見出し画像

レモンシロップ

ご近所さんにもらったレモンを水につけておく。その間、瓶を買いに出かける。納得できる瓶を買い、家まで戻るため車を走らせる。もうお昼の2時になってしまった。勝手にとても大切に思っている人と会う予定があるのに。そうおもいながら家に着く。レモンを拭き水気を取る。レモンを包丁で薄く薄く切り種を取る。レモンと、レモンの半分の量の砂糖を、買ってきた瓶に何層かに分けて入れる。10分もすればレモンの水分と砂糖が溶け合い、液状になる。そんなできあがったレモンシロップをみて、恋とどこか似ているようにおもった。恋は化学反応のようなものなので、重ねてしまったのかもしれない。例えば、レモンの種が少しでも残っていたとしたなら。水で割って飲むとき、種がどうしても邪魔になる。恋愛でいえば、少しの意見の差が後々大きな問題として表面化するのと同じだ。例えば、砂糖の配分が違っていたら。薄く切ったレモンとうまく溶け合わずに、瓶の底に固まりができる。瓶を逆さに傾け、振らないと永遠に固まったままだ。恋愛でいえば、相手への不満が段々降り積もってゆくような。
今回作ったわたしのレモンシロップには種がたくさん残っていたし、砂糖が下に固まっている。レモンシロップをうまく作れるようになったら、わたしの気持ちも、人と溶け合ってくれるのだろうか。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?