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●自分を許す方法/灰羽連盟

今回は、昔書いた記事のリライトです!

一時期WordPressをやっていたのですが
記事は書けても、
ブログ構築の管理ができなくて
結局やめてしまったことがあります。

その時に書いた記事です。
2年くらい前かな。

アニメ「灰羽連盟」を
ものすごく熱く語っています!


え?知らない?

知らなくて当然ですよ〜。
2002年のアニメですから!笑
しかも深夜にやっていました。
かなりマイナーなアニメだと思います。

ですが、隠れた名作として名高いです。


ただ、この話、最初の展開が暗いんですよ。笑
いわゆる鬱アニメとも言える。
しかし、その展開がバネになった最終回は見ものです。

・どうせみんな居なくなる
・自分なんて消えてしまえばいい
・誰でもいいから許してほしい

こんな考えが少しでもある方は
絶対に見た方がいいです。救われるから。



ストーリー

では、さっそくあらすじを見ていきましょう。

高い空からまっすぐに落ちていく少女。
やがて彼女は
水に満たされた繭の中で目を覚ます。

古びた建物の一室で彼女を迎えたのは
背中に飛べない灰色の羽を持つ、
「灰羽」と呼ばれる人物たち。
繭の中で見ていた空を落ちる夢から、
少女は「ラッカ」と名づけられる。

高い壁に囲まれたグリの街、
灰羽たちの暮らすオールドホーム、
そこでの仲間たちとの穏やかな日々。
戸惑いながらも
少しずつその生活に馴染んでいくラッカ。

しかしやがて、
短い夏の終わりに1つの別れが訪れる。

(出典引用:wiki pedia)

さて、ここからはネタバレ有りで話を進めていくので、
まだ観ていない方は
是非アニメチャンネルなどで観てみてくださいね。
全13話なので、頑張れば一日で見れちゃいます。

ネタバレ上等な方はこのままどうぞ。


まずは「名付けられる」という点から。

この物語の冒頭で「繭から」生まれた
のは14、15歳くらいの少女でした。

その歳になるまでどこでどうして何をしていたのか、
まるで覚えていません。
住んでいた場所、家族構成、家族の名前、

そして、自分の名前さえ。

灰羽とは、そういうふうにして生まれてきます。

だから、生まれてくる直前の、
繭の中で見ていた夢で、名前を決めます。

冒頭で産まれた少女が見ていたのは、
真っ直ぐに空を落ちていく夢、
すなわち、落下(ラッカ)。

ゆえに、彼女の名前はラッカです。

そして、同じようにして生まれてきた
ネム、カナ、ヒカリ、クウ、そしてレキ。

優しい先輩の灰羽達によって、
生まれてきた灰羽の世界をゆっくりと知りながら、
ラッカは順応して行きます。


生まれた場所は、
オールドホームと呼ばれる古い寄宿舎のようなところ。
周りは農耕地で、街の中心まで続く道の途中には、
なんと古びた現役の風力発電装置。

街の名前はグリと言って、住んでいるのは
普通の人間です。

背中に小さな羽も生えていないし、
頭に光輪もありません。

街に住む普通の人たちにとって
灰羽は大切に扱われるものとして、遭遇したら幸運になるとまで言われるような扱いをされています。

そもそも灰羽が人の街に住まわせてもらっているようなもの。
住まいも服も、人のお古や使い古ししか使えない決まりです。


グリの街は、周囲を高い壁に囲まれています。

壁は、灰羽を悪いことから守る効果があると言われる一方、決して近づいてはならない、触ることすら禁忌とされています。

唯一存在する門からは、トーガと呼ばれる、顔を隠した謎の集団が時折訪問し、交易を行なっています。


この不思議な世界観が面白くて、
グリの街に行ってみたいなぁ、
灰羽になってみたいなぁと思えるんです。

…5話までは。


第6話からは、やたらと不穏な空気が流れ始めます。

オールドホームの灰羽は、上記で挙げたラッカを含む、
中学生以上と見られる6人が上級生、
小学校低学年から下と見られる年齢の子は下級生
という位置付けになっていました。

上級生の中では一番年下のクウは、
見た目的にもラッカより年下です。
13歳くらいかな?

