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カール・マルクス 著『資本論 』第三篇 第五章、第六章、第七章 読書メモ

カール・マルクス 著『資本論 』読書メモ(1)~(172)をすでに投稿済ですが、第一巻 第三篇 第五章、第六章、第七章 に目次をつけたものを再掲載します。。


第三篇 絶対的剰余価値の生産

第五章 労働過程と価値増殖過程 

第一節 労働過程


労働力 の 使用 は 労働そのものである。労働力の買い手は、その売り手を労働させて、労働力を消費する。後者はこのことによって現実的に活動している労働力、労働者となるのであって、以前にはただ可能的にそれであったにすぎない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.70). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働 は まず 第一 に、 人間 と 自然 との あいだの一過程である。すなわち、人間が自然の物質代謝を、彼自身に行為によって媒介し、規制し、調整する過程である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.79). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

蜘蛛は織匠のそれに似た作業をなし、蜜蜂は蠟房の構造によって、多くの人間の建築師を顔色なからしめる。

しかし最悪の建築師でも、もとより最良の蜜蜂にまさるわけは、建築師が密房を蝋で築く前に、すでに頭の中にそれを築いているということである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.88). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

初め から 人間 の ために生活必需品を、完成生活手段を用意している土地(経済的には水もそれに含まれる)は、人間の手を加えることなくして、人間労働の一般的対象として存在する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.99). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

一切 の 原料 は、 労働対象 で ある が、労働対象は、すべて原料であるとは限らない。労働対象は、すでにそれは労働によって媒介された変化を受けているときにのみ、原料である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.106). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働手段 は、 労働者が自己と労働対象とのあいだに置き、この対象にたいする彼の活動の導体として彼に役立つ物または諸物の複合体である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.111). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働手段 は、人間労働力の発達の測度器であるのみでなく、そのうちで労働が行われる社会的諸関係の表示器でもある。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.137). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

ある 使用価値が生産物として労働過程から出てくると、以前の労働過程の生産物たる他の使用価値は、生産手段としてそれに入りこむ。

この労働の生産物なる同じ使用価値が、かの労働の生産手段をなす。ゆえに、生産物は労働過程の結果であるのみでなく、同時にその証券でもある。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.182). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働者 は、彼の労働を所有する資本家に管理の下に労働する。資本家は、労働が整然と進捗し、生産手段が目的に合致して使用され、かくして原料は浪費されることなく、労働用具は大切にされるように、すなわち、労働によるその使用で、止むをえない損傷に限られるように、注意する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.287). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第二節 価値増殖過程


生産 物資ーーー資本家の所有物ーーーは、使用価値、撚糸、深靴等々である。しかし、たとえば深靴は、ある意味で基礎をなすものであり、またわれわれの資本家は、断乎たる進歩派の人であるとしても、彼は深靴の深靴そのもののために作るのではない。

商品生産においては、一般に使用価値は、それ自身のために愛される物ではない。ここでは一般に使用価値は、それが交換価値の物質的土台、その担い手であるがゆえにのみ、またそのかぎりにおいてのみ、生産される。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.320). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

商品 そのもの が、使用価値と価値との統一であるように、その生産過程は、労働過程と価値形成過程との統一でなければならない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.337). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

綿花 の 生産に必要とされた労働時間は、綿花を原料とする撚糸の生産に必要とされた労働時間の一部分であり、それゆえに、撚糸の中に含まれている。

紡錘量の摩滅または消費なくしては、綿花は紡がれえないのであるが、この紡錘量の生産に必要とされた労働時間についても、動揺である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.366). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働 過程にあるあいだ、労働はたえず不静止の形態から存在の形態に、運動の形態から対象性の形態に転換する。

一時間の終わりには、紡績運動がある定量の撚糸に表示され、したがって、一定量の労働、すなわち一労働時間が、綿花に対象化されている。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.414). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

