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カール・マルクス 著『資本論 』第三巻 第三篇 第十三章~第十五章 読書メモ

カール・マルクス 著『資本論 』読書メモ(1)~(172)をすでに投稿済ですが、第三巻 第三篇 第十三章~第十五章に目次をつけたものを再掲載します。


第三巻 資本主義的生産の総過程

第三篇 利潤率の傾向的低下の法則

第十三章 この法則そのもの

与え られ た 労働 賃金 と 労働日 との もと では、 一 可変資本、 たとえば100というそれは、運動させられる労働者の一定数を表す。それは、この数の指標である。100ポンドが100人の、たとえば一週間分の労働賃金であるとしよう。

この100人の労働者が必要労働と等量の剰余労働をなすとすれば、したがって、日々、自分自身のために、すなわち彼らの労働賃金の再生産のために労働するのと同じ時間、資本家のために、すなわち剰余価値の生産のために労働するものとすれば、彼らの総価値生産物は200ポンド、また彼らによって生産される剰余価値は、100ポンドとなるであろう。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6748). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働 の 搾取 度 が 不変 で あれ ば、 同じ 剰余価値 率 が、 低下 する 利潤率 において表現されるであろう。そうなるのは、不変資本としたがって総資本との物質的大いさが増大するにつれて、同じ割合においてではないにしても、その価値の大いさもまた増大するからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6793). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

この不変資本にたいする、したがって また 総資本 にたいする 比率 における 可変資本 の 相対的 減少 の 進展 は、 その 平均 における 社会的 資本 の 有機的組成の高度化の進展と同じことである。

それはまた、労働の社会的生産力の累進的発展にたいする別の一表現であるにすぎず、この発展なるものは、機械装置と固定資本一般の充用の増大を介して、より多くの原料や補助材料が、同数の労働者によって同時間内に、すなわちより少ない労働をもって、生産物に転化される、ということで示されるものにほかならない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6810). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本主義 的 生産 は、 不変資本 にたいして 可変資本 の 相対的 減少 の 進展 が 行なわ れる とともに、 総資本の ますます 高度 な 有機的 組成 を 産み 出し、 その 直接 の 結果 は、 労働 の 搾取 度 が 不変 な ば あい には、 また それ が 上昇 する ば あい にさえも、 剰余価値 率 が、 不断 に 低下 する 一般的 利潤率 で 表現 されるということである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6820). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

しかし、 資本主義 的 生産 にとって この 法則【投稿者追記:総資本の価値にたいする剰余価値量の比率が、利潤率をなすから、利潤率はたえず低下するという法則】 が もつ 重要 性 は 大きな もの であっ て、 それ は、 アダム・スミス 以来 の 全 経済学 が その 解決 をめぐって 旋回 し て いる 神秘 を なす もの で あり、 また アダム・スミス 以来 の 種々 の 学派 の あいだ の 差異 は、 その 解決 の ため の 試みの 差異 に ある、 と 言う こと が できる。

しかし 他面、従来 の 経済学 は、 不変資本 と 可変資本 との 区別 を 手探り し は し た が、 これ を 明確 に 定式 化 する すべ を 知ら なかっ た という こと、 剰余価値を、 利潤 から 分離 し て 説明 し た こと が なく、 また 利潤 一般 を、 その 種々 の 相互 に 独立 化 さ れ た 構成 部分 産業 利潤、 商業 利潤、 利子、 地代 の よう なから 区別 し て、 純粋 に 説明 した こと が ない という こと、 資本 の 有機的 組成 における 差異 を、 したがって また 一般的 利潤率 の 形成 を、 根本的 に 分析 し た こと が ない という こと、 これら の こと を 思え ば、 従来 の 経済学が決してこの謎の解決に成功しなかったということも、謎ではなくなるのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6837-6846). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

われわれがここに言う利潤は、剰余価値自体の別名にすぎないので あっ て、 ただ、 この 剰余価値 が、 それ の 湧き出 て くる 可変資本 にたいする 関係 において では なく、 総資本 にたいする 関係 において 示さ れ て いる だけで ある。

したがって、 利潤率 の 低下は、 前 貸 総資本 にたいする 剰余価値 自体 の 比率 の 低下 を 表現 する もの で あり、 また それ ゆえ に、 この 剰余価値 の、 種々 の 範疇 への、 いかなる 任意 の 分割 からも、 独立 し た もの で ある。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6852). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

