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ジル・ドゥルーズ& フェリックス・ガタリ『千のプラトー 資本主義と分裂症』 読書メモ(20)

12 1227年ーー遊牧論あるいは戦争機械①

・ジョルジュ・デュメジル は、 インド・ヨーロッパ 神話 の 決定的 に 重要 な 分析 において、政治的 主権〔 至高 権力〕 ないし 支配権 は〈 王-魔術師〉 と〈 司祭-法学 者〉 という 二つ の 頭 を 持つ こと を 明らか に し た。

・いずれ に し ても、 戦争 機械 それ 自身 は 国家 装置 に 還元 不可能 で あり、 国家 の 主権 の 外部 に あり、 国家 の 法 に 先行 するように思われる。

戦争機械は他の場所からやってくる。戦の神インドラはヴァルナにもミトラにも同様に対立するのである。

・戦争機械と国家装置を比較するために、ゲーム理論の立場から、将棋〔 チェス〕 と 碁 という 具体 例 を 取り上げ て、 それぞれ の 駒、 駒 同士 の 関係、 そして 空間 の あり方 を 検討 し て みよ う。

将棋 は 国家 の ゲーム あるいは 宮廷 の ゲームであって、それに打ち興じるのは中国の皇帝である。将棋の駒の総体はコード化されていて、おのおのの駒は、駒の動きや位置、そして駒同士の敵対関係を規定する内的本性つまり内的諸特性をそなえ、名前と資格を与えられている。

・国家 自身 は 戦争 機械 を 所有 し て い ない。 国家 は 戦争 機械 を ただ 軍事 制度 の 形態 で のみ 自分 の もの に する ので ある が、 軍事 制度 化 さ れ た として も、 戦争 機械 は やはり国家 の 頭痛 の 種 で ある こと を やめ ない ので ある。 外部 に 存在 し た 戦争 機械 の 遺産 を 継承 し て いる 軍事 制度 に対して、 国家 が 警戒 せ ざる を え ない のは その ため だ。

・感情 は「 主体」 の 内部 性 から 引き はがさ れ て 純粋 な 外部 性 の 環境 に 投射 さ れる ので あり、 この 外部 性 の 環境 によって 思いがけ ぬ 速度 と 発進 力 を 与え られる ので ある。

愛情 に せよ 憎悪 に せよ、 それ は もはや 感情しかも こうした 情動 は 戦士 が〈 女性 に なる こと〉、〈 動物 に なる こと〉( 熊、 牝 犬) でも ある。 情動 は 矢 の よう に 身体 を 貫く。

情動 は 戦争 の 武器 なの だ。 情動 の 脱 領土 化 の 速度。( ホンブルク の 王子 や ペンテジレア の) 夢 でさえ、 戦争機械に属する中継と連接、すなわち外的連結のシステムによって、千切れた鎖の輪のように、外部化されているのである。

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