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丫人 5

小さいおっさんはひとしきり話すと、水瓶からコップいっぱいの水をすくいだし、一気飲みした。

「元のサイズの時は、これくらい話したところで水分補給は要らんかったが、この体だとかなりきつくなる。水分が足りんくなったら、急に体の力が抜けて、頭がガンガンし出すで。おっさんもそろそろちゃうか?」
「ん?なんともないけど・・・」

といった瞬間だった。体が鉛のように、というより床に引きつけられる感覚になった。次の瞬間、俺は地面に這いつくばっていた。

「ほら、いわんこっちゃない。あれだけ暴れ倒したんや。そろそろ来ると思ったわ。」
「・・・」
「うわ、意識無くしてるやん。水、水」

意識を戻すと、さっき感じた暖かさとやわらかさのあるベッドの上にいた。体を起こしてみると、小さいおっさんがいなくなっていた。それだけでなく、壁には大きな傷跡があり、部屋の中のものがめちゃくちゃになっている。

よく見ると、窓側の壁と出入り口の壁に赤い液体が付着していた。

「小さいおっさん?どこにいるんですか?かくれんぼしてないで、出てきてくださいよ。」

しかし、応答はない。その時、部屋が揺れた、大きな地震のように感じた。何事かと思った瞬間、大きな手が部屋に飛び込んできた。

俺は慌ててベッドの枕元と壁の隙間に飛び退いた。次の瞬間、大きな手から鋭利なものが出現し、ベッドをかっさらっていった。そして、窓から見えたのは大きな動物の尻尾だった。

ニャウーン。フガフガ。

聞き覚えのある声だった。

「ネコだ!」

どうやら、ネコに襲撃されているようだ。さっきのベッドが引っかかったことでネコが手を払っているようだ。そのたびに部屋が揺れる。

「さっき外に出たときに見たのは、木だった。ここは木の上に作られた家なんだ。窓から見える様子、出入り口から、木の中なのかもしれない。」

ネコはベッドを払いのけることができたようだった。今度は出入り口の方をひっかいている。そして真っ直ぐ伸びてきた。部屋の奥の壁をえぐりとり、そのまま床に大きな傷が残った。部屋の角にいたから助かったが、このままだったらすぐに殺されてしまう。あのおっさんはネコにやられたのかもしれない。

バコンッ!!

窓が吹っ飛ばされた。今度はそこから手が入ってくる。直線上にいた俺は咄嗟に窓のすぐ横に転がり込んだ。その瞬間、ネコの手が真っ直ぐ伸びて、俺がさっきまでいた箇所をえぐっていった。

このままここにいたら、捕まるのを待つだけになってしまう。何とかしないといけない。部屋の中を見渡すが、出入り口にはネコがいることがわかるだけだった。その瞬間、出入り口に大きな目玉が見えた。

俺はその瞬間、殺されることを悟った。動けば殺される。おもちゃにされてしまう。

しかし、同時にあることに気づいた。床からわずかだが、風を感じた。

「もしかして、木の中に入れるかもしれない。」

大きな目が消えた。その瞬間手が伸びてきた。間一髪横に飛び退いてかわすことができた。ネコの爪が地面にひっかかりえぐり取られた。それと同時、床が一部めくれて、階段が見えた。

「やはり、中には入れる!」

ネコの手が引っ込んだ瞬間、俺はその階段に飛び込んだ・・・


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