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情景60.「狐の瞳」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「狐の瞳」です。

光のゆらぎ。
水のゆらめき。
火のぐあい。
目を瞠る瞬間というものに気づく。これが思いの外きもちいい。

これを偶然という言葉で片付けていいものか、というのは一旦置いておくとして。

天気だったり、時間帯だったり、場の温度や湿度だったり、その場にたまたまいた自分だったり。
そんないくつかの要素がたまたま重なることで作用する一瞬の出来事。
もしくはそこで起きたことの気づき。

そういうものに気づけたとき、なんだか少し世界が開けたような感覚を抱いてしまいます。

たとえば、坪庭に土と砂利だけだったのが月日によってより庭らしくなっていたとか、やかんの底にこべりついていた煤のような黒が使い古した感をかもしてくれているとか。

「ちょっと目を離した隙にこんなになるのか」
と。

そうして気づけた一瞬を切り取った情景がこの『狐の瞳』です。
似たような話としては『坪庭に降る寂光』でもそのような述懐を混ぜています。

火のぐあいを眺めるように、偶然の作用を味わってください。
そうすれば日々はもう少しふんわり楽しい。
そんな情景。お楽しみください。


あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話のあつまりです。

どこからでも何話からでも好きなところから読みはじめて大丈夫。
気になったタイトルをひらいてみてください。



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