「サマースクールのその後」 vol.2 HLAB OBUSE 2019参加者 池田絃さん
新型コロナウイルスの影響で、HLABでは2020年のサマースクールの中止を決定しました。そこで今年度は、サマースクールでの熱い体験を、高校生参加者の皆さんに書いていただく「サマースクールのその後」をシリーズでお届けします。
はじめに
HLAB OBUSE 2019参加者、池田絃です。長野県小布施町という小さな町に住む高校2年生です。
1年前の私を思い出すと、小さな田舎町の限られた生活環境や人間関係に、大きな疑問や不満を感じることもなく過ごしていたと思います。しかし、高校に入学し、進路のことを考え始めたとき、これまでのように日々に流されて行きつくところはどこなんだろう、どこかに辿り着けるのかと不安になり始めました。そこで、私は以前から小布施町で開催されているHLABサマースクールを思い出し、応募をしました。
セミナーで体験した「殻を破る瞬間」
今、サマースクールを振り返ってみて、印象深かったと思うアクティビティは、海外大生が自分の学んでいるテーマについて授業をしてくれる「セミナー」です。参加する前は、積極的に授業に参加しようと意気込んでいたのですが、授業の内容を理解する、それに対して思ったことを発言するには、メンタ―の翻訳にいちいち頼らなければならなかったことや、同じグループ内の高校生参加者の高い英語力を目の当たりにして、怖気づいてしまいました。それまでの私だったら、そこでただただ落ち込み、サマースクールが終わるまでをやり過ごすことに力を注いだのかもしれません。
そんな私が、ある時から意識を変えられたのは、メンタ―の言葉がきっかけでした。「あなたの中に伝えたいという思いがあるなら、それを大事にして。文法や発音は関係ない」と、肩を叩いて言ってくれました。翌日からは気付いたら、めちゃくちゃな英語と、身振り手振りでどうにか伝えようする自分がいました。そこに恥ずかしさや気後れ無く、思いを伝えている自分自身に驚きました。また、前日までは羨ましく見ているしか無かった他の参加者と意見を交わしたり、質問の答えをもらえることに大きな喜びを感じました。
今思うとあれが「殻を破る」という瞬間で、私にとっては人生初めての経験でした。まさにパッカーンと音がするほどの。いろいろな場面でメンタ―からもらえたアドバイスは、今も時々思い返しては、自分の在り方を確認するときの指針にしています。自分の少し先を行くメンタ―からの励ましは、本に書いてあること、親、学校の先生が言っていたどの言葉よりも、私の中に自然に溶けていくものでした。
経験をもちよるピアの存在
サマースクールのスタートラインに立った時には、経験が少ない自分がちっぽけに感じていましたが、メンタ―が肩を並べ、話を聞いてくれたことで、有名大学に通っていたり、留学を経験していても、自分と同じように悩んで、泣いた時期があったこと。それを乗り越えて今の姿があることに気が付きました。「凄すぎる」と思っていた高校生参加者も同じで、熱く語りあうリフレクションの中で悩みや思いを共有することが出来ました。そこから距離が縮まり、かけがえのない仲間になれたと思います。
私は参加時、将来について何もビジョンを持ち合わせておらず、サマースクールを目指して、遠いところから小さな町まで来た、得たいもの、学びたいものが明確になっているような高校生とは、スタートが違っていたと思います。しかしサマースクールが終わりに近づいたとき、その人たちと同じように、何かを求めて、やりたいと思う気持ちを第一に行動に移していこうと思うようになりました。
HLABを通して英語は学習科目からコミュニケーションツールに変わった
最後に現在の私です。セミナーの際、周りにいた高校生や海外大生メンタ―が楽しそうに英語で話す姿に憧れ、今までは及第点を取るために受けていた英語の授業が、コミュニケーションをとれるようになるためのステップだと感じるようになりました。また、いろいろな方のお話を聞いたり、高校生でもできる活動やイベントの情報を集めるよう努力しています。最近は、コロナ渦でなかなか思うように行動出来ないのですが、この状況下でも出来ること(オンラインディスカッションイベントなど)に参加することで、いつも最後には何かしらの学びが残っている。その学びで自分が作られているのだと思っています。
自分と同じ、地方に住む高校生の背中を押してあげたい
HLABコミュニティとの関わりは今も続いていて、何気ないやり取りの中で悩みを相談することもあります。住む距離関係なく、何かあったときに相談できる頼れる存在があるというのが、とても心強いです。
私の経験が、かつての私のように、サマースクール参加に対して、ハードルの高さを感じている地方の高校生の背中を押してあげられたらなと思います。
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執筆:池田 絃
編集:佐藤玲菜