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マツダ ロードスター 990S 試乗記

趣味の車ほど、好みの問題が発生するものもないと思う。
こだわりが強いのは厄介なことだと自省。


諸元

全長×全幅×全高 3,915×1,735×1,235mm
ホイールベース 2,310mm
トレッド (前)1,495mm (後)1,505mm
車両重量 990kg
エンジン出力 132ps@7,000rpm
エンジントルク 152Nm@4,500rpm 
トランスミッション 6速マニュアル
タイヤ 195/50R16


全体の感想

 直前にA110を乗っていて、かなりバイアスがかかった状態ではあるにせよ、個人的に大好きな2015年型に近づくことはなく、軽量で素直で、良くも悪くもスポーツカーとしては普通な印象。

 年次改良を加えてリアサスが変更になったあたりから、操舵時のダイアゴナルの動きが分かりづらくなり、交差点を曲がるような良くある場面での楽しさ・爽快感はどこかへ消えてしまった。速度を上げて減速+操舵をすれば気持ちよく動くのは間違いないんだけれど。多分・・・微小舵のヨーゲインが少し落ちた?

 そんなこんなで、個人的にすごい楽しいってレベルにはなく、普通。それは好みの問題なんだろうなと。ただ、ロードスターに限っては2015年型の印象がすごく邪魔をする。

詳細

ハンドリング

 微小舵の動きに対して応答しているし、ヨーもリニアに立ち上がってきて素直。操舵からロールに入る時の姿勢変化も穏やかに抑えられていて安定感がある。ここの安定感、操舵開始から横G応答までの間、フロントからロールしてリアが応答し全体がロールしていくところが一番年次改良で変化がある場所であり、気になって仕方がないところ。
 KPCが効くような旋回ができなかったので、効果の程はわからない。理屈を理解してしまっていて、かつ自分の好みと照らし合わせると、ヨーゲインが落ちて長くステアリングを切っている状態になるのはあまり好ましくはないかもしれない。

乗り心地

 意外と硬いっていう印象。路面からの入力に対してピッチングの動きがバタバタせず、前後でバランスが出ているので重量バランスの良さが出ているなと。なんか少し剛性が上がったような気がするのは気のせい? でも後ろのスタビないし気のせいかも・・・

ブレーキ

 とても扱いやすい。A110ほどピッタリフィーリングにあった感じがないのは、ゲインの量の差か、踏んだストローク量か、どちらかと制動Gの変化量が合わないか、応答時間が遅いのかもしれない。でも不満な点はなく、すごく扱いやすい。

エンジン・トランスミッション

 やっぱり2Lが欲しいなぁって思う。1.5Lで不満がすごくあるわけではないけれど、回して行った時の加速の伸び感の気持ちよさが2Lの方が全然良い。直前にターボで伸び感に欠けるエンジンを回したあとだったからNAの回していく気持ちよさがあったけれど、週末に少し運転してってときに伸び感があるとすごく気持ち良さそうなんよな〜ってずっと思ってる。
 ミッションも節度感がしっかりあって、勝手に吸い込んでいくから良い。手首の返しだけでサクサク入れられるのは大事。

シート

 体を支えるのにどこかに力を入れないといけないような隙間はどこにもなく、リラックスして座っていられるホールド感はちょうど良い。サーキット向けでは足りないかもしれないけれど、長距離走っても問題なさそう。

まとめ

 ロードスターに対する評価としてはちょっと厳しめな気がするけれど、現状のモデルは好みと一致しないということ。
 年次“改良“というのは作り手側の判断基準による改良だけれど、それが必ずしもお客さんに“改良“として伝わるわけではないのだなと。それでも、開発に相当な体力のいる、マツダにとって特別な車を年次改良し続け、周りを驚かせるような技術を展開し続ける姿勢は素直に尊敬する。
 ロードスターを所有し、あるいは運転して笑顔になっている人がたくさんいることを考えれば、ちまちまと細かいところを気にすることで、本来この車が持つ楽しさを感じ取ることができなくなっているのかもしれない。

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