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ヂアナ・オルタ・ポポフとの幸福な出会い 〜 トニーニョ・オルタを呼ぶことになるとは思わなかった〜

ヂアナ・オルタ・ポポフの音楽は特別だ。彼女の才能はそれを好きにさせると同時に、それを守ろうと思わせる。この音楽を心から堪能しよう。【イヴァン・リンス】

ヂアナの音楽にはミナスの音楽の過去と未来が表れている。【トニーニョ・オルタ】

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ヂアナ・オルタ・ポポフとの出会いは、まだ、ラティーナに出戻りする前に遡る。2014年5月号で、ベーシストで音楽理論家の濱瀬元彦さんと、ミナス新世代を紹介する記事を編集部に提案し執筆した。

濱瀬さんがミナス新世代ディスクガイドを32枚選出し、半々で紹介文を書いた。そのとき、ヂアナ・オルタ・ポポフの2012年リリースのデビュー作『Algum Lugar』のコメントをぼくが担当した。
ヂアナの音楽とちゃんと向き合ったのは、そのためだった。ぼくはすごく気に入って「正統派ミナス音楽を21世紀にアップデートする」という今でも掲げているキャッチコピーは、この時からのものだ。

「ユニ・ポポフの娘で、トニーニョ・オルタの姪であるヂアナの音楽は、ミナス音楽特有の大きなスケール感とハーモニーを受け継ぎつつ、電子音楽ネイティヴの世代として軽やかに電子音も取り込み、正統派ミナス音楽を21世紀にアップデートする」(月刊ラティーナ 2014年5月号)

2014年7月に、ぼくはラティーナに出戻りした。

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ヂアナとの再会は、中原仁さんからの「21世紀ブラジル音楽ガイド」への原稿依頼がきっかけだった。
『Algum Lugar』のレビューを書かせてもらうことになったぼくは、ヂアナの最新情報を調べた。
現在フランス在住、新しいアルバムを準備していることがわかって、ヂアナにfacebookから連絡をとってみた。2018年6月のことだ。
日本先行発売にできるなら、日本盤を出したいと伝えたら、快諾してくれて、日本盤として『Amor de Verdade』をリリースすることになった。



彼女からアルバムの制作についての説明をきく前に、リリースを決めたのだけれど、話を聞いてみると、『Amor de Verdade』は、現代ブラジル最高峰のピアニストのアンドレ・メマーリがヂアナの才能をかって、サンパウロの自身のスタジオに呼び、アルバムの大部分を録音したという。アンドレとは以前から付き合いがあったが、思わぬところで繋がった。日本先行発売にするために急いでCDの制作を進め、2018年9月15日に『Amor de Verdade』を日本盤としてリリースした。
CDのために特設サイトを作ったり、ラティーナ9月号でインタビューを掲載したりしている。
http://latina.co.jp/dianahortapopoff/index.html

『Amor de Verdade』について
「私はヂアナの作曲の才能と繊細で洗練された歌声に魅了され、録音に誘いました。 彼女の音楽は、ブラジルの歌の豊かな伝統に結びついています。特に、トニーニョ・オルタ、ミルトン・ナシメント、タヴィー ニョ・モウラといったクルビ・ダ・エスキーナのマエストロたちに結びついています。 私のスタジオでの録音のプロセスは、まさに流れるように自然でした。 私は、アコースティック・ピアノ、アナログ・シンセサイザー、バンドリンを演奏しました。 このアルバムの創造的な雰囲気には、録音時の新鮮さが反映されていると思います。 というのも、スタジオで録音しながらアレンジを考えて実際に録音していきました。

この音楽は永遠の魅力を備えています。そう、クルビ・ダ・エスキーナの夢のように...決して歳をとらない ! 」【アンドレ・メマーリ】

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ヂアナから、友人のフランス人のミュージシャンが日本のミュージシャンのツアーのために日本に行くから、彼に完成したCDを託して欲しいと頼まれて、連絡をとると、その日本人ミュージシャンが宇多田ヒカルで、宇多田ヒカルのコンサートを観たなんて話もあるのだが、今回は、本筋から逸れてしまうので、別の機会に…。

