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介護施設に犬がいる日常をつくる #1


「施設で、犬飼いたいよね」
そんな企画課内の一言から始まったプロジェクト。
現在、3匹の犬と3人のドッグトレーナーがグループ内の介護施設で働いています。
「さっさと犬を見せてよ!」と言われそうですが・・・記事の下の方までお預けです(犬風に言えば「待て!」)。どうぞ、読み進めて!笑

手探りで始めた活動ですが、導入までのプロセスと試行錯誤も含めて、少しずつ記録に残していきたいと思います。
記事の担当は、サービス企画課@城野(じょーの)です。

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1.アニマルセラピーって、そもそも何だ。

「アニマルセラピー」や「ドッグセラピー」という言葉は、皆さんもきっとどこかで聞いたことがあるはず。私たちも、もちろんそうでした。
でもいざ活動する!となると、何から始めたらいい?必要な準備は??セラピー活動って誰がどうやるの??

ていうか、そもそもアニマルセラピーって何だ????

と、疑問ばかりが浮かんできます。

そこでまず始めたのが、「アニマルセラピー」や「ドッグセラピー」についての情報収集。インターネットで検索してみると、関連する書籍がいっぱい出てきます。下記はごく一部。

アニマルセラピー実践-その構築にかかわるコーディネーターの役割
                (山崎恵子著,2014,ウイネット出版)
知りたい!やってみたい!ドッグセラピー
                (川添敏弘等著,2015,駿河台出版社)
アニマル・セラピーの理論と実践
                (岩本隆茂/福井至著,2010,培風館)

概要は、こんな感じです。

👉アニマルセラピーには、「動物介在活動(AAA)」「動物介在療法(AAT)」「動物介在教育(AAE)」の3種類がある。
👉アニマルセラピーは、18世紀末のイギリス「ヨーク収容所」で精神障害を抱える方に動物のお世話を任せたのが始まり、と言われている。
👉古くは、古代ローマ時代に戦争で負傷した兵士のための乗馬療法も行われていた。
👉1962年、犬を用いた子どもに対する心理療法が論文として発表された(Levinson,1962)。そこから臨床現場におけるアニマルセラピーの実践が普及し始める。
👉セラピーの効果には、「心理的効果(リラックスする・感情が表出する)」「身体的効果(病気からの回復・血圧などの正常化等)」「社会的効果(会話が増える等)」などがあるといわれている。
👉現在セラピー活動が行われるのは、高齢者施設やホスピス、教育施設など。高齢者・障害者・子ども・受刑者などが対象となる。
👉アニマルセラピーには、ハンドラーと呼ばれる動物を扱う人間の存在が重要である。
👉ハンドラーには、動物の飼育管理や訓練だけでなく、セラピー対象者やスタッフとの適切なコミュニケーションなど一定の技術が求められる。
👉一般的なドッグセラピーには、「施設訪問型」「施設飼育型」の2種類がある。(日本の訪問型活動は、NPO団体や協会等が主催で行っている)

上記はあくまで概要で、
書籍には、これまで発表されているセラピーの効果に関する論文や、効果検証するための調査・実験のノウハウ、実際に介護施設などで導入する時にどんな準備・確認が必要なのか、リスクマネジメントといった情報まで。概論~実践編まで色んな情報があって、とても勉強になりました。

2.私たちが目指す、セラピーの形とは

上記の通り、日本語では「アニマルセラピー」とひとまとめにされているけど、本来、活動の種類は3つに分けられます。「動物介在活動(AAA)」「動物介在療法(AAT)」「動物介在教育(AAE)」。「セラピー」という言葉に、色んな意味合いがあるようです。

では、私たちが目指すのはどこなのか。と考えると、イメージするのは、施設の利用者さんの日々の暮らしの中に自然と犬がいる状態。
おうちで犬を飼うように、利用者さんにも犬の成長を見守ってほしいし、何なら一緒にお世話したい。(なので、どちらかというとAAAに近い。)

でも、介護施設で生活する利用者さんは、比較的身体が弱い。中には、急にスタッフの予想がつかないような行動をする方もいる。犬が来て喜ぶ方もいれば、嫌いな方や「昔噛まれたことがあってね」などと怖がる方もいる。