より 発展 し て い ない 国 では、 労働 の 生産性 がより 低く、 したがって、 より 多量 の 労働 がより少量の同じ商品において表示され、より大きい交換価値がより少ない使用価値に表示され、したがって、労働者は、彼の時間のより大きい部分を彼自身の生活手段またはその価値の再生産のために、より小さい部分を剰余価値の生産のために、費やされねばならず、より少ない剰余労働を供給し、かくして剰余価値率はより低いであろう、ということである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6870). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

同じ 剰余価値 率、 または 上昇 する 剰余価値 率 をさえ 表現 する 利潤率 の 低下 の 法則 は、 これ を 別 の 言葉 で 言え ば、 何らかの 一定 量 の 社会的平均資本、たとえば100という一資本を仮定するとき、たえず増大する一部分が労働手段で表示され、そしてたえず減少する一部分が生きた労働で表示される、ということである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6914). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

可変資本 と 不変資本 が いずれ も 絶対的 には 増大 する に かかわら ず、 前者 は比率的に減少し、後者は増加するということは、すでに述べたように、労働の生産性の増大を表す別の一表現であるにすぎない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6921). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

かくして、資本によって充用される労働者の数、従って資本によって 運動 さ せ られる 労働 の 絶対量、 したがって 資本 によって 吸収 さ れる 剰余労働 の 絶対量、 したがって 資本 によって 生産 さ れる 剰余価値 の 量、 したがって 資本 によって 生産 さ れる 利潤 の絶対量は、利潤率の累進的低下にもかかわらず、増大することができ、また累進的に増大することができる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6996). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本主義 的 生産過程 は、 本質的 に、 同時に 蓄積 過程 で ある。 資本主義 的 生産 の 進展 につれて、 単純 に 再生産 さ れ 維持 さ れ ね ば なら ない価値 量 が、 労働 の 生産性 の 増大 とともに 増大 し、 そして、 充用 労働力 が 不変 の まま で ある ば あい にさえも 増大 する こと は、 すでに 示さ れ た。 しかし、 労働 の 社会的 生産力 の 発展 とともに、生産される使用価値の量は、さらにいっそう増大する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7001). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本 に 転化 さ れる よう に 定め られ た 生産手段 の 増大 し た 量 が、 それ に 対応 し て 増大 し 過剰 にさえも なっ た 搾取 さ れ うる 労働者 人口 を、 つねに 手元に 見出す という こと は、 資本主義 的 蓄積 過程 それ は ーーー資本主義 的 生産過程 の ーーー 要因 に ほかなら ない の 性質 から、 おのずから 出 て くる こと で ある。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7018). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

与え られ た 労働者 人口 の もと でも、 労働日 の 延長 または 強化 なり、 労働 の 生産力 の 発展 の 結果 として の 労働 賃金 の 価値 引下げ なり によって、 剰余価値 率 が 増大 するなら ば、 剰余価値 量、 したがって 絶対的 利潤 量 は、 不変資本 にたいする 比率 における 可変資本 の 相対的 減少 にも かかわら ず、 増大 せ ね ば なら ない、 という こと で ある。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7040). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

絶対的 に 増大 し た 可変資本 を、 より 高度 な 組成、 すなわち 不変資本 のより 甚だしい 相対的 増加 の もとで充用するためには、総資本が、構成の高度化に比例してのみではなく、さらにそれ以上に急速に、増大さねばならない。

このことから、資本主義 的 生産 が 発展 する のと 同じ 度合 で 相対的 に 過剰 な 労働者 人口の 可能性 が 発展 する のは、 社会的 労働 の 生産力 が 減少 する からでは なく、 それ が 増加 する からで あり、 したがって、 労働 と 生存 手段、 または この 生存 手段 の 生産 の ため の 手段 との あい だの、絶対的 不均衡 からでは なく、 労働 の 資本主義 的 搾取 に 起因 する 一 不均衡、 すなわち、 資本 の 累進 的 増大 と、 増大 する 人口 にたいする 資本 の 欲求 の 相対的 減少 との あいだ の 不均衡 からで ある。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7152). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

