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20代、本好き

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【読書感想】斜陽(太宰治)

斜陽の意味(goo国語辞書より) 1 西に傾いた太陽。また、その光。夕日。 2 勢威・富貴などが衰亡に向かっていること。没落しつつあること。「斜陽産業」 あらすじ舞台は戦後。 時代の移り変わりのなかで没落していく貴族一家は、各々が異なった破滅を迎える。 生粋の貴族であった「母」は病に倒れる。 貴族というもの自体がなくなっていく時代の流れと共に。 弟の「直治」は一般の民衆と同じ生活を送りながらも、いつまでもついて回る「貴族」という家柄に苦しみ、薬物や不良に走る。 けれ

    • 【読書感想】金閣寺

      あらすじ物語の主人公「溝口」は、幼い頃から父親に「金閣寺はこの世で一番美しいもの」と聞かされ、金閣を美の象徴と思うようになる。 また、溝口は吃音持ちで周りから馬鹿にされていたため、引っ込み思案な性格であった。 「美しい金閣」と「醜い自分」に隔たりを感じていた。 時は戦時中であり、空襲によって金閣も自分も同時に消えてなくなるのだと、共に滅んでいくことを期待する溝口。 しかし、戦争が終わっても金閣が燃えることはなく、溝口も生き残る。 金閣がなくならないのなら、金閣の住職にな

      • スマホの中毒性

        休日スクリーンタイム7時間とかなりのスマホ依存者ですが、一時期話題になった「スマホ脳」読んで危機感を持ちました。 <スマホ脳のざっくりとした解説>世界で精神不調を起こす人が急増しているが、原因の一端にスマホがあることは間違いない。 なぜなら、人は地球上に現れてから99.9%を狩猟と採集をして生活してきたため、人間の脳は原始時代用に最適化されているから。 元来人は不安やストレスを感じやすい生き物。 いつ敵に襲われるか分からず、食べ物が見つからないで餓死する時代では、不安やス

        • 【読書感想】カラマーゾフの兄弟

          東大教師が新入生に薦める本第1位、村上春樹も人生で巡り合った重要な三つの小説のうちの一つに選び、世界文学史上最高傑作との呼び声も高い、こちらの本読みました。 途中から読むのが止まらなかったいろいろな所で絶賛されているのでずっと読みたいと思っていましたが、2000ページ以上あり、難解な文章、ロシア文学特有の登場人物の覚えづらさもあって何回も挫折しました。 それでも、中盤から面白くなるという話を信じて読み進めました。 個人的にも1巻の終盤あたりから面白くなってきて、それ以降中

        【読書感想】斜陽(太宰治)

          【読書感想】本と鍵の季節

          あらすじ 高校の図書委員男子二人が「本」や「鍵」にまつわる謎を解いていく短編集です。 感想短編ということもあって謎自体は軽めな印象でしたが、主人公二人のテンポの良い掛け合いが読んでいて楽しかったです。 そして、最終話でそれぞれの短編に薄く散りばめていた伏線を回収する構図、主人公二人の友情模様の変化は読み応えがありました。 関わることで知る、相手の意外な一面分類で言えばミステリーですが、この作品のもう一つのテーマとして「付き合っていくなかで見える、相手の意外な一面」がある

          【読書感想】本と鍵の季節

          【読書感想】月と六ペンス

          あらすじロンドンで何不自由ない暮らしを送っていた男「ストリックランド」は、ある日忽然と行方をくらます。 安定した仕事、温かな家庭、それらすべてを捨て、四十すぎた男が挑んだこととは。 ある天才画家の情熱の生涯を描き、正気と狂気が混在する人間の本質に迫る。 感想英文学の歴史的ベストセラーというのを後で知りましたが、衝撃的な展開にぐいぐい引き込まれるお話でした。 そして、訳者あとがきまで読んで改めてタイトルを見ると、美しいタイトルだなぁと感じる作品です。 タイトルの意味「スト

          【読書感想】月と六ペンス

          必然性のない読書

          一時期、自己啓発本やビジネス書にハマってたんですけど、最近は単純に娯楽として小説読む時間が増えてます。 というのも、有益な情報を求めて本を開くより、自分と何の関係もない小説読んだ後の方が満足感が高かったりします。 必然性のない本を読もう 作家の米澤穂信さんがおすすめの本を紹介したり、エッセイを書いたり、他の作家と対談している、こちらの本読みました。 そのなかに、「必要なこと、役に立つ情報ばかり追い求めると心がすり減るから、今読む必然性のない本読むと良いよ」という話がありま

          必然性のない読書

          【読書感想】センセイの鞄

          あらすじ 40目前で落ち着いた雰囲気の女性「ツキコさん」。 ツキコさんの高校の恩師で、30以上歳の離れた「センセイ」。 二人の切なくもあたたかい恋模様を描いたお話です。 満場一致で決まった、谷崎潤一郎賞受賞作。 感想 歳の差恋愛も今どき珍しくないですが、自分の年齢よりもかなり上の相手に惹かれる理由がなんとなく分かりました。 どれだけ歳を重ねても、誰の心にも幼い部分は残っていて、そういった部分を遠慮なくさらけ出せる相手はなかなかいません。 加えて、穏やかな時間が流れる

