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掌編小説マガジン 『at』

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掌編小説マガジン at(あっと)。 これまで、ななくさつゆりがwebに投稿した掌編小説を紹介していきます。 とりあえず、100本!
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#土曜日

情景55.「半ドン」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「半ドン」です。 覚えてます? 半ドン。 ウチのおひるはだいたい焼き飯でした。 半ドンって、もう死語なのかな。 半分ドンタク(お休み)の略。 小さかったころの私は、土曜日が好きでした。 まァ、大人になっても土曜日は好きなのですが、たぶん好きの理由が変化していますね。 土曜の正午あたり。 下校時間になって学校を出て、家路を辿ります。 家に帰ると、お昼ご飯が用意されていました。 我が家は結構焼き飯が登場しま

情景194.「朝、土鍋で炊飯」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「朝、土鍋で炊飯」です。 アク(灰汁)と戦うなんとやら。 灰汁、取ります? 私は場合によりけりかな。 土鍋でお米を炊く。 蓋を開けるとぶわっと湯気が立って、その奥で「米が立つ」というのを目の当たりにする。 ……本当に、湯気が「ぶわっと」あがるんですよ。ふわっとではなく。 最初はステンレス鍋だったかな。 高校生ぐらいの頃、母がしばしば炊飯器以外でご飯を炊くようになり、炊いた余りは冷凍して使う、といったスタイル

情景246.「土曜日のお昼」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「土曜日のお昼」です。 さて。今日は何をしようか。 ほんのりウキウキとした感触を覚えながら、そう思える。 土曜日を、そんな軽やかな一日にしたい。 「足取りが軽い」と言うように、「指が軽い」と言えるような感じ。 覚えはありませんか。 原稿を作っているとき、私はしばしばそういう“感じ”を覚えることがあります。 体の調子に引っ張られるように、神経の張り巡らされたような感触を指先まで拾えるバイオリズム。 「調子がい