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新生児と鳥のさえずりに囲まれて子宮筋腫の手術をしたよ(前編)

またしても前回の記事から1ヶ月以上経ちました。

不妊治療についてのネタがなかったからです。進まない不妊治療。

ですがついにアガりましたよ、新鮮なのが!


待望の(?)!
待ち焦がれた(?)!
子宮筋腫の手術をする日がやってきたのです!!!


いえ、やってきたどころか実は2日前に無事手術を終えました。
今では痛みも手中におさめ、悠々自適な入院生活を現在進行形で送っているところです。


憧れの産院で肉塊を削ぎ落とす

都内某所 Aクリニック__

11月25日入院初日です。

不妊治療に片足をつっこむ前の浮足立っていた頃、ホテルライクなステイができると評判で、出産する際はぜひここで産みたいと願っていた有名な産院。自宅からも程近くまさにベストプレイス。

まさかここで子を産み落とすのではなく、10個の肉塊(表現)を削ぎ落としてもらうことになろうとは予想だにしませんでした。


そもそもこの産院を筋腫手術の場に選んだのも、候補を探して各施設を調べているときに「え、うそ、Aクリニックって内視鏡手術もやってるの…?」とわかったからでした。


子は産めないけど、なんらかの形でお世話になりたい…


と思い、現在通っている不妊治療クリニックで希望する施設を聞かれ、Aクリニックを提案しました。


「筋腫手術はいつもAクリニックさんにお願いしてるんです」


とのたまう担当医。Oh destiny…


そんな経緯があり、めでたく手術日を迎えたわけです。


今回の手術は全身麻酔で行いました。寝ている間にすべてが終わるラッキーな仕様です。

6cmほど開腹(下腹部を横切り)し、エコーで見ながら執刀医が実際に筋腫を触って存在を確認しながら切除するという『腹腔鏡補助下手術』という術式だそうです。

手術の前から聞いてはいましたが、私の下腹部には合計10個近くの筋腫が育っているようで、一番大きなものだと7cmあるそうです。
そのため通常の腹腔鏡手術(腹部を取り囲んだ3ヶ所に2cmずつの切開創を作って行う手術)では太刀打ちならないんですね。

そしてこの6cmという長さ、執刀医から「ひみこさんは人より脂肪が厚いから長めに切ります」と言われた結果の産物です。肥満の余波がここにまで及ぶとは…


しかしながら、なんの健康被害の自覚もなく、ここまですくすくと大きく(文字通り)育ってきました…

しいて言うなら、筋腫により子宮界隈の循環不良が起こることで質のいい卵子が育たないのかなー?と思う節はあります。


寝ている間にすべてが終わった

ホラーなタイトルですが、実際は非常に多幸感にあふれた展開です。

いよいよ手術室に入室するときがきましたが、チョコレート嚢胞手術や採卵2回を経ている私に恐れなどありません。
なんといっても全身麻酔です、そう痛くないんです。痛くなければ万事オッケーです。全身麻酔に全幅の信頼を寄せていました。

全身麻酔の前に、麻酔科医から「腰椎付近から硬膜外麻酔をして皮膚の麻酔をかけます」と告げられたのはこのときが初めてでした。

しかも「痛いのはこのときだけです」だそうです。


うそん…全身麻酔だから痛くないゆうたやん…えぇ…


くよくよしてる間に、横向き姿勢になり、腰椎を突き出した状態で刺されるのを待ちました。


痛いの? ほんとに? 刺さった?! 痛い?! ゆうほど痛くない! 


よかった!!!


と感情が錯綜している間に、本番(全身麻酔)の到来です。


全身麻酔で眠りに落ちる前、「何秒で眠れるか数えてみて」と全身麻酔経験者の妹から言われていたこともあり、よっしゃ数えてみっか! と息巻いていました。
ちなみに妹は3秒で寝たそうです。

しかし困ったことに、麻酔スタートのファンファーレは待てど暮らせど訪れず、どこが0秒なのかわからずじまいのまま、いつの間にか入眠……



そして、
「っカーーー!!!(息を吹き返した音)」
と息苦しさで目を覚まして、手術の終わりに気づきました。この空白の段落の間で2時間が経過しています。

口から気管に管が入り(挿管)、人工呼吸器で呼吸をしていたようで、覚醒するやいなやすぐさま管が口から引っ張り出されました。

そしてあれよあれよと服を着せられストレッチャーで移動し、安静室のベッドに転がり落ちました。実際は丁寧に落としてくれました。


すると夫の登場です。


手術中はニコ動でゲーム実況を見ながらも私の手術の無事を願っていたはずのそんな夫です。

言葉足らずの夫からは「おつかれさま」「がんばったね」「疲れたでしょう」など労いの言葉が聞かれるはずもありません。

術後の執刀医からの説明中に「取れた筋腫(実物)をどんどん近づけてきてこわかった」と小学生でさえもうちょっと気の利いた感想があったんじゃないかと思えるような、とてもありがたいお言葉をいただきました。


そして夫に「おなかすいた、ハンバーガー食べたい」と言うと、

「こういうときってフルーツじゃないんだ、すごいね…(やや引き気味)」と返ってきたのが印象的です。


そして帰り道すがら、1人で焼き鳥を食べに行ったようで、さっそくおひとり様を満喫してる夫です。さようなら、また会う日まで。


ここは八ヶ岳? 天国? いいえ、 都内のクリニックです

手術後もしばらくは麻酔が効いていて、下腹部を6cm切ったわりにはそんなに痛くないな、意外にイケんじゃん?と安易に思ってしまった私です。

安静室で補液しながら横たわり、持ってきたiPadで映画『CUBE』を見ました。

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約20年ほど前に見たことがあり内容は知った上での鑑賞です。手術前の待機時間でも少し見てたのですが「今見るべきなの圧倒的にこれじゃないな」と気づいて中断しました。

このままの安楽な状態が続くのかと思いきや、深夜を超えたあたりから左寄りの下腹部に激痛が。普通に「いたい」となんどか声に出しました。

今までは麻酔がまだ効いていたようで、ここからが苦しみのはじまりです。

背中には硬膜外麻酔の管が常時取り付けられていて、ボタンを押すとわずかばかりの追い麻酔が注入されるというセルフサービス麻酔のシステムが施されています。

これを1プッシュし、なんとか地獄から這い出ることはできましたが、麻酔が効いてるからか疲れてるからか、覚醒と眠りの淵を行ったり来たりしながら朝を迎えました。


聞こえて来る小鳥のさえずり…

生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声…


ここは天国かな、あぁそうか八ヶ岳か…


と入院前日まで八ヶ岳に滞在していたのを完全に引きずっていました。

クリニックではBGMで小鳥のさえずりが一日中流れていて、安静室の同フロアには産後間もない乳児たちの保育室があり、そこからまさに産声が飛び交っているのです。

なんて心地よい空間に横たわっているのでしょう。


とりあえず思うのが、ホットドッグかハンバーガーが食べたいなということです。

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