大資本を支配する資本家が、外観的に高い利潤を得る小資本家に比して、より多くの利潤量を得るということは、明らかである。

さらに、 競争 の きわめて 表面 的 な 考察 によって も 示さ れる よう に、 ある 種 の 事情 の もと では、 たとえば 恐慌 期 における よう に、 より 大きい 資本家が 市場 で 地歩 を 占め、 より 小さい 資本家 を 駆逐 しよ う と 欲する ば あい には、 彼 は 実際 に これ を 利用 する、 すなわち、 群小 資本家 を 戦場 から 追い出す ため に、 彼 の 利潤率 を 故意 に 引下げる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7202). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働 の 生産性 が 増大 すれ ば、 個々 の 商品 または 一定 の 商品 分量 の 価格 は 低下 し、 商品 の 数 は 増加 し、 個々 の 商品 当り の 利潤 量 と 商品 総額 にたいする利潤率 は 低下 する が、 商品 総額 にたいする 利潤 量 は 増大 する という こと、 この 現象 は 表面 では、 ただ、 個々 の 商品 当り の 利潤 量 の 低下、 個々 の 商品 の 価格 の 低下、 社会 の 総資本 が あるいはまた個々の資本家が生産する諸商品の増額した総数にたいする利潤量の増大を表示するにすぎない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7349). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

改良 さ れ た、 しかし まだ 一般化 さ れ て い ない 生産様式 を 応用 する 資本家 は、 市場価格 以下 で、 しかし 彼 の 個別的生産価格以上で売る。かくして彼にとっては利潤率が上昇し、競争がこれを均等化するまで続く。それは一つの均等化の期間で、その経過中に第二の要件である投下資本の増大が現われる。

この増大の程度に応じて、いまや資本家は、以前に使用された労働者群の一部を、実におそらくその全部またはより大きい労働者群を、新たな諸条件のもとで使用しうるようになり、まくして同一またはより以上の利潤率を生産しうるようになる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7380). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第十四章 反対に作用する諸原因

第一節 労働の搾取度の上昇

労働 の 搾取 度、 剰余労働 と 剰余価値 の 取得 は、 ことに 労働日 の 延長 と 労働 の 強化 によって 高め られる。(中略)

労働の強化の要因には、一人の労働者がより大量の機械装置を見張らねばならないばあいのように、可変資本に比して不変資本の増大、したがって、利潤率の低下を含むものが多い。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7395). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

与え られ た 大 い さの 一 資本 によって 生産 さ れる 剰余価値 量 は、 二つ の 因数 の 積、 すなわち、 剰余価値 率 と、 与え られ た 率 の もと で 使用される労働者数との積である。

したがって、それは、与えられた剰余価値率のもとでは労働者数に、与えられた労働者数のもとでは剰余価値率にかかり、したがって、一般に可変資本の絶対的大いさと剰余価値率との複合率にかかっている。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7430). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

利潤率 について は、充用総資本の量の増大による利潤率の低下には、利潤量の増加が対応する、ということが一般論として見出された。社会の総可変資本について見れば、それによって産み出される利潤に等しい。剰余価値の絶対量とともに、その率も増大した。

前者は、社会によって充用される労働力の量が増大したからであり、後者は、この労働の搾取度が増大したからである。

しかし、たとえば100という与えられた大いさの一資本について言えば、剰余価値量が減少するばあいにも、剰余価値率は増大しうる。

なぜならば、率は、可変資本部分が価値増殖される比率にほって規定されているが、これに反して量は、可変資本が総資本のうちに占める比率によって規定されているからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7437). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第二節 労働賃金のその価値以下への引下げ 省略

第三節 不変資本の諸要素の低廉化 省略

第四節 相対的過剰人口

相対的過剰人口 の 生産 は、 利潤率 の 低下 に 表現 さ れる 労働 の 生産力 の 発展 と 不可分 で あり、また、これによって促進される。相対的過剰人口は、一国における資本主義的生産様式が発展すればするほど、その国ではますます顕著に示される。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7491). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

ところで、 一般的 利潤率 は、 特殊 の 諸 生産 部門 における 利潤率 の 均等 化 によって 形成されるのであるから、ここでもまた、利潤率の低下傾向を産み出す同じ原因が、この傾向の作用を多かれ少なかれ麻痺させる、この傾向にたいする一つの対重を産み出すのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7502). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第五節 外国貿易

