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私の幸せについて

夜寝る前のベランダ、車を運転している時でさえ虫の鳴く声が聴こえる季節にだんだんと、なってきたことを実感しています。遠くに住むひとたちは、同じように実感しているのかなと考えています。あなたのことや、きみのことも、たまに思い出します。何故かそれがとても心地よく思えます。時間の流れを共にしていなくても、そこであなたたちが生きていること、たまに顔を見られれば、それってすごく幸せなことなんじゃないかなと思います。あなたと買いに行った服も、音楽も、きみとみた綺麗な空も、雨の音も。すべて美

    • 言えるだろうか

      私は言えるだろうか、映画パスト ライブスのような、さよならを。同じ瞬間を過ごしたときにみた綺麗なピンク色をした空。急に降り出したかと思えばとてつもない量の雨。その雨を光がキラキラと照らし、宝石のようにみえた車の中。まるで車が宝石箱のように思い、宝石箱の所有主は隣でスースーと寝息をたてている。ここにいたら、その大事な宝石箱、壊れちゃうよといわんばかりの強い雨も、美しく見えた。写真をとっておいてよかった。たしかにそこに存在していた私たちの時間を、その写真は教えてくれる。でもすべて

      • 映画 パスト ライブス/再会 を観て

        人との出逢いのすべてはタイミングだとよくゆわれる。恋愛においてもそうだとまさしくこの映画が教えてくれた。主人公の彼女と彼は幼少期を共にし、やがて彼女は言語すらちがう国へ移住した。彼は彼女のことを忘れられず、数年後再会を果たした。その再会は、ネット上のものであり、実際に会えるまで、7年~8年もの時間を費やした。そのあまりにも長い期間に彼女は結婚し、幸せであろう毎日を送っていた。私は彼に対し、彼があのとき会いに行ってさえいればとたらればを思った。きっと、違う土地で目標に向かって走

        • レモンシロップ

          ご近所さんにもらったレモンを水につけておく。その間、瓶を買いに出かける。納得できる瓶を買い、家まで戻るため車を走らせる。もうお昼の2時になってしまった。勝手にとても大切に思っている人と会う予定があるのに。そうおもいながら家に着く。レモンを拭き水気を取る。レモンを包丁で薄く薄く切り種を取る。レモンと、レモンの半分の量の砂糖を、買ってきた瓶に何層かに分けて入れる。10分もすればレモンの水分と砂糖が溶け合い、液状になる。そんなできあがったレモンシロップをみて、恋とどこか似ているよう

        私の幸せについて

          包まれて眠る

          はじめての部屋では、スッと眠れないことの方が圧倒的に多い。それでも、灯りを消し、あれ、誰かがわたしをその日の暗闇へ引っ張っていると気づいた。それは紛れもなく、横にいたあなただった。パーマの残りで、すこしだけ、くしゃくしゃした、かみのけ、ほそくて、長い手脚をもつひと。 もしかして、眠れないんじゃないの?という懸念が生まれた時点でわたしの負けであって、それはどんどん部屋全体に広がっていって、わたしはそれに覆われて、押しつぶされてしまうような。 あなたの部屋の、あなたの腕の中で

          包まれて眠る

          拝啓 きみへ

          あなたと別れ、車を走らせる。君島大空と塩塚モエカのうたうサーカスナイトを聴く。幼気なわたしは歌詞を噛み締めながら、泣かないように必死に、とにかく必死に煙草に火をつける。近くのコンビニに車をとめ、車にもたれながら吸う。 みつめあったときの彼の目をおもいだす。彼の目に、わたしすら知らないわたしの奥をみつめられている気がするから笑って誤魔化している。まっすぐすぎる目がわたしには手に負えず、すこし心臓に痛みが走る。その痛みを癒すかのように触れるから心地が良いのだろう。 わたしは彼

          拝啓 きみへ

          きっとまだ間に合う、わたしはひとりで生きていくことしか知らない。

          むかしから、脚の長い人だなあと思って遠くから眺めていることがあった。知り合って何年か経つけれど未だにわたしはきみのことをあまり知らない。あのとき話した時間なんて一生分の何分にすぎない。その一生分の一瞬で、すべて知ったわけではないけれど素直に生きてる人だということだけは確信している。生きる上での素直さはわたしにはない。何事も考えすぎてしまうわたしからしたら、とてもとても素敵に思えたから、だから、もっと知りたくなった。でも、きみのすべてを知りたくはない。聞くつもりも、すべてをあば

          きっとまだ間に合う、わたしはひとりで生きていくことしか知らない。

          とうめいな、ひと。

          あなたを見ていると、とうめいだなあ。といつも思う。光よりも、満ち引きを繰り返す海の水よりも、雨が降りやんだ後の虹よりもとうめいだなと。 海を揺蕩う小魚のようにもみえる。大きい魚が来たらすぐに食べられてしまいそうなのに、うまく、うまく隠れられる。とてもうつくしく見える。うつくしいからすきである。とうめいって見えないはずなのに、あなたのとうめいには、確かにうつくしさを感じられる。きらきら宝石のように白く光っている、水の中で吐いた息が、あなたの生きた証そのものだと思った。 あなた