過程 の 継続 中に、すなわち綿花の撚糸への転化の継続中に必要な労働時間のみが消費されるということは、いまや決定的に重要である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.419). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働力そのものには、半労働日が対象化されているから、すなわち、労働力の生産のために、日々必要な生活手段は、半労働日を要するのであるから、労働日の日価値は3シリングであった。

しかし、労働力に含まれている過去に労働と労働力が遂行しうる生きた労働とは、すなわち労働力に日々の維持費と労働力の日々の支出とは、二つの全くちがった大いさである。

前者はその交換価値を規定し、後者はその使用価値を形成する。労働者を24時間生かしておくために、半労働日が必要である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.552). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

いま、 価値 形成過程と価値増殖過程とを比較してみるならば、価値増殖過程は、ある一定の点を超えて延長された価値形成過程にほかならない。

後者は、資本によって支払われた労働力の価値が、新たな等価によって代置されている点までしか、継続しないのであるが、かくては、それは単純な価値形成過程である。

価値形成過程がこの点を超えて継続するならば、これは価値増殖過程となる。

さらに、価値形成過程を労働過程と比較してみるならば、後者は、使用価値を生産する有用労働である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.607). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

商品 の 分析から得られた、使用価値をつくるかぎりでの労働と価値をつくるかぎりでの同じ労働とのあいだの区別が、いまでは生産過程の異なった側面の区別として示されたのである・

労働過程と価値形成との統一としては、生産過程は、商品の生産過程である。労働過程と価値増殖との統一としては、あおれは資本主義的生産過程であり、商品生産の資本主義形態である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.668). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本家によって領有された労働が、単純な社会的平均労働であるか、より複雑な労働すなわち、より高い比重の労働であるかは、価値増殖過程にとっては、全く問題にならない。

社会的平均労働にたいしてより高度な、より複雑な労働とみなされる労働は、より高い養成費を含み、その生産により多くの労働時間を要する、

したがって単純な労働力よりも高い価値をもつ労働力の発現である。この力の価値がより高いならば、それはまたより高い高級な労働において発現し、したがって、同じ時間内に、比較的により高い価値となって対象化される。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.672). 株式会社 岩波書店. Kindle 版

第六章 不変資本と可変資本


労働 過程 の 異なる 諸 要素 は、 生産 物 価値 の 形成 に、 それぞれ ちがっ て 関与 する。

労働者 は、 その 労働 の 特定 の 内容、 目的、 および 技術的 性格 の 如何 に かかわら ず、 一定 量 の 労働 を 付け加える こと によって、 労働対象に あらた な 価値 を 付加 する。

他方 において、 われわれ は 消耗 さ れ た 生産手段 の 価値 を、 ふたたび 生産 物 価値 の 構成 部分 として、 たとえば綿花 および 紡錘 の 価値 を、 撚糸 価値 の 中 に 見出す。

かくして、 生産手段 の 価値 は、 生産 物 への その 移転 によって 保存 さ れる。 この 移転は、 生産手段 が 生産 物 に 転化 する あいだ に、 すなわち、 労働 過程 において、 行なわ れる。

それ は 労働 によって 媒介 さ れる。 しかし、 いかにし てか?  

労働者 は、 同一 時間 に 二重 に 労働 する のでは ない。 一方 では、 彼 の 労働 によって 綿花 に ある 価値 を 付け加えるため に、 そして 他方 では、 綿花 の 元 の 価値 を 保存 する ため に、 あるいは、 同じ こと では ある が、 彼 が 加工 する 綿花 と 彼 が それ をもって労働 する 紡錘 との 価値 を、 生産 物 なる 撚糸 に 移転 する ため に、 労働 する のでは ない。

そう では なく、 彼 は、 単に 新た な 価値 を 付け加えることによって、元の価値を保存するのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.716). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

しかるに、労働対象への新たな価値の付加と、生産物における元の価値の保存とは、労働者が同一の時間内に生ぜしめる二つの全く異なる結果であり、しかも彼は同一時間中には一度しか労働をしないのであるから、この結果の二面性は、明らかに、彼の労働そのものの二面性からのみ説明されうるのである。

