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カール・マルクス 著『資本論 』(89)  読書メモ

第二巻 資本の流通過程
 第二篇 資本の回転
  第九章 前貸資本の総回転。回転の循環
生産資本 の 固定 的構成部分と流動的構成部分とは、異なる仕方と異なる期間とをもって回転し、同様に同一事業における構成部分も、その寿命、したがって再生産期間の異なるにしたがって、また異なる回転期間をもつ。エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 4 (岩波文庫) (Kindle の位置No.4961). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.    

  1. 前貸資本の総回転は、その種々の構成部分の平均回転である。

  2. 生産過程に入る流動資本は、その全価値を生産物に移す。したがって、生産過程が中断なく進行するためには、流動資本は、たえず生産物の販売によって現物で補填されねばならない。生産過程に入る固定資本は、その価値の部分(摩損)のみを生産物に移し、摩損しえも生産過程で機能を続ける。

  3. 前貸しされた生産資本のはるかにより大きい部分が、多年にわたる循環を含む再生産期間、したがって回転期間をもつ固定資本から成っているばあいにも、なお、一年間に回転した資本価値は、一年間に繰返された流動資本の回転の結果、前貸しされた資本の総価値よりも大きくありうる、ということが出てくる。

  4. 前貸資本の価値回転は、その現実の再生産期間、またはその諸構成部分の現実の回転期間から分離される。

  5. 【回転の計算方法について、記述されているが、省略する。】

  6. 資本の種々の部分の回転における現実的および外観的差異。アメリカの経済学者スクロープは、個別資本家にとって、支払期間と信用事情とによって起こる流動資本の特定諸部分の流動における差異を、資本の性質から生ずる諸回転と混同している。彼はこう言っている、労働賃金は、支払われた販売または勘定からの毎週の収入によって、毎週支払わねばならない、と。ここで注意すべきは、

  • 支払期限の長さ、すなわち労働者が資本家に信用を与えねばならない時間の長さに応じて、したがって、賃金の支払期限が毎週か、毎月か、毎三ヶ月か、毎半年か等に応じて、労働賃金そのものにかんして、種々の区別が生ずるということである。

  • 毎週の生産物には、その生産で週労働によって付加された新価値の総体が入るのみではなく、週生産物において消費された原料と補助材料の価値も入る。(中略)労働に支出された資本部分については、貨幣への再転化は、補助材料と原料に支出されあ資本部分のそれと並行して行われる。

    しかし、一方では労働力への、他方では原料への貨幣の再転化は、この両構成部分の特殊の購買期限や支払期限のゆえに別々に行われるのであって、その一方は生産用在庫として比較的長期間において買われ、他方の労働力は比較的短期間において、たとえば一週間ごとに、買われる。

    ここでスクロープが言及している信用制度は、商業資本と同様に、個々の資本家にとっての回転を変化させる。社会的な規模でそれが回転を変化させるのは、それが生産のみではなく、消費をも促進するかぎりにおいてのみのことである。
    エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 4 (岩波文庫) (Kindle の位置No.4964). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

                                                                                            

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