見出し画像

映画ってずるい

●現在劇場で公開中の映画『シン・ウルトラマン』の内容に関する言及があります●

約4年ぶりに映画館に行った。子どもが産まれる前後は映画館に行ける体調ではなく、その後COVID-19の流行や保育園からの呼び出しに怯える日々が続いたので前回の入館から4年も経ってしまった。
最後に観た映画は何だったかなと調べてみたら、『名探偵コナン ゼロの執行人』だった。安室透の名を世に知らしめた大ヒット作である。『ゼロの執行人』を観に行った時はまさか自分がその後4年も映画館に足を運ばないとは思いもしなかった。何事も最後というのはそういうものかもしれない。

今回劇場で鑑賞したのは『シン・ウルトラマン』で、『シン・ゴジラ』のような映画を期待して映画館に出向いた身としてはやや肩透かしを食らった面もあったのだが、全体的な印象はそう悪くなかった。
私は特撮鑑賞歴がほぼなく、ウルトラマンは遠い星から怪獣を倒すためにやってきた銀色のでかい生命体…というあやふやにも程がある知識だけを武器に鑑賞した(特撮ファンの皆さんすみません)。
ウルトラマンが地球に到着した時の衝撃に神永という男を巻き込んでしまい、罪の意識などから一心同体となることで神永を蘇らせるシーンに、”すごい発想だな!”と感動したのだが、帰り道にウルトラマンのwikiを読んでいたら散々既出の展開だった。

『シン・ウルトラマン』のあの感動的な設定は、ハヤタ隊員とウルトラマンの物語をなぞっていたのか!ウルトラマンファンからすれば常識中の常識なんだろうな…と猛省すると共に、私が『シン・ウルトラマン』を楽しみきれなかったのは基礎知識の足りなさが大きな理由だろうなと思った。


『シン・ウルトラマン』の作中では煽りの構図で俳優が撮影されていることが多く、なぜあえて二重顎に見えるような角度から執拗に撮影するのか疑問だった。また、遮蔽物越しに人物を撮影するシーンも目立ち、洒落たアングルだな〜くらいの気持ちだったのだが、これも散々既出だった。

実相寺アングルという名前がついているそうです。そういえば『シン・ゴジラ』や『エヴァンゲリオン』でも似たようなアングルが結構あった気がする。普段全く触れない分野の知識って何もかもが新鮮だな…。

4年も映画館から足が遠のいていたのは育児やコロナ流行だけでなく、私が読書ほどは映画鑑賞を愛していないからという理由もある。実際、今回久しぶりに映画館で映画を鑑賞して、気になるシーンを巻き戻して繰り返し観られないことや、疲れた時に休憩できないのは映画館で映画を鑑賞するにあたって大きなデメリットとなり得るなと思った。

しかし、久しぶりに大画面で観た映画はすごかった。スマホをちらりと観ることも許されず、隣にいる人間と感想を分かち合うこともできずにただただスクリーンに釘付けにされる約2時間。他のことは一切禁止され、スクリーンを見つめることしかできないのは、娯楽が飽和した現代では貴重な時間なのかもしれない。

読書と比較すると、映画は鑑賞する人間によって注目する場面が異なり、私が気づいたことに隣の人間は気づいていないかもしれないスリリングさがあるなと思った。文章は違う。書かれていることが全てで、そこに書かれていることに常にビシッとフォーカスが当たっている。
映画は鑑賞者に向かって突然目配せをすることがあり、その目配せに気付く人もいれば気付かない人もいる。大きなスクリーンに映されたワンシーンで、右端に注目している人もいれば左端に注目している人もいる。本と違ってページを捲って確認することはできないから、気付かなかったことは映画館では気付かぬままに通り過ぎていく。

音楽や映像、演出で総合的にこちらの感情を揺さぶってくる映画という媒体に、ずるい!と思いつつ、たまにはこういうのも良いなあと思った。普段、自分のペースで好きなように鑑賞できる本ばかり読んでいる読書好きの身としてはかなり新鮮だった。

昨夜から『ファンタスティック・ビースト』シリーズをNetflixで鑑賞している。最新作を劇場に観に行ってみようかな。『ハンニバル』のマッツミケルセンが大好きなので、彼が出ているなら是非観に行きたい。

引き続き質問箱で質問を募集しています。Twitterで答えたり答えなかったりします。いつもありがとうございます。

Big Love…