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HLABの新たな挑戦。地方から世界へ、梼原町で中高生対象のサマースクールを実施しました

去る2021年7月28日(水)〜30日(金)、HLABは梼原町教育委員会とともに、自分のアイデンティティ発掘や英語への関心向上を目的とし、お互いから学びあう「ピアメンタリング」を基軸とした対面サマースクールプログラムを開催しました。この記事では3日間にわたり実施したサマースクールプログラムについて、企画に込めた思いと当日の様子を紹介したいと思います。

サマースクールの目的

HLABは2011年から10年間、サマースクールという形で高校生に向けて「主体的な進路選択」の機会を提供してきました。今回のプログラムでは「アイデンティティの発掘」と「英語への関心向上」の2つをテーマとして参加者を対象とした対面サマースクールを2泊3日で実施しました。

梼原町は「才能」、「アイデンティティ」に⽬覚め、⾃ら「学び」続ける「梼原人」を育てる18年一貫教育を推進し、才能やアイデンティティの育成に力を入れています。HLABはグローバルな舞台で活躍できる梼原人を育成するその教育方針に共感し、町のパートナーとして本サマースクールの企画・運営に力を入れました。

サマースクールの様子

高知県で初めて実施するHLABのサマースクールには、梼原町立梼原中学校と高知県立梼原高校の生徒が計27名参加しました。学年は中学1年生から高校3年生と幅がありました。そして参加者に加え、行動班である「ハウス」を率いる大学生メンター8人を含めた総勢約35名でプログラムは進行していきました。

国内外の大学に通う日本人大学生8名のメンターは、大学や専門の多様性はもちろんのこと、バックグラウンドも多岐に渡ります。ブラウン大学、ウェルズリーカレッジなどのアメリカの大学に通うメンターのほか、海外高知県出身でオーストラリアの大学に通う大学生、梼原町出身で都内大学に通う大学生などにより構成されました。参加者がさまざまな将来を描くために、大学生メンターがロールモデルとなり、サマースクール期間中に参加者に寄り添って過ごしました。

グループワークの様子
グループワークの様子

Day 1:非日常へようこそ・選択肢の存在に気づく

1日目は、非日常への没入だけではなく、しっかりと自分について考える企画も実施されました。開会式では、突然響く英語のスピーチを耳にし、非日常の世界に入ったことを体感します。続くアイスブレイクで、行動班=「ハウス」で楽しいワークを経験すると、少しずつ参加者から笑顔が見られるようになりました。

1日目のワークは、進路はもちろんのこと、生活の中にあるたくさんの選択存在に気づき、自分がその選択をコントロールできる実感を得ることを目的に実施されました。緊張感は残っているもののこれまでの企画でサマースクールに慣れたのか、1日目の終わりには進路や大学での生活、留学についてなど、参加者も積極的に大学生に質問し、一歩踏み込んだ相互交流の時間が生まれました。そして1日目を締めくくるリフレクション。その日感じたことや考えたことや、残り2日間へ向けての意気込みなどをハウスの大学生と共有し、次の日のプログラムへ向けて心の準備をしました。

Day 2:自分のアイデンティティを探る

Day 2では自分の大事にしている価値観や行動指針について考えました。
午前中は、大学生の専門について知る双方向性の講義(「セミナー」企画)を2コマ経験し、メンターが興味を持って学んでいることをその熱意とともに体験しました。参加した参加者がもセミナーで扱われるテーマや分野に強い興味を抱く姿が見受けられました。

セミナーを楽しむ参加者の姿
セミナーを楽しむ参加者の姿

午後の自己分析ワークショップでは、自分の大事にしている価値観を見つけ出し、それを自分ごと化することを目的に実施されました。参加者は自分と向き合うことを少し難しいと感じながらも大学生の手を借りて自分の大事にしている価値観を真摯に受け入れられるようになっていきました。
夜のリフレクションは外でキャンプファイアーを焚き、火を囲みながらサマースクールの2日間や自分の将来について、みな熱く語っていました。

キャンプファイアーの様子
キャンプファイヤーの様子

Day 3:自分らしい未来を描く

早くもサマースクール最終日。参加者のプログラムに対しての姿勢がしっかり前のめりになりました。午前中に実施した「セミナー」では、2日目と比べてより積極的に質問をし、議論に参加していく参加者の姿が見られました。自分たちの日常を、ちょっと違った視点で考えることを通して、アカデミックな内容をみな楽しんでいました。