          とうめいな、ひと。

          夜を生きる

          むかしから、夜がとてつもなくこわかった。臆病なわたしは、夜になると得体の知れない何かがドンと迫ってくることを想像して眠れないことが多くあった。今思えば、知らないことが多すぎたからだと思う。夜を知らなかったから、こわかった。ただそんな理由だとおもう。 20歳になる年のわたしは、ねむるとき、部屋の電気なんてなくても眠れるようになった。 20歳をなんとなく考えてみたら、みんな夜が好きだよなあと、そんなふうに思った。高校を卒業して、夜を生きる大人とやらが格好良くみえて、片足ずつ、

          夜を生きる

          Moony

          わたし、この曲がいちばん好きなんだけどさ。 うん。 なんて読むか分かんないんだよね。 えー。確かに。んー。ムーニーじゃね? え?そんなかわいい曲名かな? それ以外に読めんくね? ん。調べてみる。 【Moony(ムーニー)とは】 月の[に照らされた] 月のように丸い 〔人の顔つきが〕夢を見ているような、ボーッとした 〈俗〉気の狂った 〈米俗〉酔っぱらった 見て。こんな風な意味だって。ムーニーって読むんだね。なんだかかわいいね。 わたしのいちばん好きな曲の読み方を彼が教えてく

          きみにおちるよる

          映画館のエンディングくらいの静けさで雨が降っている。部屋の窓からは月の明かりがすこしだけ、入ってくる。あなたの住む街は雨が降っている?そう考えながら雨に濡れないように煙草を吸う。星は見えない。星をあなたに例えたならばわたしは雨。大きい雲に隔てられて、会えない。晴れの日、太陽に照らされて蒸発してあなたのもとへ。

          きみにおちるよる

          なににもなれない私たち

           その時私たちは星いっぱいの空を海沿いの公園の椅子に寝そべって眺めていた。 「あれが一等星かな」たしかそんなことを彼と話したような。スマホの光に照らされている彼の顔を見ながら、一緒にいるのにまるで空と私の距離のように一生届かないとても遠い距離を感じていた。 そのとき私は何も言えなかった。心に確かな寂しさを感じていたのに、もっとこっちへ来てほしいと言えなかった。私は、私の弱さを知られるのが怖かったのだ。  彼のなめらかで薄い身体の線や、なんとなく触れたくなるその特別な力は、彼が

          なににもなれない私たち

          白昼夢

          数日間ずっと白昼夢の中で息を潜めるよう生きていた。ここ数日秋の天気になったとニュースで報道されているけど、あの日はもう秋の入り口だったのではと思っている。午前6時ごろ。雲はあれど空の青い部分は澄んでいて、そんな空を、朝日を、見ながら車を走らせる。 夜を背負うあなたには朝は眩しいのかもしれない。私は朝の空を見つめていたけれど、あなたは夜の空を見ている時の方が心地が良さそうにみえた。 私には夜の空、あの日の三日月、こんな無数の星久しぶりに見たってくらいの星たちは眩しかった。 もし

          白昼夢

          To the City Boy of Australia.

          You showed me the sky in a faraway country with my friends. I thought that the sky was very beautiful. I looked out the window hoping that the sky in my country would be beautiful, but it was cloudy. The difference in the sky made me realiz

          To the City Boy of Australia.

          新宿御苑にて

          その日も雨だった。映画と同じように。新海誠の映画『言の葉の庭』。この映画は私が中学生?から高校生のころ初めて観て今でも1位2位を争う映画である。短編映画なのだけれど、短編映画だからこそ良いと思う。そんな映画の感想はいいとして、先日、この映画の聖地、新宿御苑に行ってきた。 庭園に入ってすぐ、新宿御苑の美しさに目を奪われ、息を殺すよう、神聖な気分であたりを見回していた。泣きそうになっていた。ふと、孝雄と雪野を探している自分に気がついた。脳内では秦基博のRainが流れていた。Ra

          新宿御苑にて

          君たちはどう生きるかを観た感想

          君たちはどう生きるかを観た感想。 置かれた状況を受け入れて前に進む必要があること。 自分の幸せを見る横で、辛い現実を受け入れる必要がある人がいること。 この世界に生きている子ども、大人、おばあちゃんたち、鳥、ただのペリカン、青鷺、インコ、全てに生きる権利があること。 そしてみんな自分たち種族を守るために必死なこと。 今の世界が嫌と思っていても案外違う世界の方が地獄だったりする。 未知の世界に降り立った時どう立ち向かうのか。 ジブリの主人公たちはみんな立ち向かう勇

          君たちはどう生きるかを観た感想