同じ時点において、彼の労働は、一つの属性においては、価値を創造し、他の属性においては、価値または移転せねばならないのである。

【注:労働そのものの二面性とは「労働者は、その労働の特定の内容、目的、および技術的性格の如何にかかわらず、一定量の労働を付け加えることによって、労働対象にあらたな価値を付加する。

他方において、われわれは消耗された生産手段の価値を、ふたたたび生産物価値の構成部分として、たとえば綿花および紡錘の価値を、撚糸価値の中に見出す。」ようなことを言う。】
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.727). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働の単に量的な付加によって、新たな価値が付け加えられ、付け加えられた労働の質によって、生産手段の元の価値が生産物において保存される。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.758). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

何らかの発明によって、紡績工が、以前には36時間で紡いだと同じ量の綿花を、6時間で紡ぎうるものと仮定しよう。

目的に添う有用な生産的活動としては、彼の労働は、その力を6倍にした。その生産物は6倍、すなわち、6ポンドにかわる36ポンドの撚糸である。

しかし、いまや36ポンドの綿花は、以前に6ポンドの綿花が吸収しただけの労働時間を吸収するにすぎない。

綿花には、古い方法をもっているばあいの6分の1の新たな労働が付け加えられ、したがって以前の価値の6分の1が付け加えられるにすぎない。

他方では、いまや6倍の綿花の価値が、生産物のうちに、36ポンドの撚糸のうちに存在する。6紡績時間に、6倍大きい原料の価値が保存されて、生産物に移転され、しかも同じ原料は、6分の1の新価値を付け加えられる。

このことは、同じ不可分の過程中に価値を保存する労働の属性が、価値を創造する労働の属性と、いかに本質的にちがっているかを示している。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.762). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

かくて、生産手段に、すなわち原料、補助材料、および労働手段に転化する資本部分は、生産過程で、その価値量を変じない。ゆえに、私はこれを不変資本部分、あるいはより簡単に、不変資本と名づける。

これに反して、労働力に転化された資本部分は、生産過程においてその価値を変ずる。それは、それ自身の等価と、それ以上の超過分である剰余価値とを再生産し、この剰余価値そのものは、変動しうるものであって、大きいことも小さいこともありうる。

資本のこの部分は、一つの不変量から絶えず一つの可変量に転化する。ゆえに、私はこれを可変資本部分、あるいはより簡単に、可変資本と名づけた。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.991). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

不変資本の概念は、その構成部分の価値革命を、決して排除するものではない。1ポンドの綿花が今日は6ペンスに値し、明日は、綿花収穫の減退のために、1シリングに騰貴すると仮定しよう。

ひきつづき加工される古い綿花は、6ペンスの価値で買われたものであるが、いまでは1シリングの価値部分を生産物に付加する。

そして、すでに紡がれた、おそらくすでに撚糸として市場で流通しつつある綿花も、同様に、その元来の価値の2倍を生産物に付加する。

しかし、この価値変動が、紡績過程そのものにおける綿花の価値増殖から独立したものであることは、明らかである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1001). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

ゆえに、このような価値革命に際しては、そのもっとも少なく加工された形態の原料に投機するのが、したがって、織物よりは綿花そのものに投機するのが、投機の法則である。

このばあいには、価値変動は、綿花を生産する過程において生ずるのであって、綿花が生産手段として、したがってまた不変資本として機能する過程において生ずるのではない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1009). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

原料 の 価値と同様に、すでに生産過程で用いられつつある労働手段、機械装置その他の価値も、したがってまた、それらが生産物に引渡す価値部分も、変動することがある。

たとえば、ある新発明の結果、同種の機械装置が減少した労働支出をもって再生産されるならば、古い機械装置は、多かれ少なかれ価値を減じ、したがってまた、それに比例して、より少ない価値を生産物に移転する。

