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『エスキモーに氷を売る』(ジョン・スポールストラ)

極端なタイトルですがマーケティングについて書かれた本です。実際にエスキモーに氷を売るための手法については書かれていません笑

本書ではまず、、

最高の商品を、最大の広告予算を使って、最良のマーケットに売り込み、最大のシェアを獲得するといったチャンスには、まず出会えない

と書いています。

弱小チームの試合を魅力に変える方法とは?

著者はジョン・スポールストラ。1991年、NBAで一番人気のないプロバスケットボールチームのニュージャージー・ネッツの社長兼CEOに就任しました。顔を見るだけで嫌になる選手しかいないし(当然とても弱い)、球団職員もやる気があるようには見えない。こんなチームを人気チームに変えたときの手法について書かれています。

ここで注意です。MLBの弱小チームを強くした『マネーボール』みたいな話ではありません。マーケティングの本なのでチームを強くするわけでなくて、不人気球団のチケットを完売させる手法について書かれています。
また1991年当時の日本はとてもイケていたらしく「日本ではこうしている」とアゲアゲコメントも要所に見られました。

そんななかで少し笑ったのですが、埼玉西武ライオンズの例を出して「この球団は11年間で7回も日本リーグで優勝しているが観客動員数は少ない」とディスコメントをしていました笑
チームの強さが観客動員数に直接結びつくというわけではないのですね。

球団経営なので「弱小チームの試合」という魅力のない商品の価値をいかに高め、いかに顧客に売るかということに視点を置いた本になります。

ここまで聞くとどんな詐欺的な手法を使ったのかと思うかもしれませんが、そうではありません。書いてあるのはとても真っ当なことなことです。

Q:誰も欲しがらない商品を、お客が買わずにはいらないものに変えるための三つの方法とは何か?

A:1価格を下げる、2価値を上げる、3値段を下げて価値を高める

単純なことですが、何かを言い訳をつけてやらない企業が多いと著者はいいます。この三つは並行してやるのではなく、商品に応じて三つのうちのどれかの対策を打つと書いてありました。3をやらないければいけないのはニュージャージー・ネッツぐらいだと自虐コメントもありました笑

ちなみにニュージャージー・ネッツの試合の価値を高めるために使ったのは、ネッツの選手を売ることではなく、ニュージャージー州にいながら「マイケル・ジョーダンのようなスーパースターがやってくる試合が観れるよ」ということを全面にPRしたことでした。
NBAに所属してることを活かし、自分のチームでなくそこにいるスーパースターの試合が観れるんだよ、ということを推したというわけです。他にもいろいろ書いてありますが、詳しくは本書を参照されたい。

極端なタイトルの本でしたが、真っ当なことしか書いてなく、地道をことを繰り返すほかにないのだなあと思いました。とても面白かったです。他のマーケティング本も読んでみようと思います。


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