そのシーンを想像したとき、犬より先に、犬を安心・安全にハンドリングして、犬と共に利用者さんに寄り添い、コミュニケーションをとることができる「人(ハンドラー)」が必要なのでは!ということになりました。

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3.“介護施設で働くドッグトレーナー”という職業をうみだす

調べてみると判明したのが、日本には「介護施設でセラピーを行うドッグトレーナー(専従)」などという職業の人はあんまりいない、ということ。

通常、ドッグトレーナー資格(ちなみに、ドッグトレーナー資格自体も様々なものがあります)を持つ方が「介護施設でセラピー活動をしたい!」と思ったら、ボランティアで訪問活動に参加するのが主流。
介護施設でセラピーのために専従のドッグトレーナーを雇用するのはとても稀である。ということがわかったのでした。大発見。

そして採用活動を経て、オファーしたのがこの3人!
専門学校を卒業したてのピチピチ社会人1年目👏👏👏
左から米川さん、安西さん、黒﨑さん。

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私たちサービス企画課にとっても、この取り組みは初めてのチャレンジ。
ゼロから活動をつくり上げるにあたり、素直で、柔軟で、そして何と言っても人柄が良い。この3人とご一緒することを決めました。
それぞれ、異なる介護施設への配属です。

4.施設に犬来たる!・・・の前に、準備~少しでもリスクを減らすために~

犬が安心して施設で生活できるように、そして施設の利用者さんたちに安全に犬と触れ合っていただくために、犬を迎える前にたくさんの準備をしました。

この準備段階でも、関連書籍から得た知識がとても役立ちました!!動物専門学校(採用したトレーナーさんたちの母校)の先生からアドバイスを頂いたりもしました。

・スタッフへの周知
・利用者さんご家族へのご案内
・アレルギー有無や犬への苦手意識の確認(利用者さん、スタッフも)
・犬の飼養場所や方法、清潔保持等についての検討
・必要物品の買い揃え
・近隣の動物病院やトリミングサロンの確認
・セラピー活動の頻度や方法
・アレルギーや感染症、事故への予防対策
・必要なトレーニングについての検討
・災害時の備え
・犬が病気になったり、亡くなったときの検討
                      などなど。

先にも述べたように、介護施設の利用者さんは、身体が弱く、中にはスタッフの予想がつかない急な行動をとってしまうこともあります。
そういった方々が生活する空間で活動を行う以上、できる限り安心安全な環境をつくれるように各施設のスタッフ(多職種)で犬チームを構成し、準備を行いました。

もちろん、リスクをゼロにすることは難しいのです。。。
が!しかしその分、利用者さんにとってのメリットも多くあると私たちは考えています。

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5.ついに!施設に犬来たる!

できるだけの準備を整えたのち、各施設とトレーナー達と相談して3匹の犬がやってきました。

1匹目は、ケアホーム葛飾のゴールデン・レトリーバー「いなり」

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最初は小さくて、まるでいなり寿司みたいだったこと、施設の近くに稲荷神社があったことから名づけられました。女の子です。


2匹目は、ケアホーム千鳥のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル「はる」

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春生まれなことから、施設スタッフからの投票の上、命名されました。上目遣いにキュン・・・(男の子なんだけどね笑)


3匹目は、ケアホーム板橋のコッカプー(アメリカン・コッカースパニエルとプードルのミックス)の「ロイ」

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クルクルヘアがチャームポイント。名前は、「くろい」の「ろい」をとりました。シンプル!笑

かわいいですよね!?
かわいいですよね???
そうですよね、かわいいですね。

3人のトレーナー達と一緒に、現在もすくすく育っています。


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さてさて、#1は準備編でほぼ終わってしまいました・・・

介護施設の利用者さんにとって、犬と触れ合うことが日々の楽しみの一つになったらいいな、家でペットを飼っているような感覚で喜んでもらえたらいいな、そんな考えで始まったこのプロジェクトですが。

副次的効果として、施設のスタッフにとっても癒しの存在になってくれています。犬って、動物って、本当にすごい力を持っているなぁと、日々実感しています。

3人と3匹の成長と活躍について、これから少しずつご紹介していけたらいいなと思います。

最後に、見ているだけで幸せホルモンが出る3匹の写真をどうぞ♥

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