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掌編小説マガジン 『at』

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掌編小説マガジン at(あっと)。 これまで、ななくさつゆりがwebに投稿した掌編小説を紹介していきます。 とりあえず、100本! ※2024.6.18 いったん目標の記事10…
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2024年4月の記事一覧

情景262.「シュパァっと走る」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「シュパァっと走る」です。 オノマトペの話。 “シュパァッ“て、走る。 なんだか、漫画的な擬音語ですね。 小説やエッセイ、漫画を手掛けられているみなさんに質問です。 オノマトペ、使ってます? 漫画ではほぼ必須ですよね。 エッセイでも、文章に面白みを出すためにしばしば用いるかもしれません。 では、小説だとどうでしょう? 地の文にオノマトペ、入れますか? 私の場合、書いている内容と読んでくださる方の属性次第

情景10.「カフェの壁を飾るもの」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「カフェの壁を飾るもの」です。 カフェの情景。 文字通りの紅一点。あざやかに映えるものなんだなって。 紙の本には、読んで楽しむ以外にインテリア的なおもしろさもありますよね。 私自身、子供の頃から本棚というモノ自体が好きでした。 かつて、はじめて自分の部屋というものを与えられたとき、壁際には大きな本棚が備えついていました。 その本棚は、引っ越しの際に母方の実家から譲り受けたものだそうで、叔母の結婚の際に大工さ

情景34.「紙障子の向こう」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「紙障子の向こう」です。 座卓でペン一本。 ざぶとんにあぐらして原稿に向かう。 そこに照りを添えてみたかった情景。 ところで、紙とペン、さいきん使ってます? 小説やエッセイは、紙とペンさえあればできる創作活動ですが、最近はなんでもパソコンとスマホで済んでしまうので、むしろ紙とペンを使う機会が減っているのかもしれませんね。 私の場合、アイデアを書き出したりする際にペンを走らせますが、それも最近はパソコン上で

情景109.「二個のマグカップ」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「二個のマグカップ」です。 コップとか、パソコンとか。 そういう無機物を指して「この子」と呼ぶ。 そんなクセが、私にはある。 なんででしょうね。 いつからかはもうわかりませんし、なぜなのか、きっかけはなんだったのかももう思いだせません。 ただ、すごく馴染むんですよね。 “この子”呼び。 なんなら、“このコ”くらいのカジュアルなニュアンスで呼んでいます。 なんだか、所持物というよりも、仲間のひとつみたいな。

情景01.「白雲」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「白雲」です。 葉桜の緑が陽を透かすようになり、暖と涼を交互におぼえる過ごしやすい季節になりました。 ちょうどいいからこのタイミングで、はじまりの情景にふれたいと思います。 白雲。 241文字の掌編小説。 『あなたが見た情景』は、日常にそった情景を書き連ねていくものでした。 文章に触れることであなたの中にある景色に触れてもらえるような、そんな小さなお話の集まりです。 その象徴のような最初の話です。 たった

情景287.「朝、黙想」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「朝、黙想」です。 和室にて、朝の情景。 現代から少し時代観を遡った風。 “堅めの文章”に感じるかも。 ところで、黙想ってしたことあります? 剣道をしていたとき、始めと終わりに先生が「黙想(実際には“もぉくそぉーう”って感じの響き)」と声をかけて門下生が1分間の黙想をする……というルーティンがありました。 いまはメンタルケアやマインドフルネスの考え方が浸透してきて、そのアクティビティも活発ですから、以前よ

情景239.「風車村の朝支度」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「風車村の朝支度」です。 朝、ひざしと風を浴びる。 恵風が羽をなびかせ、風車が回る。 風車の“まわるアレ”って、羽(羽根)って言うんですね。 続きものとして「情景239【風車村の朝支度】」と「情景240【風車村で音を聴いて】」を覧ください。 このお話は、情景にある「音」を気にしながら書いていました。 ほら、文章って音が鳴らないでしょう? でも、“よい情景”というのは、音がするし光はあるし風はそよぐし、匂い

情景238.「雨中のキノコ」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「雨中のキノコ」です。 雨中のキノコ。 雨後のタケノコではなく。 ……雨中のキノコって、なに? 春って意外と雨が降りますよね。 冬の気配は薄れ、浅い春のきざし……なんて言葉も使いたくなる含みある空気に透いた空の頃ではありつつも。 もちろん、スカッと晴れる日もあるのですが、案外スッキリしない天気の日もあって、そろそろ桜も咲いてくるのに大丈夫かなァとか思ってしまいます。 雨の降る中、テーブルをバッシング中の