ただし、オールドホームに来たのはクウの方が先なので、立派な先輩なわけですね。

だから、クウは「ラッカの良い先輩になるぞ!」と願っていました。
みんなのお手本になるということです。

5話までの時点でも、ラッカを気にかけ、励まし、仲良く生活していたのです。

そのクウが、突然いなくなるのです。


雷が鳴って大雨が降っているのに、
どれだけ待っても家に帰ってこない。

上級生たちは、雨ガッパを来てクウを探し回りますが、
最終的に皆、とある遺跡にたどり着きました。

そして、そこではじめて「巣立ち」の事を知ります。

灰羽は、ある日突然巣立つ。
街を囲む壁の外側へ。
そして、二度と帰ってこない。

永遠の別れです。

クウは、先輩として
「巣立ちとはこうやるものなんだよ」
と、身をもって示したわけです。

しかし、彼女の明るさに強く影響を受けていたラッカは、激しくショックを受けました。

何もかもが灰羽とって優しく、幸せに満ち溢れている世界なのだと思っていたのに。

ある日、何の前触れもなく、大切な人がいなくなってしまった。

そして、どこを探してもいない。
どこにもいない。

二度と会えない…。


内気な性格のラッカは、クウが居なくなったことに納得することができず、
考え込んで、抱え込んで、「罪付きの病」にかかってしまいます。

灰羽の証である背中の灰色の羽に、
黒い染みが浮き出てしまう病です。

ラッカは必死にそれを隠そうとして、
シミの浮き出た部分をハサミで切ったり、
夕食の時間などに顔を出さずに部屋に引きこもるようになりました。

そんなラッカのことを心配して気にかけていたレキという灰羽は、ある日偶然、羽の黒いシミを見つけてしまいます。
逃げ出すラッカを追って部屋に入ってみれば、無惨に羽を切っているラッカに遭遇しました。

レキは「名付け親」です。
ラッカがグリの街に産まれてから、まるで保護者のようにラッカの事を気にかけていてくれていました。

悲惨なラッカの現状を見たレキは、彼女を抱きしめます。
そして「罪付きの病」を霞ませる塗り薬をラッカに与えました。

それは、自分の羽根に塗っていたものでした。
レキも「罪付き」だったのです。

罪付きとは、一部の灰羽に見られる謎の病なのでした。

まるで傷を舐め合うように、
二人は黒い羽根のことを秘密にして生活します。


そんなある冬の日。

ラッカは、カラスに誘われ、
ふらふらと一人で西の森の方へ行ってしまいます。
その森は、灰羽は特に行ってはならないとされた危険な場所でした。

カラスに導かれてたどり着いたのは、ポツンとある古井戸。
その中を指し示す鳥に従って井戸を覗き込んだ時、
あやまって「落下」し、気を失ってしまいます。

ラッカが気絶している最中に見たのは、
一番最初に繭の中で見た時と同じ夢でした。

そして、自分は宙をただ落下していただけではなく、
引き留めようとしてくれた「鳥」がいた事を思い出しました。

井戸の底で意識を取り戻したラッカは、
声を張り上げて助けを求め、
偶然通りかかった仮面の交易者であり、物言わぬトーガに助けられます。

トーガは壁の向こうから来ている民です。
ということは、巣立って壁を越えたクウのことを、知っているかもしれません。

ラッカは、クウが無事で元気にしているか?
と聞きましたが、彼らは黙って去ってしまいます。

慌てて追いかけるラッカは、怪我をしてしまっていて思うように歩けず
「壁」にたどり着いたときにはトーガの姿はもうありませんでした。

壁からクウの声がする気がして、耳を当ててみると、あまりの冷たさに飛びのきます。

そこへ現れたのは、話師のおじいさんです。


見た目はトーガのような格好をして仮面をかぶっていますが、話師のおじいさんは普通に喋ります。
物言わぬトーガと手話のようなもので会話ができるので、話師です。
また、オールドホームの運営費を拠出してくれている
「灰羽連盟」という機構の長老みたいなものでもあります。