          【読書感想】センセイの鞄

          【読書感想】華氏451度

          あらすじ 舞台は本が忌むべきものとして禁止された社会。 主人公「モンターグ」は、昇火器で隠された書物を焼く自らの仕事に誇りを持っていた。 しかし、色々なことに疑問を持つ少女、見つかれば捕まる社会で本を隠匿する老婆などを目にしたことで、自らの仕事、社会に疑問を持ち始める。 感想本が禁止されたディストピアから、本の大切さを知る物語でした。 本が禁止された社会では、人々はテレビやラジオで情報を得ています。 しかし、それらで得られる情報は誰が聞いても理解できるように、分かりや

          【読書感想】華氏451度

          【読書感想】逆ソクラテス

          あらすじ 小学生が主人公の短編が5つ。 テーマとして、「先入観」や「人生を生きるうえで大切なこと」があります。 例えば、タイトルにあるソクラテスは、自分は何も知らないことを知っていることだけはマシという「無知の知」が有名ですが、物語では自分の考えが正しいことを疑わず、他人に自分を考えを押し付ける「逆ソクラテス」な人たちが出てきます。 そういった人にどう立ち向かっていくか、そんなことが描かれています。 感想とても面白かったです。 自分の中の価値観の変化を感じました。 本の

          【読書感想】逆ソクラテス

          【読書感想】深夜特急1

          あらすじ 「インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗合いバスで行ってみたい」。 ある日そう思い立った著者の、ノンフィクション紀行小説。 全6巻で、1巻ではインドに行くまでに寄り道をした香港、マカオでの様子が描かれています。 感想 自分にはとてもできそうにないけど、旅っていいな。 率直にそう思いました。 行き先だけ決めて、途中何をするかとか、止まる場所とか決めない、行き当たりばったりの完全な自由旅。 今なら色々整備されたり、スマホがあるからもっと手軽だとは思いますが

          【読書感想】深夜特急1

          【読書感想】夜が明ける

          あらすじ 高校で「俺」は、身長191センチの「アキ」と出会う。 普通の家庭で育った俺と、母親にネグレクトされていた吃音のアキだが、 俺の一言をきっかけに二人はかけがえのない存在になっていく。 大学卒業後、俺はテレビ制作会社に就職し、アキは劇団に所属する。 しかし、焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、少しずつ心と体を壊していく。 感想 読んでいる最中、とあるゲームのキャラクターの言葉を思い出しました。 あまり正確に覚えてないですが、「暗い話が好き、とりわけ救いの

          【読書感想】夜が明ける

          【読書感想】喜嶋先生の静かな世界

          あらすじ大学4年の僕は、卒論のために配属された研究室で喜嶋先生と出会う。 寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。 学問の深淵さと研究の純粋さを描いて、読む者に静かな感動を呼ぶ自伝的小説。 感想帯裏の言葉が印象的でした。 大学の研究職となると、ひたすら目の前の研究に没頭し、世間から離れた、孤独で静寂な世界が広がっています。 それでも、出世していくと教育や人事の仕事が増え、世間的なしがらみも増えていくそうです。 「僕」が憧れた「喜嶋先生」は、出世

          【読書感想】喜嶋先生の静かな世界

          【読書感想】悲しみよ こんにちは

          あらすじもうすぐ18歳のセシルは、父レイモン、その恋人エルザと、海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。 そこでセシルは大学生のシリルとの恋が芽生え、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流する。 父が彼女との再婚に走りはじめたことを契機に、セシルはある計画を思い立つ。 感想叙情的で美しい文章、今まで他の作家の本を読んで「文章が美しい」と感じたことは多いですが、この本は特に感じました。 訳者あとがきに、著者のサガンが生前「作家のなにに敏感か」と聞かれて、「声」と

          【読書感想】悲しみよ こんにちは

          【読書感想】流浪の月

          あらすじ家に居場所がなくなった少女「更紗」は、大学生の「文」の家に転がり込む。 二人が過ごした安息の数ヶ月は、女児誘拐事件と呼ばれた。 感想人はレッテルや先入観なしに他人を見ることは難しい。 特に、自分達が理解できないことは無理やり理解できる形に解釈して理解しようとする、そう思いました。 そして、自分達が理解できる「普通の人」の方が幸せだと、無自覚な善意を押し付けることだってあります。 とかく人間関係は難しいです。 この物語で理想とされている関係は、お互い干渉しないで好

          【読書感想】流浪の月

          優しくありたいと思う人へ

          最近読んだ本にこんな言葉がありました。 ※多少改変してます 生きていれば、他人の悪意、わがままな行動に遭遇することは避けられません。 そんな時、誰もが生きづらいこの世界を生きているのだから、そういった行動もしょうがないと思えれば、少しは心が軽くなるのではないでしょうか。 そしてなにより、この世界で人に優しくなれること、それはすごいことです。尊いことです。だから、この世界で誰かに優しくありたいと思えたなら、それだけですごいことだと、そう思いました。

          優しくありたいと思う人へ