娘がバレエを辞めることになりました

来月で10歳になる娘が、来月でバレエをやめる。

3歳からはじめたバレエ。7年続けても、前屈でマイナス値を記録する柔軟性はないし、4回でた発表会はずっと端っこだった。そんなに楽しんでいるようにも、好きなようにも見えないのに、レッスンで先生に怒られても、後から入ってきた子に技術であっさり抜かれても、仲良しのレッスンメイトが教室をやめても、レッスン時間の都合で教室を変えても、決して「辞めたい」とは言わなかった。

全然上達はしないけど、周りの子よりも断然下手だけど、週に1回。髪の毛をお団子にして、レオタードを着て、バレエシューズを履いて、レッスンする時間が彼女には何か特別だったんだと思う。

わたしは、娘を通じてはじめてバレエの世界を垣間見た。幼児レッスンの可愛らしさからはじまって、徐々に厳しくなっていく芸事の師弟関係。娘はそのクラスには入らなかったけど、コンクールに出場して入賞を目指すクラスのレッスンの先生の厳しさは、普段のレッスンとはまるっきり別人だった。
発表会のたびに10万以上の出費があることは、家計に大打撃だったけど、衣装を着て、舞台で踊る娘を見るのは、例えそれがどんなに下手でも半年近く練習してきたことを知っているだけに胸が熱くなった。

そんな彼女が、ついにバレエを辞める決心をした。

きっかけはささいなこと。半年前に通いはじめた学習塾が春の進級によって授業日が変わり、バレエレッスン日とブッキングしてしまう。学習塾の授業日は変えられないので、バレエレッスンの曜日を変えるか・辞めるか、の選択になった。

レッスンの曜日を変える。を選ぶだろうなと思ってた。ところが

娘は「辞める」を選んだ。

意外だった。

「春から○○○(弟)が、空手を習うんでしょ?そしたら、お母さん送迎とか付き添いするんでしょ?だから、わたしもそっちにする。」辞める理由をそう教えてくれた。

「お母さんが習い事の送迎と付き添いをしてくれる」

これが、娘には何より価値があったんだ。

6年間通ったバレエ教室は自宅から少し離れていた。毎週のレッスンにはわたしが送迎して付き添いしてた。送迎だけの家庭が多いなかで、家に帰るには距離があったのでいつも更衣室で待っていた。休憩時間になると、娘は更衣室に戻ってきてはわたしの膝の上にすわって水分補給してた。1年前から通いはじめた教室は、ひとりでバスでレッスンに通うようになった。バス通やレッスンメイトとの帰り道のコロッケの買い食い、新しい体験と新しい楽しみが増えていって、それはそれで楽しそうだった。

でも、今はすべての習い事にひとりで通っている娘。春からはじめて習い事をする弟によって「お母さんの送迎付き添い」が復活する。だから彼女はバレエをやめて、弟と一緒に空手を習い始めることにしたと言う。

バレエよりもお母さんを選んでくれるなんて。母さん胸キュン。

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