Shin Hanagata

花形槙、肉体が逃走する、 https://twitter.com/a_hngt

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最近の記事

亡き祖母について

*以下のテキストは東京芸術劇場で行われた Asian Performing Arts Camp, In-Tokyo Sharing Session のために書かれたものです。 亡き祖母について 2023.10.7 今年の3月に会った時は大好きなレストランに行って、親子丼か何かを一緒に食べて、いつもの武勇伝を聞かせてくれた。親代わりに兄弟の面倒を見ていた戦時中のこと、級長だった学生時代のこと、卒業してエリート銀行員になったこと、裁縫学校で師範にならないかと言われたこと、おじ

    • 【公開終了】 映像 《still humanの世界》

      ここで公開する映像は、2022年4月1日〜10日に、六本木ANB Tokyoで行われた『KUMA EXHIBITION 2022』、および、2022年5月20日〜29日に東京藝術大学美術館 陳列館で行われた『擬風景展』で展示されていた映像です。この映像を、6月28日まで限定公開します。 --- この映像は、1年間、still humanを行なってきて最も印象的だった5つの瞬間をまとめたドキュメントです。 1つ目の映像「コンビニエンス」は、still humanが実際のコ

      • 加速するテクノ・ゾンビは、テクノ・ブラフマンとなれるのか? (後編)

        存在代行と中動態しかし私は、ここで、身体の再構成を行ってきた実践者として、今一度立ち止まって考えたい。主体を失い、操作されてしまうことの身体感覚についてである。 私は、これまで、10回ほどUber Existenceの存在代行を行ってきたが、その中で興味深い感覚を掴んだ瞬間があった。それは4回目の勤務のことだ。ユーザーが私の身体を借りて、ユーザーの友人と公園で談笑する場面があった。それまで私は、いかに自我をなくして、従順に指示に従えるようになれるかということを考えていた。恥

        • 加速するテクノ・ゾンビは、テクノ・ブラフマンとなれるのか? (前編)

          この記事は、多摩美メディア芸術の卒展の勉強会にスピーカーとして呼ばれたことをきっかけに、「身体」をテーマとして制作してきた私の最近の身体観について散文的に残したものである。 〈目次〉 - 加速するテクノ・ゾンビ - 存在代行と中動態 - 瞑想 - テクノ・ブラフマンとの合一 「ボディ・サスペンション」という行為をご存知だろうか。それは金属製のフックを直接皮膚に通して、身体そのものを吊るというものだ。現在は、世界の身体改造愛好家の間で実践されている行為であり、パフォーマンス

        亡き祖母について

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        • Uber Existence 勤務記録
          3本

        記事

          パーソナルスペースの境界をこれほどビリビリと感じることがあるだろうか【Uber Existence】

          店員さんのものすごい視線が印象的だった前回に続いて、まだまだスカイツリーのふもとでウバイグは続く。 喫煙所にいた酔っ払いに話しかけるご友人とお別れしたあとは、周辺をブラブラと散歩していた。すると、喫煙所の横で、たむろする酔っ払った学生が目に入った。ユーザーさんは、「せっかくだから、もっと知らない人に話しかけてみたい」と言い、「いったんそこに座って」と指示を出した。「そこ」というのは、学生たちがたむろしている喫煙所横のスペースの斜向かいにあるベンチのことだ。きっとユーザーさん

          パーソナルスペースの境界をこれほどビリビリと感じることがあるだろうか【Uber Existence】

          ものすごい目で見られた2度目のUber Existence

          前回の衝撃的な体験から1週間ほどたった6月13日、2度目の存在代行をする。今回は、少し遠出して、東京スカイツリー近くの押上〜浅草あたりが戦場になる。 今回は、新たにキーコマンド操作機能のベータ版が出ていたので、試してみることにした。これは、ユーザーがWASDキーなどを使ってアクターを操作する機能だ。勤務が始まる前に、耳から聞こえてくるコマンド通りに身体を動かす練習をしてみた。"ポポン"というような音が右から聞こえてきたら右を向き、左から聞こえてきたら左を向き、というような動

          ものすごい目で見られた2度目のUber Existence

          鮮烈なる初めてのUber Existence

          少し前の話になるが、私が、Uber Existenceを初めてやったときの体験を書いていこうと思う。この日の鮮烈な体験を私は今後忘れることはないだろう。 私は元々、春までUber Eatsのバイトをやっていた。ひたすらアプリの指し示す場所に移動して報酬を得るという、あるいみでUberのアルゴリズムに操作される機械になったような気分がした。しかし、それが悪くなかった。むしろ、今までのバイトのどれよりも楽しかったのだ。 その矢先、緊急事態宣言が5月に解除されて、東京でもUbe

          鮮烈なる初めてのUber Existence