外国貿易 が、 あるいは不変資本の諸要素を、あるいは可変資本が転化される生活必需品を、より低廉にするかぎりでは、それは、剰余価値率を高め不変資本の価値を低くすることによって、利潤率を高めるように作用する。

外国貿易が一般にこの意味において作用するのは、それが生産規模の拡張を許すことによるものである。したがって、それは、一面では蓄積を促進し、他面ではまた、不変資本に比しての可変資本の減少をも、したがって利潤率の低下をも、促進する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7506). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

外国貿易 に 投ぜ られた資本が、より高い利潤率を産み出しうるのは、ここでは第一に、生産便宜のより少ない諸外国によって生産される商品との競争が行われ、したがって、先進国はその商品を、競争国よりも低廉に売りながら、しかも、それの価値以上に売るからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7517). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働 が、 より 不 生産 的 に なる から 利潤率 が 低下 する のではなく、労働がより生産的になるからである。剰余価値率の上昇も利潤率の低下も、ともに、労働の生産性の増大が資本主義的に表現される特殊の諸形態にほかならないのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7575). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第六節 株式資本の増加

加速された蓄積 と 相 携え て 進む 資本主義 的 生産 の 発展 とともに、 資本 の 一部 は、 ただ 利子 付 資本 として のみ 計算 さ れ、 充用 さ れる。 産業資本 家 は 企業者利得を収得するのに、資本を貸付ける各資本家は利子で満足する、という意味においてではない。

このことは一般的利潤率の高さには関係がない、というのは、一般的利潤率にとっては、利潤は、利子プラス地代に等しいのであって、これらの特殊の諸範疇への利潤の分割は、どうでもよいことだからである。

前記のような意味においてではなく、これらの資本は、大きな生産企業に投ぜられているとはいえ、一切の費用を控除した後には、ただ大なり小なりの利子を、いわゆる配当を、もたらすにすぎない、という意味においてである。たとえば、鉄道におけるように。

したがって、これらの資本は、一般的利潤率の均等化には参加しない、というのは、これらの資本は平均利潤率よりも低い利潤をもたらすからである。もしこれらの資本が加われば、平均利潤率は、はるかにより低く低下するであろう。

理論的に見れば、これらをも計算に入れることができ、そしてそのばあいには、外観上存在し資本家の行動を現実に規定する利潤率よりも低い一利潤率が得られる。

なぜならば、まさにこれらの企業においてこそ、不変資本が可変資本にたいする比率において、もっとも大きいからである。

【私見:鉄道といえば、国鉄は、JRとして、北海道、本州、九州、四国の各地に分散されて、民営化されたわけだが、国鉄時代に、鉄道敷設に要した多大な資金は、何処から捻出したのだろう。これは言うまでもなく、国民からの税金だろう。

すると、今のJR各社は、関西で言えば、阪神、阪急、近鉄、南海などの私鉄のように、自前で敷設したのではないので、特にJR東海、東日本などは、当然のように、儲かることになる。他の地域も、赤字路線は、どんどんと廃止している。

電電公社、郵政省などが、民営化されたが、すべて、同じ構造だと言えるのでは!そして、水道についても、すでに民営化した地域もあり、民営化を進めている地域もある。さらに、役所も一部、外注化していることも、同様なのだろう。そして、竹中平蔵のような人物が、大儲けすることになる。竹中個人だけが、動いているのではなく、利権構造として、しっかりと根付いているからでしょうね!】
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7579). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第十五章 この法則の内的矛盾の展開

第一節 概説

低下 する 利潤率 が 低下 する 剰余価値 率 を 表現するのは、不変資本の価値と不変資本を運動させる労働力の量との比率が不変のままであるばあいか、または、この労働力の量が不変資本の価値にたいする比率において増大したばあいのみである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7597). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

市場 は たえず 拡大 さ れ ざる を えず、そのために市場の諸関連とそれを規制する諸条件とは、ますます、生産者から独立した自然法則の態容をとるようになり、ますます制御されえなくなる。

内的矛盾は、生産の外的範囲に拡大によって融和されることを求める。しかし、生産力が発展すればするほど、ますますそれは、消費諸関係の立脚する狭隘な基礎の上では、決して矛盾ではない。

