見出し画像

カール・マルクス 著『資本論 』(13)  読書メモ

第一遍 商品と貨幣
 第三章 貨幣または商品流通
  第二節 流通手段
   b 貨幣の流通
労働 生産 物の物質代謝が行われる形態変化W-G-Wは、同一の商品として過程の出発点をなし、同一点に商品として帰ってくるということを、かならず含んでいる。したがって、商品のこの運動は循環である。

他方において、この同じ形態は貨幣の循環を排除する。その結果は貨幣がその出発点からたえず離れていって、その出発点に帰らないということである。

売り手がその商品の転化した姿である貨幣を手許にもっているかぎり、商品は第一の変態またその最初の所有者の手から離れる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3546). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

商品 はつねに売り手の側にあり、貨幣はつねに買い手の側にある、購買手段として。貨幣は、商品の価格を実現しつつ、購買手段として機能する。貨幣は、価格を実現しつつ、商品を売り手の手から買い手の手に移行させる。

他方において、貨幣は、同時に買い手の手から、売り手の手へと離れていって、同一の過程を、他の商品について繰り返す。貨幣のこの一方的な形態が、商品の二重の形態運動から発生することは、隠蔽されている。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3564). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

商品の価格総和が、このように昂騰するか、低落するかにしたがって、流通する貨幣の量を同じ比例で増大したり、減少しなければならぬ。

流通手段の量におけるこの変化は、この場合、もちろん貨幣自身から生じるのであるが、流通手段としてのその機能からではなく、価値尺度としてのその機能から生ずるものである。商品の価格は、まず貨幣の価値と逆に変化するのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3620). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

われわれ は、商品の流通部面が一つの穴をもっていて、ここから金(銀、要するに貨幣材料)が一定の与えられた価値をもった商品として、流通部面に入ってくるということを知っている。

この価値は、価値尺度としての貨幣の機能、したがって価格規定においては、前提されている。そこで例えば、価格尺度自身の価値が低落するれば、このことはまず、直接に貴金属の生産源で、商品としての貴金属と交換される商品の価格変動に現れる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3631). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

新た な 金鉱源および銀鉱源の発見のつづいたいろいろな事実を一方的に観察して、17世紀ととくに18世紀では、商品価格は、より多くの金と銀が流通手段として機能するにいたったから騰貴したのであるという
謬った結論におちいった。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3642). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

商品 量を与えられたものと前提すれば、流通貨幣の量は、商品の価格動揺とともに増加したり、減少したりする。

流通貨幣量は、商品の価格総和が、その価格変動のために増大するか、または減少するかしたために、増加したり減退したりする。

そのためには、すべての商品の価格が、同時に昂騰したり、低落したりする必要は少しもない。あるばあいには、ある数の主な品目の価格が昂騰するか、他のばあいには、その価格が低落すかすれば、すべての流通商品の実現さるべき価格総和を引上げ、または引下げるのに充分である。

したがって、またより多くの貨幣、またはより少量の貨幣を、流通に投じておくに足るのである。

商品の価値変動を反映するのか、市場価格の単なる動揺を反映するのか、いずれにしても、流通手段にたいする影響は同一である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3652). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

貨幣 流通ということは、一般に商品の流通過程、すなわちその循環が、相対立した変態を通じて行われるだけのことであるように、

貨幣流通の速度ということは、商品の形態変化の速度、すなわち、変態序列の継続的なかみあい、はやい物質代謝、商品の流通部面まらの急速な消失と、新たな商品によるその同じく急速な代置が、行われることなのである。

すなわち、使用態容の価値態容への転化および価値態容の使用態容への再転化、言いかえれば、売りおよび買い両過程、これらの流動的な統一が、示されているのである。

逆に、貨幣流通が緩慢化した場合には、これらの過程の分離と対立的独立化、すなわち、形態変化の、したあってまた物質代謝の梗塞が現われる。

この梗塞がどこからくるかということは、もちろん、流通自身について看取することはできない。流通はただ現象自体を示すだけである。

貨幣流通の緩慢化とともに、貨幣が流通場面のあらゆる点に現れる頻度が少なくなって、ついには消失するという通俗的な見解にとっては、この現象を流通手段の量の不足から解決しようとする見解が、もっともらしく見える。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3704). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?