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「空気を読まない」こと

2週間の自主隔離を終えて、いよいよ登録していたコースで授業を受けるべく1か月のバスパスも購入して、張り切って私の留学生活が始まるはず。。。だった。こんな時期でも受けたいと思っていたのは英語教授法「TESOL」(Teaching English to Speakers of Other Language)を教えてくれるコースだった。いろんな国から学びに来る人と共に肩を並べて。。。

留学生活の良い話ばかりする方がいいんだろうなって思って、この2週間の顛末が書けずにいた。でも、表面的な良い話ばかりより「ほんとのところ」を書いた方がいいかなって。それに今の私なら正直なことを書いても責められることもないでしょうし。

このコースはずっとコロナの影響で閉講していたので、日本を発つ前には「パワースピーキング」という英語プレゼンテーション力を学ぶクラスを予約していたのだけれど、なんと!3月8日から半年ぶりにTESOLが開講することを3日(水)に知り、急だけれども登録コースを変えてもらえないか相談してみた。日本だったら、土日をはさんで実働2日前にコース変更なんて考えられないけれど、「言ってみたら」受け付けてくれた。水曜の夜中にオンラインテストを受けて木曜午後にズームでインタビューテストを受けて金曜にオンラインオリエンテーションを受けて。10か月待って、ようやくようやく!学べる!人数は少ないだろうけれど海外からの生徒と共にハイレベルでへとへとになるようなレッスンを受けれる!と月曜の朝バスに乗り出かけて行った。

しかし、行ってみたら全員が若い日本人女性だけだった。しかも、2週間受けていたオンラインレッスンのような難度の高さと緊張感はなく、ゆっくりと進み、「空気を読み内気な」日本人ばかりなので自主的発言はほとんど無く、どうかすると私ばかり答える状況になってしまっていた。内容も授業で使う話し方とかジェスチャーの出し方とかゲームのやり方とかで、予想していた語学としての英語に対する深い知識を学べるものではなかった。

「これは私が求めていたものとは違う」と思った。でも、もう登録したしお金も払っているから2か月間ここで我慢しなきゃならないのか。。。と思いランチタイムに娘に電話したら「すぐに先生かDirectorに ”私はもっと勉強したい、自分の英語力を高めたい”って話して午後から違うクラスを見学できないか聞くんだよ!」と。「自分が違うと思ったら自分で交渉しなきゃ。なんでも言ってみることから始めるんだよ。日本のように我慢しちゃダメ。無理だったら無理だって言ってくれるから、まず言っておいで!」と檄を飛ばされ、ランチタイム中の先生と2日前にインタビューテストを担当してくれたDirectorに話に行った。

日本だったら「迷惑かけると申し訳ないから、自分が我慢すればいいんだ」とグッと堪えて『空気を読む』べき所だけれど、先生も「今日は初日だからゆっくりなので、もう少し様子を見てもらえると良いのだけれど、でもあなたの時間とお金を使ってきているのだからあなたの決断を尊重するわ」と言ってくれた。Directorも早速違うクラスを見学できないか姉妹校に段取りを取ってくれた。

私の場合は、ちょっとややこしくて、最初は語学専門学校のコースにしていて、それを2日前に大学が関わるコースに変更して、それを当日にまた語学学校のコースに変えたいというものだった。異なる組織間の移動なので複雑な手続きとなるにもかかわらず、授業を終えて担当者に話に行ったところ、受け付けてくれた。コロナの影響で開講クラスが少なくて、今の状況で海外からカナダに来れる国は日本くらいなのだそうだ。(日本のパスポートって本当に強いなって、この地位を作ってくれた団塊の世代の方、すべての日本人に感謝!)だから、どのコースも日本人が大半を占めているとのこと。

2週間のオンラインレッスンで鍛えてもらったお陰なのか、「今の中原さんに合うクラスが無い状況です」と言われてしまって、お店に行ったらあなたに合う商品がないと言われたような感じで「So What?」って思ってしまった。でも、オンラインレッスンがとてもハイレベルで毎日12~13時間は勉強していたので、このコースに戻ることを選択した。

コース変更を強行したあの日から2週間、毎朝5時半起床、6時から12時までレッスン、その後19時くらいまで宿題と勉強という日々を送っています。ちょうど今日でカナダ入国から1か月が経過しました。あの時日本にいたころのように『ワガママだ、自己中だ』ってレッテルを貼られたくなくて「空気」を読んで我慢していたら、不満な毎日を送り、それを誰かのせいにしたくなっていたことでしょう。「嫌なら嫌」って言えない社会って、おかしくない? 空気を読んで頼まれてもいないのに他人の思惑や期待に応えようと自分を押し殺す。それじゃ自己肯定感や自尊心が高まるはずがないですよね。

でも、あれ?オンラインレッスンなら日本に帰ってもいいんだよな~って、葛藤しています。勉強するには、友達も遊ぶところもないカナダの方が絶対的に環境としてはいいのはわかっています。(今日も起床後既に11時間ずっと勉強中)日本の温泉やラーメンに回転ずし、ゴルフの打ちっぱなしが恋しい、、、そんな自分に甘い私自身を知っているので。。。

留学を考えている方へ、私も自分がやってみるまで、留学ってすごいことだって思っていたけれど、実際のところそうでもなかったです。もちろん、留学にも色々あって、大学に進学してdiplomaとるのは本当に本当に大変です。でも語学留学っていうのは、自分の都合に合わせて期間を決めて語学学校に入って勉強するスタイルなので、そんなに必死に構えて緊張するものでもないです。時間と資金があれば、いつだって学べる。もちろん、取るコースによって余裕があるのもあるでしょうが、私は敢えてかなりレベルが高くハードなクラスを選んだので、必死な毎日を送っています。でも、お金と時間を投資するわけなので最大のリターンを得たいですよね。

でも、だからこそ、「何のために留学するのか」「何を学びたいのか」がしっかり自己確認できていることが大事だと思います。私の場合、高校・大学生の時に親の反対で実現できなくて残念だったから、遣り残したことを清算する意味合いが強くて「お母さんの夢をかなえさせてあげたい」とUBC大学に通う娘がかなり力を貸してくれて実現したものですが

でも、若い時だったら感じた景色は、きっと社会人として数多の経験を積んできた今見えるものとは違っていただろうなって思います。外国に憧れていた若い頃、そして日本文化の良さ、日本社会の課題を実体験で知っている今。正直なところ今の私は、留学して英語を学んでもそれが何かのパスウェイになったり、就職に役立つわけではないので、何かを得るためではない勉強、手段ではなく単純にひたすらに学ぶことが目的になっている勉強なんです。それって最高に贅沢な道楽だなって思っています。今仕事もしていなくて、こんなことしてて大丈夫か?って思いますけれど、ま、なんとかなるでしょう。これまでもそうしてきたように。


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