なぜならば、両方をいっしょにすれば、生産される剰余価値の量は増大するであろうとはいえ、まさにこれとともに、この過剰価値が生産される諸条件と、それが実現される諸条件とのあいだの矛盾が、増大するからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7713). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本 の 流れ は( 生産力 の 増大 による資本の価値減少は別として)、または資本の蓄積は、利潤率の高さに比例してではなく、資本がすでに有する重みに比例して、進展する。

高い利潤率は、それが高い剰余価値率に基づくかぎりでは、労働が生産的でなくても労働日が非常に長ければ、可能である。それが可能であるのは、労働が生産的でなくても、労働者の欲望が非常に小さく、したがって平均賃金が非常に低いからである。

賃金の低いことには、労働者の精力の欠乏が対応するであろう。そこでは資本は、高い利潤率にもかかわらず、緩慢に蓄積される。人口は停滞的で、生産物に要する労働時間は大きい。労働時間に支払われる賃金は少ないが。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7732). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

利潤率 が 低下 する のは、 労働者 がより 少なく搾取されるからではなく、充用資本一般にたいする比率において、より少ない労働が充用されるからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7738). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本家 の 労働 は、 一般 に、 彼 の 資本 の 大 い さに、すなわち彼が資本家である程度に、反比例するのである。この、一方における労働諸条件と他方における生産者とのあいだの分離こそは、資本の概念を形成するものであり、本源的蓄積とともに開始され、次いで資本の蓄積と集積とにおける不断の過程として現われ、そしてここで最後に、少数の手中への既存諸資本の集中および剥奪(いまや収奪がこれに変ずる)として表現されるものなのである。

この過程は、もし対抗する諸傾向が求心力と並んでたえず繰返し分散化的に作用しないならば、やがて資本主義生産を崩壊に至らしめるのであろう。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7750). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第二節 生産拡張と価値増殖との衝突

労働の社会的生産力の 発展 は、 二重 に 示さ れる。

第一 には、 すでに 生産 さ れ た 生産 諸 力 の 大 い さ において、 新た な 生産 が 行なわ れる 生産 諸 条件 の 価値 の 大いさと量の大いさとにおいて、およびすでに蓄積された生産資本の絶対的大いさにおいて。

第二には、労働賃金として支出される資本部分が総資本にたいして比較的小さいことにおいて、すなわち、与えられた一資本の再生産と価値増殖に、大量生産に、必要とされる生きた労働が比較的小さいことにおいて。これは同時に資本の集積を前提する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7758). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

充用 さ れる 労働力 に かん し ても、 生産力 の発展は二重に示される。

第一には、剰余労働力の再生産に必要とされる必要労働時間の短縮において。

第二には、与えられた一資本を運動させるために一般に充用させるために労働力の量(労働者数)の減少において。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7762). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

社会的 総 生産 物 中 の 資本 として 機能 する 部分 の 増加 から 生ずる、 労働者 人口 の 現実 の 増加 への 諸 動因 と 同時に、 単に 相対的 で ある に すぎない過剰人口を作り出す、諸能因が作用する。

利潤率の低下と同時に諸資本の量が増大し、またこれと相携えて、この低下を阻止し資本価値の蓄積に一つの加速された推進力を与える、既存資本の価値減少が進行する。

生産力の発展と同時に、資本組成の高度化が、すなわち不変部分に比しての可変部分の減少が、進展する。

これらの種々の影響は、あるいはより多く空間的に相並んで作用し、あるいはより多く時間的に相継いで作用する。抗争する諸能因の衝突が、周期的に恐慌においてはけ口を求める。恐慌は、つねに、現存する諸矛盾の瞬間的な暴力的解決であり、攪乱された均衡を一瞬間回復する暴力的爆発であるにすぎない。

極めて 一般的 に 言え ば、 矛盾 は 次 の 点 に ある。 すなわち、 資本主義 的 生産様式 は、 価値 と それ に 含ま れる 剰余価値 から 離れ、 資本主義的生産がその内部で行われる社会的諸関係からも離れて見るならば、生産諸力の絶対的発展への一傾向を含むが、同時に他面では、既存資本価値の維持とその最高度の価値増殖(すなわち、この価値をたえず加速される増大)を目的とする、とういう点にある。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7810). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本主義 的 生産 の 真 の 制限 は、 資本 そのもの で ある。 資本 と その 自己 増殖 とが、 生産 の出発点および終点として、動機および目的として、現われるということである。