「ビジョンワークショップ」は、自分の未来について考える企画です。自分の将来としっかり向き合う参加者の様子が見受けられました。また、参加者の中には自分の将来がこのサマースクールで変わったと話す人もいて、将来を肯定的に捉える姿が印象的でした。

閉会式では、大学生が参加者に思いのこもったメッセージを送りました。参加者の代表スピーチでは、勇気を持ってスピーチをする参加者の姿を目にすることができました。参加者はみな、将来への前向きさと自信を胸にサマースクールを卒業していきました。

閉会式にて修了証授与後の写真
閉会式にて修了証授与後の写真

参加者の声

参加者のみなさんに事後今回のサマースクールの感想を尋ねると、このようなコメントが寄せられました。

正直、生き詰まっていた『力を求めた先、夢につき進んだ先の自分の将来像』、『俺ってもう勝てないんじゃ』っていうどうしようもない疑惑にメンターのみんなが答えをくれた、分かりそうな感じにしてくれた

自分が悩んでいたことの答えを得ることができたのと、このサマーキャンプを経て大学に向けての意志が強くなった

すごく楽しくて、自分の苦手なことがちょっとましになった

セミナーをとおして、これからどうするのかとても参考になったし、いい経験になった。財産だと思います

自分の考えに共感をしめして返答してくれたのが初めての経験でうれしかった

本サマースクールを通して、参加者のみなさんは新たなことに気づき、自己肯定感を高めていました。また将来に対する思いや自信にも変化が生まれていました。

大学生メンターの声

私は地元である梼原町のサマースクールに大学生メンターとして参加させていただきました。このサマースクールの3日間で、私が大学に入学し初めてHLABに出会ってから夏までの3ヶ月間での経験と同じ経験を梼原の中高生にプレゼントできたのではないかと思います。それは、自分が知らない世界を知ること・自分としっかり向き合うこと・自分を表現してもいいんだという安心感があること、主にこれらの3つの経験です。

中高生は開会式ではこれから何があるんだろう、どうしたらいいのかわからないという不安が大半を占めているように見えました。しかし、3日間のサマースクールでのワークショップや大学生との触れ合いを通し、今までになかった経験をすることで、最終日にはとても生き生きとした笑顔で自分の夢について語る姿を見せてくれました。その姿を見て、大学生メンターとして後輩たちに「経験」をプレゼントでき本当によかったと思いました。また、このサマースクールは、私自身にも自分の活動が誰かを笑顔にすることができるという貴重な経験をプレゼントしてくれました。そして私も夢に向かって頑張ろうと思わせてくれました。いつか、参加者の中高生と一緒にお互いの夢について語り合う事が楽しみです。

まとめ

2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で対面でのサマースクール(ウィンタースクール)を実施できず、HLABにとっても2年ぶりの対面宿泊型サマースクールとなり、同時にいくつか新たなチャレンジもありました。

・感染拡大防止対策の徹底
・普段のサマースクールより短い2泊3日という期間
・中学生と高校生の混在
・町内生限定参加者

しかし、チャレンジを乗り越えたプログラム運営の先には、実際に進路に対する考え方が変わったと話す参加者の姿があり、さまざまな制約と新しい挑戦がある中で、有意義な学びの機会を創出することができました。HLABとしては本プログラムを通して新たな参加者層の可能性を見つけることにも繋がり、今後も日本全国の学生に価値を提供していきたいと思っています。

HLABでは今後もオンライン・オフラインの枠に囚われず、様々なプログラムやワークショップを、様々なセクターの皆さんと共に取り組んでいきます。地方自治体や学校、企業の皆様と作り上げる「共に学び共創する」場の創出については、お気軽にお問い合わせください。

また、HLABは2020年12月にこのようなピア・メンターシップがあふれる場として、下北沢(東京)にレジデンシャル・カレッジ(居住型教育施設)を開校しました。新しい視点に触れたり、対話したりする機会を日常的に生み出し、暮らしながら学ぶ場をつくっています。ご興味のある方は、以下のページより詳細をご覧ください。

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