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「超高齢社会の介護問題を参院選の争点にしないでどうする 」(マル激)を観て、2005年度からの介護保険法改正の経緯をたどってみた

当方は、2004年中頃に、それまでに務めていた、技術職(配管設計)の仕事を定年前に、辞めて、通所介護(デイサービス)の世界に入った。甥(妻の弟)が経営していたので、事務職兼雑用という形での仕事だった。杜撰な経営ぶりだったので、翌年には甥は辞めるという具合に、いきなり、荒波にのまれた。

それでも、別社長の下で、通所介護自体は続けることができた。そのため、2005年度の介護保険法改正で、介護報酬制度が大幅に変更になったので、その対応に追われることになった。60歳には、退職したが、妻と息子夫婦が働いているので、事務仕事と厨房での食器の消毒、利用者用弁当の配膳作業などを手伝っていた。

介護保険制度は2000年に開始されてから、わずか5年で、こんなに変わるのかと、すでにこの時点で、介護保険制度の危うさは感じとれた。
下図の票に示すように、介護保険制度改正前の介護報酬制度は、送迎、食事提供、入浴介護付きの単位数だった。
        

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        2005年度介護保険制度改正前の介護報酬票

その後、何度か改正を繰り返し、現在では、基本単位に加え、入浴加算、個別機能訓練加算、サービス提供体制加算、中重度ケア体制加算と複雑になってきた。基本単位に上記の加算をすべて加えたとしても、改正前の単位数以下だった。

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予防の意味で、厚生省の方針として機能訓練を重視するようになり、以前は常勤看護師が機能訓練を兼ねることができたが、それが不可となり別の看護師か専用の機能訓練士が必要となったために、機能訓練加算を止める事業所もあった。加算を得るようにしても、常勤機能訓練士が休日のときは、別の機能訓練士か看護師が必要となり、その分、通所介護の運営には負担となる。


政府内部では2024年度の医療・介護報酬同時改定に向けてさまざまな制度改革の議論が既に始まっている。今回も下図のように、5月25日の財政審では、介護分野の利用抑制と効率化を前提とした制度の見直しが提案されている。

③利用者負担の見直しとは、これまで1割負担の人が2割負担か、3割負担になるという意味である。そして、⑧軽度者へのサービスの地域支援事業への移行等とは、介護度1及び2の利用者は、現在の要支援1,2の利用者と同様になるということである。つまり、地方自治体の事業所扱いとなるため、サービスを受ける時間を制限される。しかも、介護度1及び2の利用者は、身体はしっかりしていても、認知症の人が多いため、下着の交換、入浴介護などが必要であるにも関わらず、そのサービスが受けられなくなり、家族への負担が増える。

2000年度に介護保険制度が施行された理念は、家族への負担の軽減だった。それが、その後、改正を繰り返すたびに、家族への負担が増加という逆コースをたどっている。

2000年度以前は、全て公費でまかなっていたが、2000年度以降は、公費をゼロとし、介護保険料を国民から徴収し、その介護保険料が2000年度から2倍となったあげく、さらに家族への負担が増えるという構造がまったく理解できない。

財政審議会で、介護保険を審議するというのは、経産省が、介護保険料に介入するわけで、経済問題としている。しかも、厚生年金、国民年金を株に大量に投資して、破綻しているわけで、介護保険料も株に投資するつもりなのか(あるいはすでに投資しているのか)。

消えたコロナ対策費の16兆円もあきらかにせぬままの腐れきった今の政府に、介護保険制度の運営を任せてよいものだろうか。その意味で、小島氏が、「超高齢社会の介護問題を参院選の争点にしないでどうする」と述べるのは当然である。


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通所介護は、利用者との接触が密でなければ、介護ができないため、看護師のように防護服を着用して対応できないので、コロナ感染の危険度は高かった。現実に、1波から5波までは、何とか運よく感染は無かったものの、6波で、利用者が5名、看護師3人、介護職員4人(当方の妻も含む)感染した。

この2年間のコロナ禍で利用者は、どんどん減っていたが、最近になって閉鎖した他事業所からの利用者が移動してきたので、なんとか恰好はついているという状態です。


認知症GH(グループホーム)、高齢者居宅住宅、有料老人ホームなどが、施設ではなくて、居宅となるかは、医者が死亡診断書に記載するための都合によると、小島氏は説明されていたが、当方は、グループホーム、高齢者居宅住宅については、建設業者が参入しやすいようにしたと聞いていた。







 

 

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