ラッカが迷子であることを知るや、
話師は森の外までの道案内をしてくれることになりました。

道を歩く中で、ラッカは話師のおじいさんに語ります。

「鳥」に呼ばれて森に来てしまい、井戸に落ちたこと。
井戸の底で思い出した繭の夢のこと。
真っ直ぐに落ちていく自分を助けてくれようとした
「鳥」がいた事に今頃気づいた後悔。

おじいさんは彼女を倒木に腰掛けさせ、ゆっくり話すように促します。
そして、ラッカはぽつぽつ話し始めました。

自分には誰も理解してれる人なんていない、
自分は一人ぼっちだと思っていた。

けれど、鳥がいた。
一人ぼっちではなかった…。

罪付きとはなんなのか?
自分は罪人なのか?

そうだとしたら、
こんな自分にはこの世界は幸せすぎる。
もっと罰がなければ許されないのではないか?
自分はここにいてはいけないのではないのか?

このように語るラッカに対して、話師は謎かけをします。

話師:
罪を知るものに罪はない。
これは「罪の輪」という謎かけだ。
考えてみなさい。

『罪を知るものに罪はない。では汝に問う。汝は罪人なりや?』


ラッカ:
わたしは繭の夢がもし本当なら、
やはり罪人だと思います。

話師:
ではお前は罪を知るものか?

ラッカ:
だとしたらわたしの罪は消えるのですか?

話師:
ならば、もう一度問う。
罪を知るものに罪はない。汝は罪人なりや?

ラッカ:
罪がないと思ったら今度は罪人になってしまう…

話師:
おそらく、それが罪に憑かれるということなのであろう。
罪のありかを求めて同じ輪のなかを回り続け、いつか出口を見失う。

ラッカ:
どう答えればいいんですか?

話師:
考えなさい。答えは自分で見つけなければならない。

(出典:灰羽連盟)

話師と別れて森の外に出たラッカ。
そこを、心配して探していたレキが発見します。
文字通り原付でぶっ飛んできたレキは、ラッカを抱きしめました。笑

そして、ラッカが何故か泥汚れな事、
杖をついていること、異常に体温が低い事に気が付きます。
聞いてみたところ、ラッカは壁に触ったという。

レキは血相を変えて、大急ぎでラッカをオールドホームへ連れて帰ります。

その後、壁に触った事が原因でラッカは高熱を出してしまいました。
灰羽が「壁」に触るとこのようになってしまうので、西の森は灰羽には危ないと言われていたわけです。

みんなの尽力や、レキが寝ずに看病をしてくれたことによってラッカの熱は下がりますが、
なんと、ラッカの背中の羽は、薬も塗っていないのに灰色に戻っていました。

レキはこれを発見して、ショックを受けます。

数日後、熱が引いたラッカは、
まさに闇が晴れたように明るくなり、
穏やかに優しく、幸せに満ち溢れている世界へ戻っていきました。

…レキを置いて。


ここから、物語はレキの方へシフトしていきます。


オールドホームで産まれたとき、最初から罪付きだったレキ。
その異様な羽に怯えて、灰羽のネムは、レキを敬遠していました。まだ幼かったので、しかたありません。

繭の中で見た夢さえ、ほとんど思い出せないレキでしたが、年長だったクラモリという灰羽だけは、優しくそばに居てくれました。

時間はかかったけど、ネムとも仲良くなり、
楽しい生活が始まると思っていたレキ。

それなのに、クラモリはある日突然居なくなってしまいます。
何も言わずに巣立ってしまう…。

悲しみに暮れるレキは、ネムを置いて思い出の詰まったオールドホームを逃げ出し、廃工場にいた別の灰羽集団の仲間にしてもらいます。

しかし彼らとも、とある事件をきっかけに仲違いしてしまい、レキを迫害してくるような、険悪な仲となってしまいます。

結局オールドホームに帰ってきたレキは、黒い羽と孤独を抱えたまま、静かに救いを待っていたのでした。
ネムさえ敬遠した「罪付きの羽」を許してくれる誰かが現れるのを。


ところが、救いとなるかもしれないと期待し、気にかけていたラッカさえ、自分の手を離れていきました。
ラッカはもう罪つきではないから、レキの助け…レキの存在は、もういらないのです。