生産が資本のための生産にすぎないということ、そして、それとは反対に生産手段が生産者の社会のためのたえず拡大される生活過程形成の単なる手段であるのではない、ということである。

したがって、生産者大衆の収奪と窮乏化とに基づく資本価値の維持と増殖とが、ただその内部でのみ運動しうる諸制限、この諸制限は、資本が自己の目的のために充用せざるをえない。

そして生産の無制限な増加を、自己目的としての生産を、労働の社会的生産諸力の無条件的発展を、目指す諸生産方法と、たえず矛盾することになる。

手段ーーー社会的生産諸力の無条件的発展ーーーが、既存資本の価値増殖という制限された目的と、たえず衝突することになる。

それゆえ、資本主義 的 生産様式 が、 物質的 生産力 を 発展 さ せ これ に対応する世界市場を作り出すための、一つの歴史的手段であるとすれば、それは同時に、かようなその歴史的任務と、これに対応する社会的生産諸関係とのあいだの、不断の矛盾なのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7840). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第三節 人口の過剰における資本の過剰

利潤率 の 低下 とともに、 労働 の 生産的 充用のために個々の資本家の手中にあることを要する資本の最小限は、増大する。

すなわち、労働の搾取一般のためにも必要であり、充用労働時間が商品の生産に必要な労働時間であるため、すなわちそれが商品の生産に社会的に必要な労働時間の平均を超えないためにも、必要であるという最小限が増大する。

そして同時に集積が増大する。なぜならば、一定の限界を超えれば、利潤率の高い小資本よりも、利潤率の低い大資本の方が、より急速に蓄積を進めるからである。

この増大する集積は、また、一定の高さに達すれば、再び新たな利潤率低下を誘致する。これによって、大量の群小分散資本が、冒険の道に追込まれる、投機、信用思惑、株式思惑、恐慌へ。

いわゆる資本の過剰なるものは、つねに本質的には、利潤率の低下がその量によって償われない資本ーーーそして新たに形成されつつある資本の新生児は、つねにそれであるーーーの過剰に、または、これらのそれ自身で独自の行動をとる能力のない諸資本を大事業部門の指導者に信用の形態で用立てる過剰に、関連しているこの資本過剰は、相対的過剰人口を招来すると同じ諸事情から生ずるものであり、したがって、この相対的過剰人口を捕捉する一現象である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7854). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本 の 過剰 生産 が 意味 する もの は、 資本 として 機能 し うる、 すなわち 与え られ た 搾取 度をもってする労働の搾取に充用されうる生産手段ーーー労働手段と生活手段ーーーの過剰生産以外のものではない。

というのは、この搾取度が一定の点以下に低下しることは、資本主義的生産過程の攪乱と停滞を、ひき起こすからである。かような資本の過剰生産が、一つの多かれ少なかれ大きな相対的過剰人口を伴うということは、何らの矛盾ではない。

労働の生産力を高め、商品生産物の量を増加させる諸市場を拡張し、量のうえからも価値のうえからも資本の蓄積を促進し、そして利潤率を低下させた事情、その同じ事情が、相対的過剰人口を産み出だしたのであり、またたえずこれを産み出しているのである。

すなわち、それは、低い労働搾取度をもってしか充用されえないから、または少なくとも、与えられた搾取度のもとでもたらすであろう利潤率が低いために、過剰資本によって充用されえない労働者の過剰人口なのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7992). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

利潤率、 すなわち 比率 的 な 資本 増殖 は、 すべて の 新しい、 独立 し て 群 を なす 資本 の 嫩枝にとって、何よりも重要である。そして、資本形成がもっぱら、利潤量によって利潤率を償いうる僅かばかりの既成大資本の手に落ちるに至れば、一般に生産の活気は消え失せるであろう。生産はまどろむであろう。

利潤率は、資本主義的生産における推進力えある。そして、利潤を伴って生産されうるもののみが生産され、また、利潤を伴って生産されうるかぎりにおいてのみ生産が行われる。

それゆえに、利潤率の低下についてのイギリスの経済学者たちの心配を身よ。その単なる可能性ですらリカードを不安にするということは、資本主義的生産の諸条件にたいする、彼の深い理解を示すものにほかならない。