しかし、この場合にも、価値変動は、その機械が生産手段として機能する生産過程の外部で生ずる。

この過程では、機械は、それがこの過程から独立してもっているよりも、より多くの価値を引渡すということは、決してないのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1023). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第7章 剰余価値率

第一節 労働力の搾取度


労働者 は、 労働 過程 の ある 期間 中 は、 彼 の 労働力 の 価値 を、 すなわち 彼 の 必要 な 生活 手段 の 価値 を、 生産 する に すぎ ない。 彼 は、 一つの 社会的 分業 に 基づく 状態 で 生産 する ので ある から、 彼 の 生活 手段 を 直接 に 生産 する のでは なく、 特別 の 商品、 たとえば 撚糸 の 形態 で、彼 の 生活 手段 の 価値 に 等しい 価値 を、 あるいは、 彼 が 生活 手段 を 買う 貨幣 に 等しい 価値 を 生産 する。

彼 の 労働日 の うち、 彼 が この ために 消費 する 部分 は、 彼 の 平均的 な 日々 の 生活 手段 の 価値 に 応じ て、 したがって、 その 生産 の ため に 必要 とさ れる 平均的 な 日々 の 労働時間に 応じ て、 あるいは 大きく あるいは 小さい。 彼 の 日々 の 生活 手段 の 価値 が、 平均 し て、 対象 化 さ れ た 六 労働時間 を 表示 する と すれ ば、それ を 生産 する ため に、 労働者 は 平均 し て 日々 六 時間 労働 せ ね ば なら ない。

彼 が 資本家 の ため にでは なく、 自分自身 の ため に 独立 し て 労働する として も、 彼 の 労働力 の 価値 を 生産 し、 また この こと によって、 彼 自身 の 維持 または 不断 の 再生産 に 必要 な 生活 手段 を 獲得 する ためには、 他 の 事情 が 同じ で あれ ば、 依然として、 彼 は 平均 し て 一日 の 同一 割合 部分 を、 労働 せ ね ば なら ない で あろ う。

しかし、 彼 が 労働力 の日 価値、 たとえば 三 シリング を 生産 する 労働日 の 部分 において は、 彼 は 資本家 によって すでに 支払わ れ た 労働力 の 価値 にたいする 等価のみ を、 生産 する ので あり、 したがって、 新しく 作り出さ れ た 価値 で、 ただ 前貸し さ れ た 可変資本 価値 のみ を 補 塡 する ので ある から、この 価値 生産 は、 単なる 再生産 として 現われる。

かくして、 この 再生産 が 行なわ れる 労働日 の 部分 を、 私 は 必要労働時間 と 名づけ、 この時間 中 に 支出 さ れる 労働 を 必要 労働 と 名づける。 労働者 にとって 必要、 という のは、 彼 の 労働 の 社会的 形態 からは、 独立 し て いる からでである。資本 および その 世界 にとって 必要、 という のは、 労働者 が、 いつ でも 存在 する という こと は、 資本 および その 世界 の 基礎 だ からである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1170). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働者 が 必要 労働 の 限界 を こえ て 労苦 する 労働 過程 の 第二 の 期間 は、 かれ の 労働 を、 すなわち 労働力 の 支出 を 要する には 違い ない が、しかし、 彼 の ため には、 何ら の 価値 をも 形成 し ない。

それ は、 無 からの 創造 の 全 魅力 を もっ て、 資本家 に 笑み かける 乗除 価値 を 形成 する。労働日 の この 部分 を、 私 は 剰余労働 時間 と 名づけ、 そして この 時間 内 に 支出 さ れ た 労働 を、 剰余労働 と 名づける。

価値一般 の 認識 にとって、 価値 を 単なる 労働時間 の 凝結 として、 単に 対象 化 さ れ た 労働 として 理解 する こと が、 決定的 で ある よう に、 剰余価値の 認識 にとって は、 それ を 単なる 剰余労働 時間 の 凝結 として、 単に 対象 化 さ れ た 剰余労働 として 理解 する こと が、 決定的 で ある。