絶望はいよいよ深まります。

実は、罪付きは巣立てません。代わりに訪れるのは、誰の記憶にも残らない完全消滅。

レキは、どうやら自分は巣立てず、消滅することになるようだと悟り、
身の回りの整理整頓や、関わってきた人たちへの別れの準備をし始めました。


でも、レキの気付かないところで、
ラッカは、レキの様子がおかしい事に気づき、彼女を救おうと動き出していました。

灰羽連盟の話師もレキのことは気にかけていて、
ラッカはレキの希望になり得る
「レキの真の名(繭の夢の詳細)」を託されます。

時は迫り、
レキはお別れの準備を着々と一人でこなしていきます。
なかなか真の名を渡す機会が掴めないラッカ。

そして、我々の世界でいうところの大晦日がやってきて
「過ぎ越しの祭り」が開かれます。

ラッカの尽力によって、
廃工場の灰羽たちとは、祭りを経て和解。
暗にさよならをすることができました。

そして、いよいよ消滅の時が近づいてきます。
お祭りから帰ってご馳走を食べ、みんなが寝静まった頃、レキは一人自分の部屋に向かいます。

それを察知して後をついて行くラッカ。

戸惑いながらもレキの部屋に入り、灯りをつけると、
そこは部屋中に絵が描かれていました。

レキの夢の内容です。

辛くて、痛くて、寒くて、
石ころだらけの道に一人で佇む夢。
そして、これから何かとても酷いことが起こるのだが、
それをどうしても思い出せないのだと
レキは語ります。

ここで、ラッカは灰羽連盟から託された「レキの真の名」を渡しました。
箱を開いて中を確かめると、そこにかかれていたのは「轢」という文字でした。


レキが佇んでいた場所は道ではなく線路。
そして、起こったとても酷いこととは…。


レキの羽は、あっという間にほとんど真っ黒に染め上がり、本音を打ち明けます。

みんなのためを思って行動しているのに、みんな居なくなってしまうこと。

ラッカなら自分を許してくれるんじゃないかと思って、下心あって面倒を見ていたこと。

同じ罪付きなのに、ラッカは許されて、自分は許されないのが憎いこと。

最後には、部屋から出てけと怒鳴り散らしました。
ラッカは、静かに部屋を出ざるを得ませんでした。


ラッカは、ショックでした。
今まで暖かく面倒を見てくれていたレキが、
本当は自分のことを憎んでいたなんて。

泣き虫なラッカはまたポロポロ泣き出します。

そうしていると、ふと、絵を描くのが好きなレキのスケッチブックが風になびいているのが見えました。
無意識手を伸ばしてペラペラめくると、今までの思い出のスケッチと、一言が添えて残してあります。

そして、とあるページが目につきました。
ラッカの繭が描かれたページです。

そこにはこう書いてありました。

初めて自分で繭を見つけた。嬉しい。嬉しい。

これはきっと特別な事だ。

神様が私に遣わしてくれたんだ。

うんと優しくしてあげよう。

ずっと一緒にいてあげよう。

今度こそ、私はクラモリみたいに

良い灰羽になるんだ。

(出典:灰羽連盟)

レキは確かに下心あってラッカに近づいたかもしれない。
けれど、一番近くで見ていたからこそ、レキの本当の本心はこのスケッチブックの言葉であると、ラッカは信じました。
そして、再びレキの部屋の扉に手をかけます。


私が、レキの「鳥」になるのだ、と。


悪い夢に潰される寸前だったレキは、
ラッカによってすんでのところで助けられました。

なんの音もしない月明かりが入る部屋で二人は黙って佇みます。

ラッカが手を開くと、そこにはなぜかレキの真名がありました。

そこにかかれていたのは
轢死の「轢」ではなく、礫岩の「礫」となっており
レキの背中の羽は灰色になっていました。



考察

…考察の前に、愛を撒き散らしていいですか?笑

まず、オープニングとエンディングが大好きです!!!

