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掌編小説マガジン 『at』

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掌編小説マガジン at(あっと)。 これまで、ななくさつゆりがwebに投稿した掌編小説を紹介していきます。 とりあえず、100本!
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#夏の思い出

情景105.「夏の音。鳴き声」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「夏の音。鳴き声」です。 もう夏ですね。 ……あっづい。 おひるどきに乗る電車が結構好きですね。 ひとはまばら。 なんなら、自分以外はいないんじゃないかな、というぐらいに空いている車両で、シートに腰掛けて顔を突き出し、左右の車両をのぞく。 うまくいけば、先頭車両から最後尾まで見通せます。 さらに乗務員室の扉の小窓から、外に広がる線路のその奥までが小さく見えることも。 そうした吹き抜ける場にいるのがなんだか心

情景120.「夏野。風の踊り場」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「夏野。風の踊り場」です。 夏野とは、そのまんま夏の野原のこと。 草原が風になびく音が好きなので、書いてみたかったんです。 わがコトながら、過去や昔の類をつい「在りし日」と書いてしまうのはナゼなんでしょうね? 過去や昔で済ますのは安易だから?  →平易な表現も大事だと思います! なんとなく詩情が織り交ざっている気がするから?  →まァ、まァ……そうかも。 既存作品でなんか影響うけた?  →そういえば、ゼノブ

七夕の風が坂を下る【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『七夕の風が坂を下る』です。 「でもほら、今日は七夕だから」 学校の帰り道。 夕暮れどきにふたりで坂を下る同級生のひと幕。 そんな掌編です。 彼はいつもそばにいたから、私がここにいる限りはコイツもきっといるのだろう。 そう疑わずにいられたあの頃。 当たり前だったこと。 当たり前でなくなったこと。 自分の心に整理をつける暇もなく、ただ目の前の現実があっという間に「当たり前」をそうでなくしてしまった。 それでも、 「ほら、七夕だ

情景116.「夜の底を歩く」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「夜の底を歩く」です。 ネオンを遠巻きに夜の街中を歩くようすを描いたワンシーンの情景。 次の情景117「記憶のうるおい。ラーメン屋夜話」につながります。 あわせてご覧ください。 コロナ禍以降で値上げしたお店もありましたが、本当にあるんですよ。 280円のラーメン屋。 いまは値上げしちゃって320円になっちゃったお店も多いんですけどね。 そこは時代の流れです。 ※※『あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺

薄れゆく夏の陽【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『薄れゆく夏の陽』です。 都会を「向こう」と呼び、故郷(こちら)に戻ってきた青年・染谷修司。 彼はそこで、女子高生の涼香と再会します。 都会を「向こう」と呼び、向こうでがんばってきた青年が、故郷(こちら)でのひとときを過ごすショートストーリーです。冒頭で、夏の夜の情感を味わってください。 実は、ほぼ4000字で〆ることを最初から決めて書いた掌編です。 なので、今こうして振り返ると、もうちょっとじっくり長めのお話にしてもよかったか