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掌編小説マガジン 『at』

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掌編小説マガジン at(あっと)。 これまで、ななくさつゆりがwebに投稿した掌編小説を紹介していきます。 とりあえず、100本!
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#私は私のここがすき

情景60.「狐の瞳」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「狐の瞳」です。 光のゆらぎ。 水のゆらめき。 火のぐあい。 目を瞠る瞬間というものに気づく。これが思いの外きもちいい。 これを偶然という言葉で片付けていいものか、というのは一旦置いておくとして。 天気だったり、時間帯だったり、場の温度や湿度だったり、その場にたまたまいた自分だったり。 そんないくつかの要素がたまたま重なることで作用する一瞬の出来事。 もしくはそこで起きたことの気づき。 そういうものに気づ

情景246.「土曜日のお昼」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「土曜日のお昼」です。 さて。今日は何をしようか。 ほんのりウキウキとした感触を覚えながら、そう思える。 土曜日を、そんな軽やかな一日にしたい。 「足取りが軽い」と言うように、「指が軽い」と言えるような感じ。 覚えはありませんか。 原稿を作っているとき、私はしばしばそういう“感じ”を覚えることがあります。 体の調子に引っ張られるように、神経の張り巡らされたような感触を指先まで拾えるバイオリズム。 「調子がい

情景25.「掃除機」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「掃除機」です。 休みの日、住宅街を歩いていると、懐かしい音を聞いた。 たぶん、午前中の10時くらいかなァ。 私自身、寝ているそばで何度も聴いた音なので、聴くたびにそのときの記憶が蘇ります。 記憶とは引き出しや紐つきの天窓。 ふとしたきっかけにそれを引っ張れば、そのときの記憶が溢れてきます。 そんな情景を紡いでいかなければ、と思いながら書いています。 あなたの記憶の天窓を開く音の情景、お楽しみください。

情景246.「土曜日のお昼」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「土曜日のお昼」です。 土曜日のお昼の空気感が好き。 曜日感覚を思い出させてくれます。 それはそれとして、書き物作業にも調子やノリの良し悪しって、ありますよね。 今回の「土曜日のお昼」は、その感覚を拾ったときのワンシーンを綴った情景です。 私はこの情景に出てくる「指が軽い」という感覚をとても大事にしています。 書き始めたとき——キーボードで文字を打ち始めたときですが——あきらかに違いがあるんですよ。 打

情景185.「ちょっと肘を曲げて」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「ちょっと肘を曲げて」です。 自宅で執筆中の静かな空気の中で書き物を進める。 ひと段落したなと思ったら、そのまま寝落ち。 「此の稿を」と「ちょっと肘を」というフレーズに何かピンと来たアナタ! もしや明治文学がお好きですね! というか漱石好きかな! 私もです! ともあれ、今日も一日、おつかれさまです。 もし朝にお見かけいただけたのなら、おはようございます。 よい一日を。 お楽しみください。 ※※『あなたが