そんなこんなでヂアナとはちょくちょく連絡をとっていた。

年が明けると、ヂアナから、
「日本に行ってコンサートをしたい。叔父さんのトニーニョも一緒に行ける」という連絡があって、ツアーの可能性を探りはじめて、
「Toninho Horta featuring Diana Horta Popoff」が成立した。http://latina.co.jp/ToninhoHorta_DianaHortaPopoff/

ディスクユニオンからのトニーニョの2枚組最新作『Belo Horizonte』の国内盤リリースも決まって、トニーニョにとってもタイミングのいい来日となった。ちなみにトニーニョからは、『Belo Horizonte』を録音したOrquestra Fantasmaとも来たいと言われているので、何とか実現したい。

ヂアナとトニーニョの他に、ヂアナの夫で、フランスのジャズ・シーンでのファースト・コールのベース・プレイヤーのマチアス・アラマンが来日することになった。
ドラム(パーカッション)に岡部洋一さんを推薦してくれたのは、濱瀬さんであった。本当に良い組み合わせとなって、ここでも濱瀬さんに感謝感謝だ。

100BANホールでの神戸公演、yamabraさん主催の文翔館での山形公演をほぼ満員、盛況に終え、ブルーノート東京の公演の2ndでは、通路にもたくさんのお客さん。100%を超える満員状態のお客さんが大いに盛り上がっていた。

その盛り上がりの中、トニーニョとヂアナを日本に連れてくることができたタイミングのよい幸運な出会いについて思いを馳せていた。
濱瀬さんと仁さんがそのきっかけを作ってくれた。
自然な力だけで、事が進んで、たくさんのお客さんに喜んでもらった。

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ヂアナとの仕事は、本当にスムーズで、ちょっとしたことですごく喜んでくれる。とても仕事がしやすい。
今回、一緒に仕事をして、やはりもっとたくさんの人に知ってもらいたい才能だと思った。
岡部洋一さん曰く、ヂアナの曲は、ちょっと普通じゃないくらい難しいということだ。聴いている分には柔らかい音楽の印象なのに、その実、演奏するのがとても難しい音楽。

1stアルバムと2ndアルバムの間は、6年ほど空いているが、早速、3rdアルバムの準備に入っているという。
これから、ヂアナの音楽活動は、勢いづいていきそうだ。ぼくも変わらず応援したい。次に彼女がどんな音楽を聴かせてくれるのか、とても楽しみだ。

そんな彼女が今回唯一のソロ・コンサートを明日、青山プラッサ・オンゼで行う。
日本におけるブラジル音楽のゆりかごであり続けたプラッサ・オンゼは、今年11月末で営業終了が決定していて、終了までのカウント・ダウンに入った中でのコンサートとなる。

9月27日(金) 開場18:30 開演19:30

at 青山 プラッサ・オンゼ

出演:ヂアナ・オルタ・ポポフ(Vo, P)
   マチアス・アラマン(B)
入場料: 予約 3500円 当日 3800円

予約:tel : 03-3405-8015

トニーニョとのコンサートで見せられなかった彼女の魅力をたくさん見せようと、ヂアナとマチアスは明日のコンサートをとても楽しみにしている。
ぜひ、多くの人にヂアナの演奏を見て欲しい。
http://www.praca11.net/main.html

下記に、9/24のブルーノート東京公演での、ヂアナの楽曲の演奏をアップしています。

「MADI」with トニーニョ・オルタ
https://twitter.com/latinacojp/status/1176825069063901187

「Toda Menina」with 黒田卓也
https://twitter.com/latinacojp/status/1177164654721683458

「Na Roda」with 黒田卓也
https://twitter.com/latinacojp/status/1177179377555013632

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60
月刊ラティーナの編集長です。コルクラボ4期。

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