『奇人たちの晩餐会』(1998/フランス)
ジャケットと邦題のイメージでは、クレイジーな奴らのアバンギャルドな晩餐会に見えるんですが、正統派の痛快コメディ映画である。イヤな感じな金持ちと奇人たちの密室劇で最高に面白いです。
簡単にあらすじ。金持ちの趣味で水曜日にとある晩餐会をやっています。金持ち一人一人が晩餐会に奇人を招待するというルールがある。つまり晩餐会にはたくさんの奇人が集まるわけですね。金持ちはその集まった奇人たちを眺めて、一番の奇人なのかを競い合って喜ぶという大変趣味の悪い晩餐会なのだ。だから主催側の金持ちはイヤな感じの奴ばかり。イヤな奴の1人であるピエールは超ド級のピニョンという奇人を見つける。ピエールが喜んでピニョンを家に招待したら規格外の奇人炸裂してしまうというお話である。
趣味の悪い晩餐会ですが、当然そんな晩餐会を開く側も奇人である。だからこの映画にはイヤな奇人(ピエール)と普通の奇人(ピニョン)が出てくるのです。
劇中でピニョンの同僚が登場するんですが同僚はピニョンを奇人扱いしません。ピニョンも自分で奇人だと思っていません。一方ピエールはうすうす「こんな晩餐会を開いている自分は奇人だ」と思っていますし、知り合いからも奇人だと思われているだろう。そうなってくると奇人は一体どっちなのか。
劇中では圧倒的にピニョンが奇人として描かれていますが、それを認知するのは他人です。つまりピエールは「ピニョンを奇人だ」と認知できる人間の1人ということになりますが、それがどこまで世間一般の認識なのでしょうか。ピエールのやってることを奇人と思う人も沢山います。奇人たちの晩餐会というタイトルの通り、奇人同士で咬み合わない会話を延々繰り返しているのです。
晩餐会を盛り上げてるために呼んだピニョンの奇人炸裂によって、自体はどんどんひどい方向へ進んでいく。ヒドイ方向へ行くのがピニョンなら見ていてつらいけどピエールだから「ざまあみろ!」という小気味良さが面白い。
(面白さ:★★★★★★★☆☆)
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