カール・マルクス 著『資本論 』(152) 読書メモ
第三巻 資本主義的生産の総過程
第五篇 利子と企業者と利得とへの利潤の分割。
利子付資本
第三十ニ章 貨幣資本と現実資本Ⅲ(結)②
労働力 にたいする 需要 は、 労働 の 搾取 が とくに 有利 な 事情 の もと で 行なわ れる という 理由 から、 増加しうるのであるが、しかし、労働力にたいする、したがって可変資本にたいする需要の増大は、それ自体としては利潤を増加させるもにではなく、むしろそれだけ利潤を縮小させるものである。
とはいえ、それとともに可変資本にたいする需要が増加しえ、したがって貨幣資本にたいする需要も増加しえ、そしてこれは利子率を高めうる。
そのばあいには労働力の市場価格は、その平均を超えて上昇し、平均数以上の労働者が雇傭され、そして同時に利子率が上昇する。なぜならば、かの諸事情とともに貨幣資本にたいする需要が増大するからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 7 (岩波文庫) (Kindle の位置No.5039). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.
利子率 の 市場 率 は( 貸付) 資本 の 供給 と 需要 と によって 規定 さ れ て いる という 平凡 な 命題 を、 オーヴァストーン は 狡猾 に、 貸付資本 は 資本 一般 と 同じ で ある と する 彼自身の仮定と混同し、そうすることによって、高利貸を唯一の資本家に、高利貸の資本を唯一の資本に、転化しようと試みるのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 7 (岩波文庫) (Kindle の位置No.5088). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.
支払手段にたいする需要は、商人および生産者 が 確実 な 担保 を 提供 し うる かぎり では、 単なる、 貨幣 への 転化 の 可能性 にたいする 需要 で ある。
そう で ない かぎり では、 すなわち、 支 払 手段 の 前貸し が 彼ら に貨幣 形態 を 与える のみ では なく、 形態 の 如何 を 問わ ず 彼ら に 欠け て いる 支払い の ため の 等価 をも 与える かぎり では、 支 払 手段 にたいする 需要 は、 貨幣資本 にたいする需要である。これは、通説の両方の側が恐慌の判断において、正当でもあり不当でもある点である。
その判断において、単に支払手段の不足が存在するにすぎない、と言う人々は、ただ確実な担保の所有者のみを眼中に置いているか、または、紙片によってすべての破産した山師を支払能力のある堅実な資本家に転化することが銀行の義務であり力であるかのように信ずる愚人であるか、である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 7 (岩波文庫) (Kindle の位置No.5096). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.
貨幣 が 価値 の 独立 形態 として 商品 に 相対 する こと、 または、 交換価値 は 貨幣 において 独立 の 形態 を 与え られ ね ば なら ず、 そして この こと は、 一定 の 商品 が 材料となってその価値において他のすべての商品が測られるということによってのみ、可能になるということ、まさにこのことによってその商品が一般的商品に、すなわち他 の すべて の 商品 との 対立 における 絶対 商品 に、 なる という こと、 これ は 資本主義 的 生産 の 基礎 で ある。
この こと は、 二つ の 点 において 現われ ざる を え ない のであっ て、 ことに、 一面 では 信用 操作 によって、 他面 では 信用貨幣 によって、 著しい 程度 に 貨幣 の 代用 をさ せ て いる 資本主義 的 に 発達 し た 諸 国民 の もと では、 そうである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 7 (岩波文庫) (Kindle の位置No.5110). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.
商品 の 価値 が 貨幣価値 として 確保 さ れ て いる のは、 一般に ただ、 貨幣 が確保されているあいだだけである。それゆえに、わずか数百万の貨幣のために、幾百万もの商品が犠牲に供されねばならない。これは、資本主義的生産においては不可避であるとともに、その美点の一つをなすものである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 7 (岩波文庫) (Kindle の位置No.5129). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.
労働 の 社会的性格 が、 商品 の 貨幣 存在 として、 したがって 現実 の 生産 の 外 に ある 一つ の 物 として、現われるかぎり、貨幣恐慌は、現実の恐慌とは独立に、またはそれの激化として、不可避である。
他面、一銀行の信用が動揺するに至っていないかぎり、その銀行は、かようなばあいには信用貨幣の増加によって恐慌を緩和するが、信用貨幣の回収は、かえって恐慌を助長する、ということは明らかである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 7 (岩波文庫) (Kindle の位置No.5133). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.
ところで、恐慌のなすところは、支払差額と貿易差額のあいだの差異を、 一つ の 短期間 に 圧縮 する こと で ある。 そして、 恐慌 に 襲わ れ、 したがって 支 払 期限 に 当面 し て いる 国民 の もと で 展開 さ れる よう な 特定 の 諸 状態 ーーーこれら の諸状態が、すでにかような決済期間の短縮を伴うのである。
まず貴金属の送出。次いで委託商品の投売り。投売りのための、または国内でそれにたいする貨幣前貸を調達するための、諸商品の輸出。利子率の解約予告、有価証券の低落、外国有価証券の投売り、この減価した有価証券への投下のための外国資本の牽引、最後に一群の諸債権を清算する破産。
その際、恐慌の起きた国に、なおも金属が送られることがしばしばある、というのは、その国あての手形は不確実で、したがって、支払いは金属によってもっとも確実に行われるからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 7 (岩波文庫) (Kindle の位置No.5148). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.
準備金 は、 営業 局 に 着目 さ れる かぎり では、 ただ 預金 の ため の 準備金 で ある。 オーヴァストーン 等 に よれ ば、 営業 局 は、「自動的」発券を顧慮することなく、ただ銀行業者としてのに行動すべきものである。
しかし、現実の逼迫の時期には、この銀行は、ただ銀行券のみから成る営業局の準備金の如何にかかわりなく、金属準備の上に非常に鋭い眼を向けるのである。
また、破産すまいと思えば、そうせざるをえないのである。なぜならば、金属準備が消失するのと同じ度合で、銀行券の準備も消失するからである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 7 (岩波文庫) (Kindle の位置No.5207). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.