『王立宇宙軍 オネアミスの翼』（1987/日本）

後にアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を制作するGAINAXの初の長編アニメ映画です。庵野秀明は作画監督として参加しています。

あらすじ。地球に似た架空の惑星が舞台です。オネアミス王国には宇宙軍という組織があり、そこの士官シロツグが主人公です。宇宙軍というと格好いい感じがしますが、宇宙に行ったことがなくて、実は何もしていない落ちこぼれ部隊なのです。劇中では税金の無駄遣いだと批判されるシーンが目立ちます。
シロツグもやる気のない仲間たちと張り合いのない日々を過ごしていましたが、ひょんなことから本気で宇宙を目指すという話です。

王立宇宙軍 オネアミスの翼

ちなみにシロツグの声優はひさしぶりに聞く声で、誰だろうと思ったら森本レオでした。やる気を感じさせないひょうひょうとした声はシロツグによく合ってると思いました。

私の感想ですが、この映画からは思想やメッセージのようなものはあまり感じられませんでした。代わりに作り込みには只ならぬ職人魂を感じました。地球に似ている惑星とはいえ完全なる異世界であり、映画に登場する文字も見たことのない文字でしたし、十進法でなく十二進法を使っていました。

あとは作画ですね。ここまでやるかというぐらきにロケットの内部の細かい描写や、技師の作業工程もリアルさを感じさせるものでした。

世界観の作り込みと作画だけはオタクたちがこだわりぬいて作った熱意は十分に伝わりました。逆にいえばそこにステータス全振りの映画とも言えます。登場人物たちは個性的ですが魅力的とは言いがたい。主人公含めて好きなキャラクターは1人もいませんでした。

これ以降、『不思議の海のナディア』や『新世紀エヴァンゲリオン』という名作を作る制作会社の片鱗を感じるという意味では、参考までに観てもいいのかなというレベルです。

（面白さ：★★★★★★☆☆☆☆）