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【ゲームレビュー】Kena: Bridge of Spirits【アクションアドベンチャー】

XBOX Series Xコントローラーを使用。クリア済み。※本稿はPC(Epic)版『Kena: Bridge of Spirits』のプレイを基に執筆しています。

あらすじ

◆ 美しいアニメーションが特徴的な、ストーリー主導のアクションアドベンチャー。若きスピリットガイドの『Kena』を操作して、聖なる山の神殿を探す旅に出よう。
『Kena』は、さまよえる精霊が閉じ込められている生い茂った森に潜む、忘れ去られた集落の謎の解明に奔走することになる。

冒険の舞台となる美しい世界。

物語とアニメーション

◆ 上記したように今作はストーリー主導の作品であり、物語とアニメーションが非常に凝っている。
今作の開発陣が元々はアニメーション開発が専門である事と、幼いころからディズニー作品の影響を受けて育ったという事もあり、決して低いわけでは無い作品内の他の要素と比べてもアニメーションは頭一つ抜きんでて素晴らしい作りになっている。

特に重要となるキャラクターの表情や仕草にはこだわりが感じられ、ピクサー等の作品を観ているかのように感じられる場面もある。
詳細は後述するが、表情に関して言えば、プレイヤーを助け、ともに旅をしてくれる『ROT』と呼ばれる今作のマスコットキャラクターは表情がコロコロと変わりとても可愛らしいので必見だ。

今作のマスコットキャラクターである『ROT』達。

ストーリーやキャラクター毎の物語は短くまとまっており、ゲームの要所要所でムービーシーンが挟まって語られる形になっている。
短めの物語ではあるものの、そのキャラクターが好きになるには十分な情報が詰まったアニメーションで表現され、プレイヤーは良質な短編映画を観たかのような感覚になる事だろう。

キャラクターの表情は特に凝っている。

余談だが、ディズニー作品以外では世界観や一部のキャラクターからジブリ作品の影響が強く感じられた。

ゲーム内容

◆ 基本的なゲームの進行としては世界を冒険しながら、パズルと戦闘、それとちょっとしたプラットフォーマー的な要素を繰り返して攻略を進めて行くという、所謂『ゼルダ』ライクな作品になっている。

主人公である『Kena』が探索する事となる世界は多くの情報サイト等で『オープンワールド』として紹介されているが、実際のマップは『クモの巣』の様に枝分かれし、いくつかのエリアで区切られているタイプであるため、実際にプレイすると『オープンワールド』感は無い。

三つのエリアに分かれたワールドマップ。

エリアは3+αに区切られており、それぞれのエリアでボスに挑むために必要な三つの遺物を回収し、ボス戦に勝利したら次のエリアへ向かうというシンプルな仕組みになっている。

各エリアに到達、あるいは進めて行く事でパズルの攻略や戦闘でも使用可能ないくつかの能力が新しく入手できる。
それらの能力を使用する事によって、以前は到達できなかったエリアやパズルが攻略可能になるわけだ。
戦闘においては、新しい能力の使用が必須な敵も追加されていく。

パズル要素とプラットフォーマー要素

◆ 『ゼルダ』ライクな作品と言う事もあり、どのエリアでも複数の面白いパズルが用意されている。

矢を当てて装置を起動させたり、マスコットキャラクターの『ROT』達に指示を与えて特定のオブジェクトを移動させたりと行った、良い意味で何処かで見たようなパズルになっている。

プレイヤーはメインの攻略時よりも、寄り道で多くのパズルを見る事になるだろう。攻略する事によって、どの仕掛けも『ROT』や『通貨』といった何らかの報酬が入手できるので、メインの攻略に疲れた時等に寄り道をしてみると良いだろう。

弓矢を使用したパズル。

また、アクションパズル的なものやプラットフォーマー的な要素(アスレチック要素と言っても良いだろう)もいくつかの場面で行う事もある。

遠くに見える足場が目的地。

アドベンチャーの部分では『ゼルダ』以外にも全体的に近年の作品では、『Horizon』や『Arkham』シリーズ、その他の移動能力が類似した作品の影響が感じられた。

戦闘

◆ 戦闘面においては、主人公の各種動作は旧来のアドベンチャー系作品よりもスピーディーでストレスを感じさせないような動きになっている。

戦闘は通常攻撃、強攻撃、回避(ローリング)、シールドを使用した防御などが初期から使用可能だ。前述したように、それらの基本的なアクション以外にもゲームを進めて行く事で、新たな攻撃手段が追加されていく。

ボス戦ではアクションをフル活用する事になる。

戦闘では前述した『ROT』と呼ばれる可愛らしい見た目のマスコットを使用して敵の動きを止めたり、強力な攻撃を行う事もできる。

簡易的なスキルツリーも用意されており、敵を撃破したり、パズルを解くことで報酬として入手できる経験値の様なモノを消費して、能力をアンロックしていく事が可能だ。
解放可能な能力は『ROT』を集めていく事で増えていくため、パズルを頑張って解いて、『ROT』を可能な限り集めていくと良いだろう。

スキルツリーはシンプルな作りになっている。

ちなみに、戦闘ではこちらのアクションの動作や敵の動き等が全体的にソウル系作品の影響が感じられる作りになっているものの、スタミナの概念は無く、難易度も何時でもメニュー画面から変更可能であるため、アクションが苦手でも困る事は無いだろう。

難易度は何時でも変更可能。

深みの無い各種要素

◆ 恐ろしく出来の良いアニメーション部分は例外として、ここまで挙げた各種要素は高いクオリティでまとまっていると言える。だが、残念なことにそのどれもが他作品から影響を受けて現代的なシステムを導入しただけであり、どれもこれも中途半端な出来になっている。

アクションではボス戦こそ面白いものの、ザコとの戦闘は面白みに欠けているし、パズルは取れるアクションが少ないためにバリエーションが不足している。プラットフォーマー的な要素もとりあえず入れたと言った具合だ。

アスレチック要素はいまいちパッとしない。

特にパズル要素は“報酬”面が『ROT』以外は通貨などの入手しても嬉しくないものが多く、パズルを解くためのモチベーションを上げてくれる何かが欲しいところだ。

繰り返しになるが、決してクオリティが低いわけでは無いので誤解の無いように。簡単に言ってしまうと、それらの要素が抜きんでた作品と比べてしまうと、どの要素もゲーム面では熱中する程の作りではないというだけだ。

--------------------【良い点】--------------------


+ 洗練されたアニメーションと短くまとまった良質な物語

+ ストレスレスなアクション。

+ ゲーム的な面白さを兼ね備えたパズル要素。

--------------------【悪い点】--------------------


- 主人公自信の物語はあいまいでしっかりと説明されない。

- スキルツリーで解放可能な能力が少ない。

- アクションやパズル要素は深みが無い。探索要素の報酬がいまいち。

- ボリュームは少なめ。

----------------------【総評】---------------------


『Kena: Bridge of Spirits』はアニメーションと美しい世界が魅力的で、全体的に良くまとまった良作のアドベンチャー作品になっている。熱中する程では無いものの、ボスとのスピィーディーな戦闘は十分に挑戦的で、アクション面でも楽しめるだろう。

世界観やアニメーションに惹かれたのなら、是非ともプレイして欲しい作品だ。


プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:


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