時間が空いてしまいました。
 
・ライブ会場到着
 今回行ったのは3組のグループの合同ライブでした。グループ名は覚えていなくて、これはわざわざ名前を出したくないというのもあるのですが、ライブから1ヶ月経って本当に覚えていないという理由もあります。一番人気のあるグループのYoutube再生数が数千回、残りは800回ぐらいでした。
 自分がライブ会場前に行った時には既に50人ぐらい客がいて、後から20人ぐらい来ました。観客層はある程度予想通りで、頭髪の薄い中年男性もいましたし、大学生ぐらいの人もいました。驚いたのは普通に美人でファッショナブルな若い女性客も4人ぐらいいたことです。男性客同士はかなり親しいようでした。するとその時、全身ピアスだらけの金髪の痩せた男性がこちらを監視している事に気づき、無茶苦茶怖かったです。後からピアス男はライブハウスの店員だとわかりました。
 チケットの購入順で地下のライブハウスに入りました。箱は人が80人ぐらい入れるぐらいの広さで、外側にバーカウンターと10畳ぐらいの物販購入スペース兼休憩所がありました。
 
・1組目
 初めにメインのグループの物販販売タイムがあり、僕はグッズに興味が無いので箱の中でぼんやりしていました。オタ芸などの暗黙の了解がわからないので最後列で見ることにしたんですが、これが致命的な間違いでした。ライブハウスはオールスタンディングで床に段差が無いため、最後列だと前の人に視界をさえぎられてアイドルが顔の一部しか見えないのです。ダンスも衣装もさっぱり見えません。このアイドルはロック調の曲に合わせて踊るグループで興味があったのですが、タイムスケジュールが無く1組目に出てくるとはわからなかったため、このザマでした。

・2組目
 1組目終了後、とりあえずドリンクチケットを早めに使っておくために僕はバーカウンターに行きました。僕はお酒に弱いのですが、高いドリンクチケットをソフトドリンクと交換するのが嫌だったのでハイネケンを飲みました。すると緊張や人がたくさん居る環境のせいか、てきめんに気分が悪くなってしまい、2組目はずっと休憩スペースの椅子に座りっぱなしでした。なので2組目の記憶は全くありません。ハイネケンは美味かったです。

・3組目
 一番人気のある主催グループがトリでした。まだ若干気分が悪かったのですが無理にでも楽しもうと思って真ん中から後方寄りぐらいの位置で観覧しました。多少はアイドルの姿も見えた気もするし、掛け声に合わせて手を振ったはずなのですが、なぜか内容が記憶ありません。アイドルのメンバーとか、どんな曲だったかとか、まるで覚えていないんです。最後は3グループが舞台に全員集まって、夕方からの別のライブの告知をして終了でした。ライブ終了後は物販タイムで、何か握手券でも売っていたら話のタネに買ってみようかとも思ったのですが、そういう物は無くグッズの販売だけだったので、僕はグッズには興味は無いので帰りました。

・感想
 初めに驚いたことはライブハウスの殺伐とした雰囲気でした。これがロックバンドならこの殺伐さも味わいなのかもしれませんが、こんな地下でアイドルがパフォーマンスするというのに違和感というか、大変さを感じました。
 アイドルのライブ自体はお察しの通りあまり楽しくなかったです。これは自分がライブを観た位置が一番良く無かったと思います。アイドルライブの魅力はダンスが半分以上を占めるにも関わらず、そのダンスをロクに見れない位置なのだから話になりません。これはライブハウスという建物の構造自体に問題があると思います。
 前の列ならかなり印象は違ったと思うのですが、地下アイドルのライブ観戦入門サイトを見た所、「暗黙の了解として対バンライブの場合そのグループを応援している人に最前列をゆずる」と書いてあったので、素直に後方で観たところこのザマでした。もっとピンチケになって前方の列をガツガツ取りに行けば良かったと思いました。

・地下アイドルとは
 私はこれまで地下アイドルとは「中年男性がアイドルにガチ恋をして、大金をだまし取られているのでは無いか?」と偏見を持っていました。しかし実地で観覧してみてそれはちょっと違うんじゃないかと思うようになりました。
 まず地下アイドルってそんなに儲かるビジネスではないんじゃないかと思いました。仮にあのライブスタジオにいた70人が5000円使ったとしても35万円、1万円でも70万円にしかならないわけで、それから経費を引いて残りをアイドル個々人やスタッフで分けるとかなり少ない額になってしまいます。もちろん悪徳な運営はどこにでも居るという事は置いておいて、これはある程度好きじゃないとできない仕事ではないかと、少なくとも「地下アイドルでウハウハ」というのは考えづらいのではないかと思います。
 また、騙されているのは男性客だけでなく、アイドルの女の子の側もまた騙されているんじゃないかと思いました。だって、Youtubeの再生回数1000回未満のグループがトップアイドルになるとかどう考えても無理でしょう。ドーム公演・武道館どころか収容人数1000人のコンサートホールでライブする事すら難しいのでは?そう考えると女の子も騙されてアイドルをやっているのではないか。騙されているという言い方が悪いのであれば、やりがい搾取をされているんじゃないかと感じました。

 地下アイドルは名乗った者勝ちです。例えば野球なら140km/hの球を打ち返せない人はプロを名乗ってはいけないみたいな足切り基準がありません。だから男性ファンがお金を使ってアイドルから認知されたいという欲を利用して、そこら辺の女の子をスカウトして地下アイドルグループを粗製乱造しているのでは無いか。申し訳ありませんがそのような疑念を抱いてしましました。

 「推し」という言葉はアイドル業界から生まれた言葉ですが、想像以上に危険な言葉だったと感じました。地下アイドルはファン数が少ないから何万円~何十万円も使えばすぐアイドル側から認知してもらえる。それが嬉しくてどんどん金を使ってしまう。それが本心から応援しているのでも、アイドル自身の音楽やダンスのクオリティが高いから応援しているのでもなく、逆に「クオリティが低い=ファン数が少ないから逆説的に応援してしまう」という点が、私は地下アイドルの一番良くない点だと思います。それはただ単に金を失うだけでなく、人気があってクオリティの高い物にわざと背を向ける行為だからです。
 
 更に逆の逆として、もしも「ええ、私はアイドルとの交流や出会い目的で地下アイドルを推しています。だってその方がAKBに課金するよりコスパいいでしょう。」とか「私はお仕事兼、手っ取り早くルックスを磨いたり自己顕示欲を満たす道具として地下アイドルをやっています」という方がいれば、私はとてもクレバーだと思います。尊敬するとさえ言いましょう。ひょっとしたら、それすらも地下アイドル界では全て自明の事なのかもしれません。「武道館に行きたい」というセリフが、本気で言っているのかプロレスなのか、地下アイドルの世界は奥が深すぎて私にはわかりません。

(補足:もちろん、「俺はジャニーズやAKBグループよりもZOCの方が素晴らしいと思う」というように、ポジティブかつ合理的な理由で地下アイドルを推している人も沢山いるとは思います。が、私は地下アイドル界に詳しくないため、今回そういうアイドルを見つけられませんでしたし、例え見つけたとしても東京には遠征に行けませんでした。もしもアイドルファンから見てうがった内容の記事になっていたらすみません。)