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書店が好きだという日記

書店に行くのは、月一、二回程度に落ち着いた。
現在集めている漫画の新刊が発売されたら行く。発売日当日に行けないこともあるので、たまに買い逃してネットに頼ることになる。全部ネットで予約して買えば便利なのだろうけども、書店に行くのが好きだ。


書店に着いたらまず、平積みの新刊の中に、他に自分が集めている作品の買い逃しがあったりしないか探す。それから隣にある、少し前に発売されていた準新刊の棚を見る。それが終わったら漫画コーナーをぐるっと回って、一旦雑誌コーナーに行く。好きなアーティストや俳優が載ってたりしたらちょっとだけその特集を見て、写真やインタビューの内容が好みなら一緒に購入する。生活系の雑誌コーナーで、編み物や手帳やインテリアの雑誌も眺める。それが終わったらホビー系やスポーツ系の雑誌コーナーも見る。たぶん、私が書店で見ないのは成人男性向けのコーナーと、学生用の参考書コーナーくらいだと思う。
プラモ雑誌の近くにはカメラ雑誌があるし、特に甲子園が開催されている季節にはスポーツ系雑誌を見る。二輪車も楽しそうなので、モーター系の雑誌も表紙を眺める。
それの気が済めば健康本や料理本コーナーへ、すすっとカニ歩きで横に流れていって、自己啓発本の棚を眺める。気になる本はたくさんある。溢れんばかりにある。けれど自分の目と頭と体力が追いつかなくて、結局このあたりは買うに至らないことが多い。あと自宅の本棚のスペースの問題。自己啓発本は電子書籍で買う方がいいかもしれない。仕事の昼休み中にも読めるように。


ざっくりと店内を回ったら、いよいよ小説のコーナーに行く。ハードカバーはやっぱり置き場がなくて、もっぱら文庫本だ。同じ大きさの、同じ色の背表紙がずらっと並んでいる規則正しさは美しさすら覚える。けれど探すのが大変なので、出版社を分けずに著者名だけでまとめられた書店にはありがたさを感じている。
平積みのコーナーを見て、タイトルで惹かれたものに手を伸ばす。裏返してあらすじを読む。面白そうだなと思っても、一旦は戻す。どこにあったかとタイトルを頭に刻む。
次の本に手を伸ばして、裏返して、あらすじを読んでまた戻す。それを繰り返して、棚の方に行く。ざっと眺めて、たまに気になったものに手を伸ばす。既刊だろうと関係なく、自分が好きそうなものを探すのが好きだ。宝探しみたいだから。実際にそうして探した本は、内容にも外れがなくみんな面白い。まあこれは個人の感想なので、人に勧めてどう思われるかはわからない。


私は食事系の小説が好きだ。気づいたら、三回に二回はそんなタイトルの本を買っていると思う。ランチとか、食堂とか、カフェとか。料理名が書いてある作品も結構買っている。漫画もそういう作品が多い。人が食事をするシーンには、普遍的な幸せの表現が詰まっていると思う。しんどい時に涙を流しながら食べたごはんの味は忘れられないし、味とエピソードは結びつく。
読むのはだいたい就寝前。美味しそうな食べ物の描写を寝る前の適度な空腹のタイミングで読むと、巧みな文章で表現されている食事の描写が、一層解像度が高くなる気がする。体力がある時はキリのいいところまで、眠気が限界な時は段落の切れ間で読み終えてしまう。だいたい本を閉じたあとは、いいな、美味しそうだな、で頭がいっぱいになっている。馴染み深い食べ物なら最近いつ食べたかなとか、次にお出かけしたら食べたいなとか。食べたことのないものだったら、描写から味をイメージして、食べてみたいなと思いながら目を閉じる。お腹がすこしだけ空くのがわかるので、明日の朝ごはんを楽しみに眠る。なんだかんだで、最近の就寝ルーティンはこんな感じだ。書いてみると改めて、幸福な寝入りだと実感する。意外と、食事している夢は見ない。


書店が好きだ。まだ知らないだけで、面白い作品がたくさんある。続き物の作品や、ネットで連載されている話を購入するならネット書店でも十分事足りるんだろうけれど、知らない作品とのふとした出会いが面白くて、やめられない。これでも通勤経路上に書店がなくなったので、足を運ぶのは減った方だ。本棚が溢れているから、今のペースはちょうどいいと思う。積読を消化したら、また新しい出会いを探しに行きたい。
どうでもいいことだけれど、今読んでいる食事系の本を読み終えたら、次に待っているのはミステリのシリーズものなので、しばらくは血と犯人のことを考えながら眠る日々になるかもしれない。入眠の質は変化するんだろうか。

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