OPはですね、歌がないんです。
そのせいか、なんだろう、感情をより揺さぶられる感じがします。
第一話は繭からラッカが産まれる話ですが、
そのラッカが、どうやってオールドホームに舞い降りたか、
という、ミニムービーみたいな作りです。


EDは楽曲が素晴らしい…優しい…
辛いことがあった日の寝る前とかに聴きたい…

そもそも劇中のBGMがアニメの内容にぴったりで、
サントラCDを何度聞いたことか…


さて、音楽への愛はこの辺にして。

1.灰羽連盟の世界観

2.ラッカはなぜ許されたのか

3.レキはなぜ許されたのか

4.自分を許す方法

こんな感じで考察していきましょう!


1.灰羽連盟の世界観

まず、この灰羽連盟の世界は、
死後の世界だと思われます。

作中で明確にされている
ラッカとレキの繭の夢から推察できます。

おそらく、
この二人は現世で自殺しているでしょう。

名前が本質を表すとはよく言ったもので、
ラッカそのまま落下死、
レキはそのまま轢死な訳ですからね。


他のキャラクターも、
名前で死因が大体推察できます。

カナは、わざわざ「河の魚と書いてカナだ」と
言っているくらいですから、おそらく溺死。

ヒカリは、閃光を見て亡くなるなんていうのは
おそらく爆弾あたりでしょうから、爆死か。

ネムは、眠りながら亡くなるってことですから、
麻酔量のミスかなんかの医療事故死でしょうか。

クウは、空をふわふわ漂っている夢という事で…
難しいですね、気球が落下したとかでしょうか。


このように、不慮の事故で亡くなった子供が灰羽となり、
グリの街はゆりかごの役割があるのだと思われます。

現世で送れなかった人生を与えて育て、巣立ちを促すような、
そんな役割があるのかな。

そういう意味で考えれば、
壁の向こうは生者の世界であり、
壁を越えたクウは転生したと考えられます。

最終的にレキも巣立ちましたから、
無事に転生できたのでしょう。


2.ラッカはなぜ許されたのか

ラッカとレキは、
作中で罪付きという病にかかりました。

なぜ彼女らだけが罪付きだったのか?

おそらく、彼女らは、
不慮の事故ではなく、
自死だったからだと思われます。

レキは間違いないでしょう。
だから、生まれた時からすでに罪付きでした。

ラッカは実行しようとしていたところを「鳥」に止められて、
結局誤って落下してしまった、
というような曖昧な感じだと思います。

では、なぜ彼女らは許されたのでしょう。
ラッカから見ていきます。


彼女は、最初は罪付きではありませんでしたが、
クウがいなくなった事で発症します。

優しく幸せだと思っていた夢のような世界から去って行った、
クウという大切な友達。

彼女のために自分は何をしてあげられたんだろう?
あんなにあんなに優しくしてくれた「のに」
自分は何してあげられなかった。
どうして居なくなってしまったの?
まだ何ひとつ返せていない「のに」

