ジル・ドゥルーズ& フェリックス・ガタリ『千のプラトー 資本主義と分裂症』 読書メモ(25)

14 1440年ーー平滑と条理

・平滑〔 滑らか な〕 空間 と 条里〔 区分 さ れ た〕 空間、 ─ ─ 遊牧 民 空間 と 定住 民 空間、 ─ ─ 戦争機械が展開する空間と国家装置によって設定される空間、ーーこれら二つの空間の性質は異なっている。

ところが、この二種類の空間のあいだに単純な対立を設けると、すぐにそれよりはるかに複雑な差異があり、対立項は継起するのであって、必ずしも同時に存在しないと認めざるをえない。

しかもこの二空間は、事実上、互いの混合においてしか存在しないと言わざるをえない。平滑空間はたえず条理空間の中に翻訳され、そこを横断する一方、条理空間は平滑空間にいつも反転し、送り返される。

・定住民の場合、織物ー衣服、織物ータピスリイーは、身体 と 外部 空間 を 動か ない 家 に 併合 しよ う と し、 織物 は 身体 や 外 を、 閉じ た 空間 の 中 に 統合 する ので ある。

これ に対し、 遊牧民 が 織る とき には、 衣服 や家さえも外部空間に応じて決定される。外部空間とは開かれた平滑空間であり、身体はそこで動くのだ。


・海 は 単に すべて の 平滑 空間 の 原型 で ある だけで なく、 最初 に 条里 化 を こうむっ た 空間 でも ある かの よう だ。条理化は徐々に広がっていき、あらゆる場所、あらゆる面を基盤割りにする。

商業都市の参加により、この条理化が革新されることもしばしばだったが、国家のみがこれに成功し「科学による政治」のレベルまで引き上げた。一つの次元的なものが、少しずつ確立され、方向的なものを従属させ、それを蔽っ て しまっ た ので ある。


・しかし われわれ の 関心 は、 まさに 条里 化 と 平滑 化 の さまざま な 作用 における 移行 と 結合 に ある。 空間 は、 そこに行使される力に拘束されて、たえまなく条理化されるが、それはどのようにしてか。

また同時に、空間が他の力を発展させ、条理化を通じて新しい平滑空間を出現させるのはどのようにしてか。

最も条理化された都市さえも平滑空間を出現させるのだ。遊牧民または穴居民として都市に住むことができる。再び平滑空間を作り出すには、運動、速さ、緩やかさだけで十分なこともある。そして、平滑空間には、確かにそれ自体で解放をもたらすものではない。

だが、闘争 が 変化 し 移動 する のは 平滑 空間 において で あり、 生 が 新た な 賭け へと 向かい、 新しい 障害 に 直面 し、 新しい スタイル を 発明 し、 敵 を 変容 さ せる のも 平滑空間においてなのである。ただし平滑空間ひとつで救われるなどと決して信じないようにしよう。

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