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虹を超えたら

突然の知らせ

2021年が始まり、今年の年末年始の休みは少ないなとかコロナ関連で人と会えなくてあまり楽しくなかったなとか相変わらず寒いななどと考えていた1月4日。なんとなくinstagramを見ると、好きなミュージシャンが投稿をしていた。何か新しい活動の情報かなと思い英語を流し読みすると、衝撃的な文章が並んでいた。そこまで英語力に自信があるわけではないので、読み間違いであることを祈りながら他SNSでそのミュージシャンについて調べてみると、やはり読み違えではなかった。既にそのミュージシャンは2020年中に亡くなっていて、それについての投稿であった。41歳という若さであった。

その日は、ずっと曲を聴いて過ごした。あんな気持ちで音楽を聴いたのは、生まれて初めてだった。


ヌシ釣り

どんなことがあっても朝はやってくるもので、気持ちが晴れないままに翌日となった。日中も気分が悪く、通常の状態でないのはどう考えてもわかり、夜になっても精神状態はおかしかった。

なんとかその状態を抜け出すために、とりあえずその時の気分をnoteに殴り書きをし、あとは普段通りのことをして気を晴らそうと思った。普段通りにff14にログインし、いつも通り通話に入り、何事もなかったことのように過ごすことでなんとか心の平穏を得ようと考えた。

通話をしていると、今日はヌシである紅龍が来ると誰かが教えてくれた。漁師のジョブクエは終えていたもののヌシはまだ釣ったことはなく、みんな行くとのことであるし、とりあえず行ってみようと思った。

釣り始めた後、紅龍を釣るためのヌシを釣る前提条件であるアイテムを持っていなかったので取りに行ったりするなどの時間ロスはあったものの、前提条件となるヌシのクアルは釣れた。これが初めて釣ったヌシとなった。

紅龍に挑んだ後、FCの釣りに自信ニキMがヌシの情報がわかるサイトを2つ教えてくれた。これを機にヌシ釣りを始めてはどうかと。実際、何かをしていなければ悲しいことを思い出してしまいそうだったし、年も明けたし、新しいことで頭をいっぱいにするのが一番だなとも思えた。こうして、ヌシ釣りを始めることにした。


そこからは、ひたすらにヌシを釣る日々が始まった。釣りを始めたてのころだと、ほぼ毎時釣ったことのないヌシがおり、そのなかでも時間制限や天候条件が珍しいヌシを優先して釣り、その合間で1時間に一度は来るタイプのヌシを釣るなどしていた。

何かに没頭することで、嫌なことや悪いことを考えないようにしていた。

ふとした瞬間に思い出してしまいそうで、他のこと、無理やりにでもヌシ釣りのことで頭をいっぱいにさせるように。

一日に三匹は新しいヌシを釣ろうとしたものの釣れず、ヌシ釣りのセンスがないと落ち込んでいたら寝る直前にギリギリ一匹釣れることや、調子が良く一日に十匹釣れてヌシ釣りのセンスに溢れてると調子に載ってみるなど、そんな日々を1ヶ月ほど送り、ようやく紅蓮までの全ヌシのおおよそ半分、獲得ヌシ100匹が条件である称号の太公望を手に入れた。太公望が当面の目標と勝手に考えてはいたものの、ここまで来たなら始めた理由はどうあれ最後までやってみたいと思った。 

しかしやはり半数を超えてくると、釣るペースは遅くなるように感じ、何回か挑戦するようなヌシも少しずつ増えてきた。いつでも釣れるはずのヌシに3時間弱かかったり、1時間に一度来るヌシに何日もかけたり、特別な条件のヌシ、いわゆるオオヌシがかからなかったりするなど、そんなことがほとんどとなってきていた。オオヌシを釣るために深夜3時に寝た後早朝5時に起きたり、ヌシに間に合わせるためにジムを早く切り上げたりするなど、ヌシに軸を置いた暮らしになっていた。

この頃になると、すっかり頭の中はヌシ釣りに染まっていた。

悲しみは時が解決してくれるとはよく言ったもので、これまで作ってくれた作品を聴くと寂しくはあるものの、まだ前より前向きな、感謝とかそういった類の感情が出るようになっていた。

当初の目的の一つは、すでに果たしていた。

虹を掴みに

そんなこんなで、3月初頭には称号Ebisuまでのヌシが残り一匹となった。残りの一匹は七彩天主。時間をかければ釣れるとのことにて、最後に残していた。 釣れる条件を満たすようになるのに時間はかかるとのことではあったが、何日かで終わるとは思っていた。かかっても一週間ほどだろうと思ってはいた。しかしまったく釣れない。

釣れる条件を満たすのに運次第では最大3時間ほどかかり、掛かったとしてもバラしてしまう。虹を掴むのは、これほど難しいことなのかと感じた。

そうこうしているうちに、1ヶ月が過ぎてしまった。203匹は2ヶ月で釣れたが、残り1匹で足踏みしていた。

なんとなく釣りをしようと思った土曜の昼前、虹は突然やってきた。通話もしていなかったので誰にも聞かれはしなかったが、画面の前で叫んだ。

七彩天主だ。

こうしてEbisuとなり、目標を一つ達成できた。めでたし。

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この勢いで翌日の競馬も勝てると思い、馬券を買った。見事3連複を外した。ソダシちゃんおめでとう。

虹をこえたら

Ebisuにはなれた。しかし、釣りコンテンツにはまだやることがある。ヌシ優先だったため釣り手帳はまだ埋まってはないし、船釣りの称号もまだ取り終わってないし、蒼天街収集もまだ終わってはいない。漆黒オオヌシも現れた。やることは多い。

始めた理由は決して良いものとはいえない。ただあんな気持ちには二度となりたくないし、他の気分で塗りつぶしたかったというのもあった。薄れさせるために、馴染ませるために、でも忘れないように。おおよそのことは日常に溶けていって、ふとしたときに鮮明に浮き上がってくる。

釣りとともに季節を過ごす間に、いいニュースもあった。未発表音源を集めたミニアルバムがリリースされたとのことだ。じっくり聴きたい。


もう寒い時期はとうに終わって、夏が間近に迫っている。不自由な一年はまだ続きそうではあるが、そのなかでも薄ぼんやりと、ゆっくり歩き続けたいと思えた、そんな6月の初め。

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