リカードが非難される点、彼が「人間」を顧慮することなく、資本主義的生産の考察に際してただ生産諸力の発展のみをーーーそれが人間と資本価値とのいかなる犠牲をもって購われかを問わずーーー眼中に置くということ、まさにこれが、彼における重点なのである。(中略)

リカードを不安にするものは、資本主義的生産の刺激であり、蓄積の条件でもある利潤率が、生産の発展自体によって脅かせる、ということである。そして、ここでは量的関係がすべてである。実際には何かより深いものが根底にあるのであるが、彼はこれをただなんとなく感じているにすぎない。

ここでは、資本主義的生産は、絶対的な生産様式ではなく、物質的生産諸条件の一定の局限された発展期に対応する歴史的な一生産様式であるという、その限界、その相対性が、純粋に経済的な仕方で、すなわちブルジョア的立場から、資本主義的理解力の限界内で、資本主義的生産そのものの立場から、示されているのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8067). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第四節 補論

生産力 の 増大 とともに、一つの独立した産業の事業を成功的に経営するために必要となる資本の最小限の増大は、競争において次のように現われる。

すなわち、より多額の費用を要する新たな経営設備が一般的に採用されるに至れば、より小さい諸資本は、将来は経営から排除される。ただ種々の生産部面における機械的諸発明に当初においてのみ、より小さい諸資本が、そこで独立に機能しうる。

他面、不変資本の比率が異常に高い巨大企業、たとえば鉄道の如きは、平均利潤率を産まず、その一部分なる利子を産むにすぎない。そうでなければ、一般的利潤率はもっと低下するであろう。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8166). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働 賃金 に 支出 さ れる 可変資本 が 比率 的 に 減少 する にも かかわら ず、 絶対的 労働者数が増加することは、すべての生産部門で生ずるのではなく、またすべての生産部門で均等に生ずるのでもない。農業においては、生きた労働の要素の減少は、絶対的でありうる。

なおまた、賃金労働者の数が、その相対的減少にもかかわらず、絶対的に増加することは、資本主義的生産様式の欲求であるにすぎない。

それにとっては、労働力を一日に12時間ないし15時間働かせることがもはや必要でなくなるときには、早くも労働力が過剰になる。労働者の絶対数を減少させるような、すなわち、国民全体にとってその総生産をより僅かな時間部分で遂行することを事実上可能にするような、生産諸力の発展は、革命を招来するであろう、というのは、それは人口の多数を不用にしてしまうであろうから。

【私見:現代日本では、ロボット、ChatGTPの出現で、近い将来、職場を失うかも知れないという不安な声が大きくなっているが、革命どころか、デモすら起きる雰囲気が全くない。】
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8182). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本主義的 生産 の 制限 は、 労働者 の 過剰 時間 で ある。 社会 の 獲得 する 絶対的 過剰 時間 は、 この 生産 には 関係 が ない。 この 生産 にとって は 生産力 の 発展は、それが労働者階級の剰余労働時間を増加させるかぎりにおいてのみ重要なのであって、それが物質的生産のための労働時間一般を減少させるからではない。かようにして、資本主義的生産は対立中で運動する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8194). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本主義 的 生産 の 三つ の 主要 事実。

  1. 少数の手に生産手段が集積されること。
    これによって、生産手段は、直接的労働者の所有として現われることをやめ、反対に生産の社会的な力に転化される。最初は資本家の私的所有としてであるが。資本化はブルジョア社会の受託者であるが、しかし彼らはこの受託の全果実を取込む。

  2. 労働自体の社会的労働としての組織。
    協業、分業、労働と自然科学との結合、によって。二つの面から見て、資本主義的生産様式は、私的所有と私的労働とを止揚する。むろん対立的な諸形態においてである。

  3. 政界市場の形成。
    資本主義的生産様式の内部で発展する、人口に比して巨大な生産力、それと同じ割合においてではないにせよ、人口よりもはるかに急速に増大する資本価値(単にその物質的基底のみではなく)の増大は、この巨大な生産力がそのために作用して、増大する富に比して相対的にますます狭隘となる基礎と、この膨張する資本の価値増殖関係とに矛盾する。かくして恐慌が生ずる。

エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 6 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8246). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

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