この剰余労働 が、 直接的 な 生産者 から、 労働者 から 搾り上げ られる 形態 こそ、 種々 の 経済的 社会 形式 を、 たとえば 奴隷制 の 社会 を、 賃金労働の社会から、区別するのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1198). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

剰余価値 の 可変資本 にたいする 比 は、 剰余労働 の 必要 労働 にたいする 比 に 等しく、あるいは、 剰余価値 率 m/v= 剰余労働/必要労働と なる。 この 二つ の 比率 は、 同一 の 関係 を、 ちがっ た 形態 で、 一 は 対象 化 さ れ た 労働 の 形態 で、他 は 流動的 な 労働 の 形態 で 表現 する。  

ゆえに、 剰余価値 率 は、 資本 による 労働力 の、 あるいは、 資本家 による 労働者 の、 搾取度の精確な表現である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1219). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第二節 生産物の比例諸部分における生産物価値の表示


20ポンドの撚糸の総価値は。次のように構成される。
撚糸 価値 30 シリング = 24 シリング( c)+( 3 シリング( v)+ 3 シリング( m))

この総価値は、20ポンドの撚糸という総生産物において表示されるのであるから、種々の価値要素もまた、生産物の比例諸部分において表示されえばならない。

30シリングという撚糸の価値が、20ポンドの撚糸に存在するとすれば、この価値の10分の8、あるいは24シリングというその不変部分は、生産物の10分の8、あるいは16ポンドの撚糸として存在する。

そのうち13ポンド3分の1は、原料の価値を、すなわち20シリングの紡がれた綿花の価値を表示し、2ポンド3分の2は、消耗された補助材料よび労働手段の価値を、すなわち4シリングの紡錘等々の価値を表示する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1322). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

紡績 工 の 12労働時間 が、 6シリング に 対象化されるのであるから、30シリングという撚糸の価値には、60時間が対象化されている。

それは20ポンドの撚糸のうちに存在するのであるが、そのうち10分の8、すなわち16ポンドは、紡績過程以前に過ぎ去った48労働時間の、すなわち、撚糸の生産手段に対象化された労働の、体化物であり、これと逆に、10分の2、すなわち4ポンドは、紡績過程自身で支出された12労働時間の体化物である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1376). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

紡績 工 は、12時間で20ポンドの撚糸を生産するのであるから、1時間には1ポンド3分の2を生産し、そして8時間では13ポンド3分の1、すなわち、全労働中に紡がれる綿花の総価値に当たる部分生産物を生産する。

同様にして、次の1時間36分の部分生産物は、2ポンド3分の2の撚糸であり、したがって、12時間中に消費される労働手段の価値を表示する。

同様に紡績工は、次の1時間12分には、2ポンドの撚糸=3シリングを、彼が6時間の必要労働で創造する全価値生産物に等しい生産物価値を、生産する。

最後に、彼は最終の1時間12分で同じく2ポンドの撚糸を生産し、その価値は、彼の半日の剰余労働によって産み出された剰余価値に等しい。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1394). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第三節 シーニョアの「最終1時間」


省略します。  

第四節 剰余生産物


剰余価値 が表示される生産物部分(・・・)を、われわれは剰余生産物と名づける。剰余価値率が、資本の総額にたいする剰余価値の比率によってではなく、資本の可変的構成部分にたいするその比率によって規定されるように、剰余生産物の高さは、総生産物の残余にたいする剰余生産物のよってではなく、必要労働が表示される生産物部分にたいする剰余生産物の比率によって規定される。

剰余価値の生産が資本主義的生産の規定的な目的であるように、富の高さは、生産物の絶対的大いさによってではなく、剰余背産物の相対的大いさによって測られる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1614). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

必要 労働 と剰余労働との合計、すなわち、労働者が彼の労働力の補填価値と剰余価値とを生産する時間は、彼の労働時間の絶対的大いさーーー労働日をなす。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.1654). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

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