灰羽は、突然なんの前触れもなく生まれて、なんの前触れもなく巣立つ。
そんな自分に、なんの意味があるのか、と。

灰羽の証である羽を隠すことは、
自分のありのままの姿を隠す事に他なりません。

黒い羽になろうとも、それは自分自身。

それを忌み嫌う物として隠し、
人に見られまいと必死に隠すその様は…

もう…悲しくて。

おそらく灰羽になる前のラッカは、
こんな感じで自分を忌み嫌い、存在に疑問を持ち、
闇へと堕ちて行ったんだと思われます。


しかし、ラッカには鳥がいる。


「鳥」によって森に導かれて井戸に落ちるというのは、
心の奥底へ向かうことの暗示でしょう。

そこで、自分には「鳥」がいたことを思い出すのです。

話師のなぞかけの答えは劇中で示されませんでしたが、

おそらく
「罪の輪を回り続ける者を許せるのは、自分とは別の存在」
なのだと思います。

一人では罪の輪をぐるぐる回ってしまう。
けれど、別の誰かなら、許すことができる。

ラッカは井戸に落ちて鳥を思い出した事によって、
別の誰かがいる事に気づいた。

だから、許されたんです。
最初から許されていた事に気付いたから。

鳥がいたラッカは、幸せ者です。

すると、もっと悲惨で問題なのは、レキです。


3.レキはなぜ許されたのか

ラッカと違い、レキには鳥がいません。

生まれた時から羽が真っ黒だったように、
最初からレキは自分のことが嫌いです。

鳥がいないから、レキは許されません。

クラモリは居なくなるし、
廃工場の灰羽には迫害されるし、
誰もレキのそばに寄り添ってくれる人はいません。

一見、ネムは唯一レキのことを理解していて、
そばに寄り添っているように見えますが、

当のレキは、
初めて出会った頃に自分を拒絶したネムのことを
忘れていません。

ネムもそれを分かっていて、
自分がレキを救えないことを悟っています。


ふ く ろ こ う じ 笑


当初の真名の通り、
レキは何事もずっと引き裂かれる運命です。
救いようがないではありませんか。


しかし、そんなレキを救ったのが、ラッカです。

罪付きの病を克服したラッカの真名は「絡果」
「絆を絡ませあい、実を結ぶもの」という意味です。


レキは頑なに自分を許そうとしません。
本当は助けて欲しいのに、絶対に言わない。

クラモリや廃工場の灰羽たちのように「どうせ居なくなるから」
言ったところで「誰にも理解されないから」

傷つくことが怖くて、人を信じることができないんですね。
傷つけられるくらいなら、もう最初から近づかない。


最後の時、レキはラッカに出てけと言いましたよね。
あれはレキの防衛本能だったんです。

「どうせお前に私のことは分かるまい、
だったらいなくなる前にこっちから追い出してやる!」

ってとこですかね。

さらに、言われて素直に出ていくのがいかにもラッカらしい。笑

けれども、絵となったクラモリの導きで、
ラッカはレキの本当の気持ちを知ります。


おそらくラッカは、
灰羽になる前の世界にいた「鳥」と同じように、
今の灰羽の世界でも「鳥」がいたことに
気づいたんだと思います。

ラッカにとって、レキは「鳥」だったのです。

レキだって、確かに下心があったのかもしれませんが、
普通ここまでやってあげられるか?というくらい
優しくしていました。

ラッカに羽が生える時。
壁に触って高熱を出した時。

特に、ラッカが罪付きの病になって堕ちていた時は、
唯一の理解者でした。

ラッカにとって、レキの存在は間違いなく「鳥」でした。

レキはずっとラッカを助けていた。
だからこそラッカは、
今度は自分が「鳥」になると誓ったわけです。


そして、
怒鳴り散らして追い出したラッカが、
戻ってきてくれた。
許してくれた。

レキは、許されることができた。

灰羽連盟とは、不完全なラッカとレキが、
お互いを救い合って「鳥」になる話だったんです。


4.自分を許す方法

ここまで見てきて、何人かは思ったことでしょう。

レキとラッカはお互いが居たけど、自分には居ない。
自分はこれからも許されない存在なんだろうなぁ…と。

断言しますが、そんなことありません。

ラッカのところで書きましたが
「最初から許されている」からです。


「鳥」は概念です。

だから、あなたにとっての鳥は
母かもしれない、父かもしれない。
夫かもしれないし、妻かもしれない。
子供、恋人、友人、仲間、ペットetc…


誰にでも「鳥」はいるのです。必ずです。

だから「最初から許されている」

自分はすでに許されていることを知る事です。


そして、それを知ったら、
今度はあなたが「鳥」になるのです。
ラッカがそうしたように。

もしかしたらレキのように、
すでに「鳥」になっているかもしれないよ。

自覚する事です。
自分が「鳥」になれることに。


うん、やっぱり観た方がいいですよ。笑

もう素直に言っちゃうけど、観て!

ね!笑


それでは、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

また!


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