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ものすごい目で見られた2度目のUber Existence

前回の衝撃的な体験から1週間ほどたった6月13日、2度目の存在代行をする。今回は、少し遠出して、東京スカイツリー近くの押上〜浅草あたりが戦場になる。

今回は、新たにキーコマンド操作機能のベータ版が出ていたので、試してみることにした。これは、ユーザーがWASDキーなどを使ってアクターを操作する機能だ。勤務が始まる前に、耳から聞こえてくるコマンド通りに身体を動かす練習をしてみた。"ポポン"というような音が右から聞こえてきたら右を向き、左から聞こえてきたら左を向き、というような動作を練習していく。"ポーン"という音が正面から聞こえたら歩き出し、"ヴ"という低めの音が聞こえたら足を止める。これをしていると、自分が本当にラジコンになったような気分になる。それと同時に、「歩け」とコマンドされて、向かう方向に壁があったときに、本当に「止まれ」のコマンドをしてくれるのか?という焦りが渦巻く。操作されることで、逆にラジコン化しきれない感情の揺れ動きが際立つ。

ご友人と合流

時刻は、22時ごろ。今回はフリーではなく、事前に依頼があり、決められた時間と場所にスタンバイする。時間になり、ユーザーとの接続確認を行う。今回は、事前にログを自分のブログに使ってもいいという許可を得ることができたので、今回は画像付きである。

数分後、ユーザーさんの友人らしき人が現れた。最初は、その人も戸惑っていたが、事前にユーザーさんから事情は聞いていたらしく、面白がっているようだった。だけど、どこに目を合わせていいのかわからなくて難しいと言っていた。

スクリーンショット 2020-11-22 18.54.17

途中かなりコマンド操作がぎこちなくて、突然止まったり、ご友人を置き去りにしてしまったりなどがもどかしかった。行動の目標は声で指示してもらいつつ、細かい指示で補助的にキーを使う方針が良いかもしれない。

近況の雑談をしながらしばらく歩くと、スカイツリーが見えてきた。そこで、ご友人が写真撮ろうぜ!と言い出し、ツーショット自撮りをすることになった。僕がうつっていいのだろうか…という違和感がありつつも、ユーザーさんはカメラの画角へと身を寄せるよう僕を操作する。勤務後にその画像もいただけたので載せておく。

スクリーンショット 2020-11-22 18.57.04

完全に真顔だったことに、後から気づいた。身体自体が会話のテンションと全然違うところにいる感じがモロに出てしまった。

コンビニ店員の視線

かなり歩いたので、アイスカフェオレを僕の身体に補給してもらえることになり、コンビニへと入る。少し商品を物色した後、レジに向かう。レジの前に立って、ユーザーさんはいきなり「カードでお願いします。」と言った。完全に店員さんは固まっている。それもそうだ。謎のマスクとカメラを装着した謎の男が、いきなりなんの注文も伝えずに、支払い方法だけを提示したのだから。僕はただ、レジの店員さんの怪訝な目線と、完全に緊張してわからなくなっているユーザーさんの間で、その真空の時間を過ごしていた。僕にはどうすることもできないこの時間が、死ぬほど長く感じる。

p-2_レジ

ようやく、焦りから抜け出したユーザーさんが、注文を伝えると、なんとかアイスカフェオレを購入することができた。僕も勤務はまだ2回目だが、彼はこれが友人以外とウバイグで会話するのが初めてだったらしい。山場を越えて勝ち取ったアイスカフェオレを飲むと、今までどれほど喉が乾いていたかがわかった。

ご友人とお別れ

そろそろ、ユーザーさんのご友人とお別れということで、地下鉄の駅まで見送ることになった。地下鉄へと入る階段の入り口で、手を振ってお別れをする。しばらくして、ユーザーさんが「ついてっちゃいましょうか」と言い出した。ここからご友人を追いかけるということらしい。幸い僕は一段飛ばしで階段を降りることができたので、走って追いかけた。だが、なぜか走っても走ってもご友人が見えてこない。その理由は、ご友人が高校時代バスケの県代表だったらしいことにみいだせるだろう。だとしても、ご友人が改札を抜けるまでに追いつかなければいけないので、走り続けていると息が上がってきつくなってきた。一方で、僕が全速力で走ってブレブレになっている画面を、部屋でぬくぬくとみているユーザーさんはかなり楽しそうだった。

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改札に着くと、ギリギリ間に合って、遠くから結構な大声で、じゃあな!とそれだけ言って、この件は終わった。

後半は次回に続く。

前回にもまして、身体と主体の解離が激しかった気がする。もう一言「じゃあね」と言いたいだけであの長い階段を全速力で追いかけるという鬼畜の所業がそれを表している♨️ そして何より、あの店員さんの怪訝すぎる視線は最高に痺れた。

この2度目の存在代行では、まだまだ事件が続くのだが、長くなるので次回に譲ろうと思う。最後まで読んでいただいてありがとうございました。










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