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「MARS RED」の1話が素晴らしくて、気が付いたらいつも無限ループしている話。

MARS REDというアニメの1話がとにかく素晴らしい。何が素晴らしいかというと構成なのですが
、絵も音楽もとにかく素晴らしい。舞台が元になっているので全体的に耽美な雰囲気が漂っていて、最近のアニメには無い感じが気に入っています。

大まかなあらすじ。
地下に囚われている元・女優の吸血鬼は、壊れたレコードのようにサロメの芝居のセリフのみを口にしている。傍目には狂っているようにしか見えないが、意思疎通が取れているような素振りも見せる。しかし吸血鬼は脱走してしまい軍人は逃げた吸血鬼を追い詰めるのだが、目の前であっさりと死なれてしまうーーーというような感じなのだが、初見ではまず意味が分からない。

※ネタバレを含みます

物語の端々に散りばめられた意味深なセリフや設定を思い返して、ようやく吸血鬼は軍人の「顔も知らない婚約者」だと気付く。そうして、伏線を回収する為に何度も見返してしまう。この仕掛けがとにかく素晴らしい。

地下深くの隔離施設で案内された先にいる吸血鬼・岬は、サロメの芝居のセリフしか吐かないので狂い女にしか見えない。しかしそうではない。岬は自分の好い人である軍人に、どうしても自分の芝居を見せたかったのだ。瀕死の重症を負っても願ったのは、死ぬほど焦がれていた相手に自分の一等美しかった姿を焼き付けて欲しい。そんな健気で一途な想いから、吸血鬼に成り果ててしまったのだ。

サロメのセリフを借りているものの、岬が口にするのは軍人に対する恋慕ばかり。顔も知らない婚約者とはいえ、文通を通して互いに思い合っていたことが伺える。極め付けは、軍人の拙い字を見て彼が自分の婚約者であると確信するシーン。目を見開いて驚く岬。

そうして、逃げてしまう。化け物に成り果てたことを悔やんでいるのか。泣きながらセリフを吐いているのが痛ましい。街中を歩く姿は、懐かしんでいるようにも見える。

「初めまして、岬です。ずっと、ずっとお会いしたかった」
芝居のセリフではない筈の台詞なのに、よく出来たお芝居のセリフのような台詞。何故、もう出会っているのに「初めまして」なのか。それは今までの自分は女優としての岬であり、役を終えた今こそ素のありのままの自分であるということなのだろう。
本来は、冒頭の駅で落ち合うのは岬だったのかもしれない。そうして迎えに行き、自分の芝居を見に来てもらう手筈だったのかもしれない。しかしもう、それは出来ない。岬は吸血鬼に成り果て、軍人は吸血鬼を殲滅する部隊の人間だ。二度とやり直しがきかない出会いを、無理矢理やり直ししているようで本当に切ない。

岬は、文字通り燃えるような恋を死んでしまった。陽の光に焼かれ笑顔で逝く様を呆然と見つめる軍人。道ゆく人の数の増減や建物の影の動きから、軍人は半日以上は佇んでいたことになる。この余韻が素晴らしい。

そうして散りばめられた伏線を回収しながら、何度も何度も繰り返し見てしまいます。

この話はアニメオリジナルなので、漫画版には無くて実に残念ですね...(´ω`)
漫画版も作画のクオリティが素晴らしく、丁寧な作りなのでオススメです♫

サントラが素晴らしいので、別売りで出して貰いたいです。